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2016年4月7日 更新

空き家対策を行う 国や自治体の取り組み

知っておきたい、自治体の空き家対策

空き家の状態をチェックするのと並行して、空き家がある自治体の空き家対策についても調べておきましょう。
「空き家対策特別措置法」の施行や、国のさまざまな支援制度を受けて、全国の自治体で空き家対策の条例づくりや取り組みが進んでいます。各自治体の空き家条例には空き家の定義や所有者の責務、放置空き家の行政指示や行政処分などについて記されています。空き家のある自治体に、この空き家条例があれば目を通しておくとよいでしょう。
空き家対策の取り組みは自治体により異なりますが、例として次のようなものがあります。

空き家バンク

空き家バンクとは、空き家の売買や賃貸を希望する所有者と、家探し中の移住希望者の橋渡しを自治体が行う制度です。
近頃は「田舎暮らし」がブームになり、都会から地方へ移住する人が増えていますが、田舎暮らしを希望していても地方の住宅情報が乏しいため移住をあきらめてしまう人もいます。このような移住希望者に空き家を利用してもらえれば、空き家対策だけでなく地域の過疎化対策にもつながります。
所有する空き家を空き家バンクに登録すると、自治体はその情報を移住希望者に提供します。実際の売買・賃貸契約は、当事者同士が直接交渉する方法と、自治体と協定を結んでいる不動産会社などが仲介する方法の2通りがあります。

リフォーム・解体の補助金

所有者が空き家を売却・賃貸に出すためにリフォームしたり、解体する場合に、
自治体が空き家のリフォーム・解体にかかる費用の一部を補助する制度です。
(例)鹿児島市の「危険空き家解体工事補助事業」 老朽化が著しいなどの理由で「危険空き家」と判断された空き家を解体する場合に、市が解体費の3分の1(限度額30万円)を補助します。
補助の申請をするには現況のわかる写真を役所に持参し、事前協議を経て支給が決定されます。

空き家管理の補助金など

所有者が空き家を管理しやすいように自治体が管理費用の一部を助成したり、用具のレンタルを行ったりして管理をサポートします。
(例)下関市の「空家等管理・流通促進支援事業補助金」 空き家の所有者が、宅地建物取引業者(不動産会社など)に依頼して行う空き家の外観調査と内部換気の費用の一部を市が助成します。
助成額は、外観調査の場合は毎月最大2000円、内部換気も併せて行う場合は毎月最大5000円です。
(例)西宮市の「あき地の適正管理促進制度」 空き地の除草作業のために、市が草刈機やカマを無料で貸し出しています。遠方に住んでいるなどの理由で所有者本人が除草できない場合は、市が除草作業を受託する制度もあります。

自治体による購入や借り上げ

自治体が空き家の購入や借り上げを行い、地域のために役立てているケースもあります。
例えば、
空き家を解体して公園を整備する 改築してコミュニティセンターなどの地域交流拠点を整備する 定住・移住者向けの住宅を整備する …など 実際に購入や借り上げの対象となる空き家は、立地などの条件をクリアする必要がありますが、このような空き家の利法は今後ますます増えると予想されます。
(例)牛久市の「牛久市あき家等の適正管理及び有効活用に関する条例」 牛久市にある子育て支援施設「すくすく広場」は、オープン当初はビルの2階にあり、ベビーカーでの移動が難しいなどの問題がありました。そこで市は、2012年に市内の公園に隣接する木造2階建ての空き家を購入。公園と一体的に利用できるよう改修を行い、移転リニューアルをしました。新しい施設では、子どもや保護者が施設と公園を行き来しながら遊ぶなど、より利用しやすいものになりました。

空き家を「準公営住宅」に

国が主導する空き家対策の一つに、現在、国土交通省が制度づくりに取り組み、2017年の通常国会への法案提出を目指している「空き家の準公営住宅制度」があります。
これは耐震性や省エネ性などの基準を満たす空き家を自治体が選定し、子育て世代などの住宅として比較的リーズナブルな家賃で提供する制度で、国や自治体が建設・管理する公営住宅と、民間の賃貸住宅の中間的な位置づけになるため「準公営住宅」となっています。
詳しい選定基準など制度の詳細は未定ですが、準公営住宅に転用する空き家の選定基準を満たすために空き家のリフォームを行う所有者には、自治体から費用の助成なども行われる見込みです。

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最終更新日 2024年10月30日