2016年3月10日 更新
災害から自分や家族の命を守るには、防災の取り組みを他人まかせにするのではなく、まず自分から一歩踏みだすことが必要です。もちろん個人でできることには限界がありますが、1人1人が寄り添って力を合わせることで、問題が解決する場合もあります。そこで、地域や個人で行う防災の取り組みについて学んでいきましょう。
1995年に発生した阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊による生き埋めなどから救助された人の約6割が、家族や近所の人に助けだされました。現代の日本は核家族化や単身世帯の増加などで地域によるつながりが薄れているとはいえ、災害時に頼れるのは身近なご近所さんといえます。
- 自主防災組織と、その活動とは
地域の人たちが自主的に結成した防災組織のことを「自主防災組織」といいます。最近では防災への意識の高まりとともに自主防災組織にも注目が集まり、2013年時点での自主防災組織の組織率は全国平均で77.9%にものぼります(消防庁調べ)。
自主防災組織は、平常時には防災訓練などで防災に関する情報の提供を行い、災害が発生したら、地域の防災リーダーとして安否確認や応急手当てなどにあたります。
- 自主防災組織の活動例
平常時には…… ・防災訓練 ・防災点検 ・災害時に使用する資機材の準備 ・防災倉庫の整備 など
災害時には…… ・安否確認などの情報収集と情報提供 ・負傷者の応急手当て ・避難誘導 ・避難所での炊き出し など
自主防災組織は自治会(町内会)単位で結成されているケースが多いので、詳しい活動内容については、自治会に問い合わせましょう。機会があれば、ぜひ自主防災組織の活動に参加してみてください。
災害時に、全国から被災地へ集まったボランティアの人たちの活動を、TVなどで見たことがある人も多いのでは? 阪神・淡路大震災以降、一般的になりつつあるボランティア活動ですが、もしもボランティアに関心があったり災害時にボランティアに参加しようと思った場合、どのようにしてボランティアの活動に参加すればよいのでしょうか。
- 災害ボランティアとは
全国社会福祉協議会による「被災地支援・災害ボランティア情報」というWEBサイトでは、災害時のボランティアや支援活動を考えている人たちに向けて、ボランティアの活動内容や注意点、心構えなどを紹介しています。
それによると、東日本大震災の被災地におけるボランティア活動は、初期段階では被災家屋(個人宅)のがれき撤去や清掃、側溝整備(泥だし)、避難所の環境改善活動などの力仕事が中心でしたが、その後、生活の場が仮設住宅に移ると、ボランティアの多くは被災者の生活支援(買い物や調理の補助など)、安否確認、孤立防止といった被災者と比較的長期にわたるコミュニケーションや人間関係づくりが求められる活動へと変化していきました。
被災地で求められる支援は、災害の経過により刻一刻と変化していきます。上記サイトでは、被災地支援のボランティアについて「支援を求める被災地の方がたのニーズと、支援をしたいという方がたの熱い思いすれ違うことがないよう」注意しなければならないとしています。
- 被災地に行くことだけが支援ではありません
災害ボランティアというと、災害時に被災地で直接活動するイメージが強いのですが、災害ボランティアの活動範囲は、災害時における救援活動に限らず、復旧に向けた取り組みや、平常時の防災活動(防災訓練、備蓄品の整備など)など多岐にわたります。被災地に行かなくても、被災地の観光や物産品の購入なども被災地の復旧を支える立派な支援です。
また、被災地だけに目を向けるのではなく、日頃から防災意識を高め、災害時に家族や地域の被害を最小限に食い止めることも大切です。
- 被災地でボランティア活動をする時は
前述の「全社協 被災地支援・災害ボランティア情報」などのボランティア情報サイトを見た上で、必ず事前に現地の災害ボランティアセンターに連絡して、ボランティア活動への参加方法や注意点について問い合わせてください。被災地で必要な食糧や水、生活用品などは事前に自分で用意し、宿泊先も確保しておきましょう。
被災地では現地の災害ボランティアセンターに登録してから、センターの指示に従って活動を開始します。活動の中には危険な作業や重労働のものもありますが、決して無理をしないこと。被災地でなにかあって、逆に助けられる側にならないように注意し、万一の備えとして「ボランティア保険」に加入しましょう。また、被災した方々の気持ちに配慮し、節度ある行動と言葉遣いを心がけてください。
このほか、災害ボランティア活動に参加する際の基本的な注意事項については、下記を参考にしてください。
- 支援物資を送る時は
ボランティア活動と同様、被災地に支援物資を送る時も、被災地の気持ちとニーズに配慮することが大切です。
被災地の避難所では、避難者の数も必要な物資も日々変動しています。支援物資を送る前に、災害支援のボランティアセンターに連絡して、なにが必要か確認しましょう。不要なものを大量に送ると、置き場所などの負担になるばかりか、食品などは消費期限切れを起こして廃棄物が増えてしまうこともあります。物資にこだわらず、義援金という形で被災地を支援する方法も検討しましょう。
地震や台風が多い日本において災害の危険は、いつでも誰の身の上にもあります。いざという時に尊い命を守り、交通や電気・ガス・水道などのライフラインがストップしても生活する「防災力」は、日頃からコツコツ備えることが肝心。あなたも今日から、できることを少しずつでいいので、防災の取り組みをしましょう。
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