マンションやアパートなどの集合住宅は、一戸建てに比べて個人でできる対策に限界があります。住み始めてから不安を感じないように、入居前に契約書などをよく読んで、防犯面に問題がないかどうかチェックしたいところです。
すでに今住んでいる集合住宅の防犯面に不安がある時は、管理組合に働きかけるなどして不安を解消していきましょう。
マンションやアパートなどの集合住宅は、一戸建てと比べると、どうしても死角ができやすいというデメリットがあります。
- 防犯カメラやセンサーのない共用スペース
- 玄関ホール、エレベーター、共用廊下、外階段といった共用スペースや駐車場などは監視性が低く、誰でも簡単に出入りできます。
- 建物の形状
- タワーマンションによく見られるコア型(棟の中央に共用スペースがあるタイプ)や、ボイド型(棟の中央に吹抜けがあるタイプ)の住宅は、共用スペースの見通しが悪いため、ドロボーが身をひそめやすいと言えます。
集合住宅ならではの死角の多さは、見通しを良くして監視性を高めることで改善します。
- 人目につかない場所に防犯カメラやセンサーを
- ドロボーは監視性の低い玄関ホール、エレベーター、共用廊下、外階段などの共用スペースから集合住宅に侵入します。集合住宅の構造上、どうしても人目につかない場所ができてしまいやすいのですが、そのような場所に防犯カメラやセンサーを設置することで「いつも監視している」ことを強調します。
- 明るい照明でドロボーの侵入を防ぐ
- 外まわりの照明が少ないと、暗い夜間や雨の日などは普段より監視性が低くなり、ドロボーが侵入しやすくなってしまいます。節電も大切ですが、防犯面と折り合いをつけて、周囲を照明で明るくしましょう。
- 駐輪場・駐車場には鍵付きの扉などが必要
- 入居者以外の立ち入りに用心している人でも、意外と気がゆるみやすいのが駐輪場や駐車場です。自転車やクルマを乗り入れる都合上、鍵の開け閉めがわずらわしいからとオープンになっていて、入居者以外の人が簡単に出入りできるケースも……。多少面倒でも、駐輪場・駐車場には鍵付きの扉やシャッターがある方が良いでしょう。
- 共用スペースの清掃も大切です
- 清掃が行き届かず、なんとなく汚れている場所は、目をそむけがちになります。しかし、それこそドロボーの思うツボ。監視性が低くなったのを良いことに、そこから集合住宅に侵入してしまいます。定期的に清掃を行いましょう。
ドロボーの侵入階と言えば、多くの人は「1階」を思い浮かべるのではないでしょうか。確かに道路に近い1階からの侵入が多いことは事実ですが、他の階も油断できません。
- 低層~中層住宅なら1・2階に注意
- 5階建て以下の低層~中層住宅の場合、1・2階から侵入するケースが目立ちます。1・2階は侵入しやすく、犯行後も逃走しやすいからです。
- 6階以上は最上階付近に注意
- 6階建て以上の高層住宅は、最上階か、その付近の階への侵入が多くなります。高層階は外からの監視性が低く、共用階段やエレベーターを通過する住人も少ないため、ドロボーの格好のターゲットなのです。
- 1・2階は道路に面した窓を重点的に対策
- 1・2階は、道路に面した窓の侵入対策が欠かせません。窓ガラスに防犯フィルムを貼ったり、ガラスを割った衝撃で音が鳴るセンサーなどを取り付けましょう。
- 3階以上でも外出時に戸締まりを忘れない
- 3階以上になると、ドロボーは玄関ホールから堂々と侵入するケースが目立ちます。上層階になればなるほど「階数が高いから安心」と油断して無施錠のまま外出する人がいますが、実はドロボーにとって、居住者の人通りが少なくなる上層階ほど落ち着いて仕事がしやすいもの。どんなに小さな窓であっても、外出前にしっかり戸締まりを!
ベランダに侵入するには、屋上から伝い降りる方法や、非常階段から移動する方法などがあります。ドロボーがベランダに侵入すると、ベランダを伝って隣や下の部屋にも移動が可能になるので、集合住宅全体のピンチにつながります。
- 1・2階は道路に面したベランダに注意
- 1・2階は、特に道路に面したベランダの侵入対策が急務です。ドロボーが侵入しにくいように、ベランダの窓ガラスに防犯フィルムを貼ったり、ガラスを割った衝撃で音が鳴るセンサーを取り付けるなどの対策を行いましょう。樹木や駐輪場の屋根などが、2階ベランダへの足がかりになっていたら、樹木の剪定や防犯カメラの設置を検討します。
- 3階以上でも外出時に戸締まりを忘れない
- ドロボーは屋上や非常階段などからベランダに侵入します。上層階のベランダなら外から目につきにくいため、そのままベランダの物陰にひそみ、外出のスキをねらって犯行に及ぶケースもあります。ですからゴミ出しなどのちょっとした時間であっても、戸締まりを忘れないでください。一般的に、上層階ほど居住者が安心しがちになるため、無施錠による侵入被害が目立ちます。
集合住宅は、基本的に同じタイプの錠が全戸に採用されています。そのため一度、玄関錠が破られると、同じ解錠法で全戸の玄関錠を破ることが可能になり、集合住宅内で侵入被害が繰り返されるという事態になってしまいます。
- 1ドア1ロックである
- 補助錠がなく、主錠が1つだけというドアの場合、錠を破る時間が短いのでピッキングやサムターン回しなどの侵入に遭いやすくなります。
- ドアとドア枠の間からカンヌキが見える
- 集合住宅のドアは外開きがほとんどですが、外開きの古いドアの場合、ドアとドア枠の間に隙間があり、錠のカンヌキが見えるものがあります。この隙間からバールを差し込むと、ドアが簡単にこじ開けられます。
- 独自に補助錠を取り付ける
- 玄関からの侵入を防ぐ方法は、何と言っても補助錠の取り付けが有効です。1つのドアにつき1つの錠がある「1ドア1ロック」より、2つの錠がある「1ドア2ロック」の方が解錠するのに時間がかかるため、ドロボーがあきらめる可能性が高くなります。補助錠の中には、賃貸物件用にドアを傷つけずに取り付けられるタイプのものもあります。
- ガードプレートでドア枠の隙間を埋める
- ドアのこじ開け防止のために「ガードプレート」を取り付けてください。ガードプレートはホームセンターなどで3,000円~程度で入手できます。
玄関ホールや共用廊下などに、近隣で起こった犯罪や最近の侵入犯罪の傾向などを伝える掲示があると、居住者が不審な物音や人物に気付きやすくなり、結果的に集合住宅の防犯力が高くなります。防犯に関する掲示は、居住者が防犯情報を共有できるだけでなく、ドロボーに対して防犯意識の高さをアピールするのにも役立ちます。
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最終更新日 2024年10月30日
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