2016年3月10日 更新
避難所(指定避難所)は、災害によって自宅に住めなくなった時や、自宅での安全を確認できるまでの一定期間に利用する施設です。自治体が発行する避難所マップには、避難所の場所や対象となる地域の目安などが記されているので、目を通しておきましょう。
- 集団生活のマナーとルールを守る
災害直後の避難所は大勢の人が身を寄せるため、狭い空間での集団生活や物資不足が原因でトラブルが起こりがちです。また、避難生活が長期化すると、人間関係やプライバシーに悩む人もいます。
非常時における集団生活ですから、自宅のようにマイペースという訳にはいきませんが、思いやりとゆずりあいの心を忘れないようにしたいものです。
- 避難所で起こりやすいトラブルと対策
主なトラブル | 具体的な問題点 | 対策 |
---|---|---|
住環境のトラブル | 狭い 寒い、暑い トイレが使えない など | 避難者が多く、物資が不足しがちな災害直後に起こりやすいトラブル。東日本大震災では、定期的に避難者の部屋替えをする、簡易トイレを増設するなどの対策が行われました。防寒具(毛布など)が足りない時は、断熱性の高い段ボールや新聞紙、ゴミ袋などを床に敷いたりして寒さをしのいだ人も。 |
配給時のトラブル | 配給の回数が少ない 行列で長時間待たされる 配分の不平等が起こる 必要な物資が届かない など | 配給時は秩序ある配分を心がけ、お年寄りや病気の人など支援が必要な人を優先して配分します。避難生活が長期化すると、知り合いからの差し入れの有無などで物資の格差が起こりやすくなるため、自分が使わないものや余剰のものは他人にゆずるなどの配慮が必要。 |
集団生活のトラブル | プライバシーが確保できない 被災者同士の言い争い、ケンカ 騒音、悪臭 貴重品の盗難 | 避難生活が長引くと、どうしてもストレスが溜まりやすくなりささいなことでトラブルに発展しがち。お互いに協力し合うよう心がける一方で、プライバシーを尊重し、他人のスペースにはむやみに立ち入らないようにしましょう。自宅から持ち込んだ貴重品やお金などは必ず持ち歩き、盗難を未然に防ぎましょう。 |
健康上のトラブル | 感染症の流行 運動不足による体力の低下 エコノミークラス症候群 不眠、イライラして怒りっぽくなる | 避難所はどうしても空気が乾燥しやすく、インフルエンザなどの感染症が流行りやすくなります。うがい、手洗いを習慣づけ、マスクを着用してください。また、運動不足になると体力の低下や気分の落ち込みを招きやすくなります。毎朝のラジオ体操に参加する、定期的に歩くなど運動の機会を増やしましょう。手足を動かすことはエコノミークラス症候群の予防にもなります。 |
ペットのトラブル | 鳴き声 臭い 排泄 アレルギーの人、動物が苦手な人への配慮不足 | 避難所はペットOKのところを選びます。急な環境変化によるペットのストレスを最小限に抑えるために、いつも使っているおもちゃや毛布を持参し、飼い主さんができるだけ一緒にいてあげるようにしましょう。ほかの避難者の迷惑にならないよう、日頃からケージの出入りや「待て」「伏せ」などの動作に慣れさせておきましょう。 |
- 避難所生活で「あると便利なもの」
※基本の災害持ち出し品については「家庭でできる災害対策&リスト」を参考にしてください。
寒さ対策 にあると便利なもの 繰り返し使えるカイロ 避難所では暖房が制限されるため、冬は夜の冷え込みがつらくて眠れなかったり、風邪をひいたりする人が増えやすくなります。配給時に屋外の行列に長時間並ぶこともあるので、帽子やマフラーなどの防寒具は必須です。そのほかに繰り返し使えるタイプのカイロがあれば、使い捨てのためにたくさん準備する必要がなくなるので便利です。 |
持ち物の管理 にあると便利なもの 養生テープ、油性マジック 配布された用紙などを見えやすい場所に貼り付けたり、ちょっとしたメモを直接マジックでテープに書き込んだりすることができます。名前を書いたテープを持ち物に貼る、段ボールをつなぎ合わせて簡単な補修をするなど、使い勝手がよいので手持ちのバッグの中に入れておくとよいでしょう。使い終わった後にキレイにはがせる養生テープがおすすめ。 |
安眠のため にあると便利なもの アイマスク、耳栓 避難所で思わぬストレスとなるのが、寝ている時に聞こえる他人のいびき、歯ぎしり、寝言です。このほか、トイレなどで起き出す人のゴソゴソ音や、会話の音漏れ、光漏れなども睡眠不足の原因となるため、アイマスクと耳栓で対策をしましょう。 |
健康を守るため にあると便利なもの マスク、除菌用ウェットティッシュ マスクがあれば、感染症の予防や粉じん対策に効果的。また、女性ならノーメイクでもマスクで顔を覆うことができるので安心です。除菌ウェットティシュは、手を洗う水が制限されている時や、衛生状況が気になる時などに使用しましょう。 |
- 知っておきたい「福祉避難所」
避難者のうち、介護が必要なお年寄りや障がい者、妊産婦、乳幼児、病気の人などは、一般的な避難所では生活の負担が大きくなりがちです。そこで各自治体では、支援が必要な人たちのために、介護スタッフによるケアや、ポータブルトイレ、手すりや仮設スロープなどバリアフリーに配慮した「福祉避難所」の導入に取り組んでいます。
福祉避難所は2007年の能登地震で初めて導入され、その後も新潟中越沖地震、東日本大震災などでも支援が必要な人たちをケアしてきました。
厚生労働省の調査によると、福祉避難所は東京23区では全区で導入されており、ほかでも5割以上の自治体で導入が進んでいます。避難所で支援を必要とする人やその家族は、近隣に福祉避難所があるかどうか自治体の窓口に問い合わせましょう。
- 場合により「疎開」も検討する
災害からの復旧が遅れて避難所生活が長引くと、疲労やストレスがたまって体調を崩したり、「震災うつ」という状態に陥ることもあります。災害と避難生活による心身の負担を少しでも軽減するために、場合によっては疎開をして被災地から離れることも検討しましょう。主な疎開先には、被災地から離れた実家や親せきの家や、自治体が借り上げた避難住宅などがあります。また、自治体同士で避難者の受け入れ協定を結んでいるところもあるので、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
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