警察庁がまとめた調査によると、住宅への侵入犯罪は2003年以降減少しつつあるものの、2012年には60,938件と、1日で160件を超える住宅への侵入犯罪が発生しています。なお、この数字は認知件数(被害者が警察に届け出を行った数)ですから、被害に気付かなかったり、体裁などを気にして届け出をしなかったりした犯罪数は含まれていません。言い換えれば、実際の被害はこれよりさらに多いのです。
侵入被害はもはや他人事ではなく、いつ何時、我が家に降りかかってくるとも限りません。被害に遭わないためには、「自分の家は自分で守る」という防犯意識を高めることが大切です。
■ 住宅への侵入犯罪の認知と検挙の推移
年次 | 認知件数 | 検挙件数 |
---|---|---|
2003年 | 190,473件 | 59,133件 |
2004年 | 170,991件 | 57,948件 |
2005年 | 142,945件 | 60,486件 |
2006年 | 120,023件 | 58,717件 |
2007年 | 103,490件 | 54,491件 |
2008年 | 91,082件 | 49,600件 |
2009年 | 81,436件 | 48,157件 |
2010年 | 74,558件 | 39,880件 |
2011年 | 66,872件 | 35,546件 |
2012年 | 60,938件 | 32,491件 |
(警察庁「平成24年の犯罪情勢」より)
侵入犯罪の手口別発生状況を見てみましょう。警視庁によると、2012年に都内で発生した住宅への侵入犯罪の認知件数のうち、「空き巣」が76.8%と断トツのトップになっています。
確かに、出勤や買い物などで留守がちの家は、ドロボーにとって絶好のチャンス。でも、だからと言って「家に誰かいれば安心」と言う訳でもありません。在宅時をねらった「忍び込み」や「居空き」の被害もあるからです。「忍び込み」と「居空き」の場合、家人が気がつくと強盗になって危害を加えるおそれもあります。
住宅への侵入犯罪の手口は3つ
- ・空き巣
- 家人が留守をねらって侵入する
- ・忍び込み
- 家人が寝静まった深夜に侵入する
- ・居空き
- 家人の昼寝や食事のスキに無人の部屋をねらう
侵入犯罪が発生した場所別では、一戸建て22.2%、中階層住宅(4階建て以上の集合住宅)10.8%、その他の住宅(3階建て以下の集合住宅やテラスハウス)26.0%となっています。
飲食店や商店などの方が現金がありそうに思えますが、一般の住宅だけで全体の6割近くを占めているのを見ると、ドロボーにとって住宅は「ねらいやすいターゲット」なのです。
また、侵入被害は一戸建てに多いイメージがありますが、表を見ると4階建て以上の中階層住宅や3階建て以下の集合住宅でも侵入犯罪が発生しています。集合住宅であっても侵入対策が必要です。
空き巣はどこから住宅に侵入するのでしょうか? 2000年頃に「ピッキング」という特殊工具を用いて鍵を不正解錠する犯罪が拡大したことなどから、「玄関」を使って侵入する印象が強いかもしれませんが、実は「窓」からというケースが7割を占めています。ベランダや縁側の掃き出し窓のみならず、居室の腰高窓、さらには浴室やトイレの換気窓といった小窓や高窓まで、あらゆる窓が空き巣の侵入口になります。
ガラス割り、無施錠、施錠開けなど、窓から侵入する方法もいろいろ。外出の際の無施錠や、手軽なクレセントのロックだけという場合は、早急に窓の侵入対策をしましょう。
侵入被害に関する用語
- ・ピッキング
- 鍵穴に耳かきのような特殊な工具を差し込み、解錠する
- ・サムターン回し
- サムターンとは、ドアの内側にある、錠の開け閉めをするためにある回転式のつまみ。サムターン回しは、ドリルでドアに穴をあけて、そこから先端が90度に曲がった細い金属棒を差し込んでサムターンを回して解錠する
- ・カム送り
- 鍵穴を加工シリンダーカバーの隙間に針金のような特殊な工具を差し込んで、錠の内部にあるカムという部品を動かして解錠する
- ・クレセント
- 窓などによく見られる三日月状の締め金具
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最終更新日 2024年10月30日
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