2016年4月7日 更新

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2013年10月時点で全国にある住宅の総数(住宅ストック数)は約6,063万戸となっています。一方、総世帯数は約5,240万世帯で、世帯数より住宅の数のほうが多いことになります。
居住者のいない住宅のうち、一時的使用や建築中の住宅以外のものを「空き家」と呼んでいます。全国には空き家が約820万戸もあり、全住宅の13.5%にあたります。下の表を見ると、20年前と比べると空き家の数が倍増していることがわかります。
この「住宅・土地統計調査」では、空き家を次の3つに分類しています。
空き家の種類 二次的住宅 別荘など
賃貸用または売却用の住宅 新築・中古を問わず、賃貸または売却のために空き家になっている住宅
その他の住宅 上記に当てはまらない住宅で、居住世帯が長期にわたって不在の場合や、取り壊し予定の空き家など
空き家の種類
テレビや新聞などで報道されているようなトラブルを引き起こすのは、空き家の約4割を占める「その他の住宅」です。居住世帯の長期不在や取り壊し予定の空き家の中には、建物がきちんと管理されずに劣化が進んでいるものもあり、倒壊や火災といった災害や犯罪のリスクが高まります。
空き家の中でも、特に「その他の住宅」の数は年々増え続けています。5年前に行った「住宅・土地統計調査」では「その他の住宅」の数は約270万戸でしたが、今回(2013年)の調査では320万戸となっています。
引っ越しや入院、または死亡などの理由で住む人がいなくなった住宅は、売却や賃貸がされない限り空き家となります。
災害や犯罪などのトラブルを招く空き家は、長年放置されて管理が行き届いていないものが多いのですが、なぜ空き家が放置されたままになってしまうのでしょうか。その原因は主に次の4つです。
- 理由1「定期的な管理が難しい!」
人が住んでいない空き家は換気が行われないため湿気がたまりやすく、腐食やカビなどが起こって劣化が進みます。それでも定期的に換気や清掃を行って管理をすればよいのですが、所有者が遠方に住んでいるなどの理由で管理が難しいこともあります。空き家の管理代行サービスを利用しようとしても、適切なサービス会社が見つからない、または見つかっても利用料が高額で利用しにくい場合なども、空き家の放置につながりやすくなります。
- 理由2「空き家を取り壊すと税金が上がってしまう!」
土地や建物などの不動産を所有していると、毎年「固定資産税」や「都市計画税」といった税金がかかります。これらの税額には「住宅用地の特例」という優遇措置があって、その土地に住宅が建っていると固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額されます(※注)。つまり空き家でも建物さえあれば減税の恩恵を受けられますが、建物を解体してしまうと、その分多く課税されるため、なかなか取り壊せないのが現状です。
- 固定資産税の計算
土地のみ | 課税標準×1.4% |
住宅用地 (住宅が建っている土地) | 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)…課税標準×1/6 |
一般用住宅用地(200㎡を超える部分)…課税標準×1/3 |
- 固都市計画税の計算 ※都市計画税は市街化区域にある不動産のみ課税
土地のみ | 課税標準×0.3% |
住宅用地 (住宅が建っている土地) | 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)…課税標準×1/3 |
一般用住宅用地(200㎡を超える部分)…課税標準×2/3 |
※注)2015年度より「特定空き家」に認定された空き家は、上記の住宅用地の特例が受けられないようになりました。「特定空き家」については「空き家対策特別措置法とは」で詳しく紹介します。
- 理由3「リフォームや解体費用を用意するのが大変!」
理由1で説明したように、空き家は人が出入りしない期間が長ければ長いほど劣化が進みます。劣化がひどくならないうちにメンテナンスをすれば費用も安く済みますが、劣化が激しくなるとリフォームや解体の必要が生じ、費用も高額になるため、そのままで先延ばしにされてしまいがちです。
※放置された空き家に起こりやすいトラブルは「放置空き家のトラブル」で詳しく紹介します。
- 理由4「所有者の空き家に対する関心が薄い」
上記の理由のほかに、そもそも所有者が空き家を放置していることに気付いていないケースもあります。このようなケースの多くは、所有者が遠方に住んでおり、頻繁に空き家に訪れることはありません。所有者側としては「年に数回は掃除をしているから大丈夫」と思っていても、近隣住民は所有者がめったに訪れないことを不安に感じているなど、所有者と近隣住民の意識のズレが生じる可能性があります。
日本の住宅のうち1割以上が空き家となっている現在も、年間80万戸のペースで新たな住宅が着工しています。住宅を取得する場合「新築」と「中古」の2種類がありますが、日本では新築の人気が高いことも、空き家増加の一因となっています。
けれども日本の人口は2000年代よりゆるやかに減少し、現在は核家族化や一人暮らしなどで増加している世帯数も2019年をピークに減少に転じると考えられています。このまま人口が減少して空き家の割合が増えると、2033年には全住宅の約3割が空き家になるという試算もあります。
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