2015年7月10日 更新
食欲が落ちやすい夏は、冷たい麺類などあっさりしたものを好んで食べることが多くなり、栄養バランスが乱れてしまうことも。けれども暑さに負けない体づくりは栄養バランスのとれた食事が不可欠です。
食事は毎日のエネルギーの源。だからこそ、食事が不規則、冷たいものばかり食べる、栄養が偏っているといった食生活の乱れは、夏バテや夏風邪の原因に。あなたの食生活は大丈夫ですか?
たんぱく質やビタミンB1、ミネラルを積極的にとる 強い日差しやじめじめとした湿気で体力を奪われやすいため、夏の体はエネルギー不足気味。そこでエネルギーのもとになるたんぱく質を意識してとるようにします。また、疲労を回復して体のエネルギー生産を手助けするビタミンB1やビタミンC、発汗で失われがちなミネラル類(カルシウム、カリウム、ナトリウムなど)を含む食品も食事に取り入れましょう。
たんぱく質を含む主な食品
肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品 など
ビタミンB1を含む主な食品
豚肉、うなぎ、玄米 など
ミネラルを含む主な食品
魚介類、大豆製品、葉物の野菜、乳製品 など
夏野菜で体を冷やす 「食」を「薬」と考える漢方や薬膳では、食べ物には体を温める効果のある「温熱性食物」と、体を冷やす働きがある「涼感性食物」の2つがあると定義しています。涼感性食物は基本的に旬が夏のものや暑い地方で採れるもので、トマト、ナス、ゴーヤ、冬瓜、メロンなどの夏野菜や果物がこれに当てはまります。旬のみずみずしい食材で体温の上昇を抑え、快適に過ごしてください。
冷たいドリンクやアイスにご用心 暑いからといって冷たいドリンクやアイスばかり口にしていると、胃腸に負担がかかって消化不良になり、食欲が低下する悪循環に陥ってしまいます。ドリンクに入れる氷の量を減らすなどして、胃腸をいたわりましょう。水などにレモンの汁を数適たらすと、清涼感が出て暑さがやわらぐのでおすすめです。
スパイスや薬味を使って食欲を刺激 食欲がない時は、食欲増進効果のあるスパイスや薬味を料理に加えてみましょう。ピリッとした味と香りが刺激となって、驚くほど食事が進みます。スパイスや薬味には食欲増進効果だけでなく、料理の腐敗を防いだり、免疫力をアップさせる効果もあるので夏の料理にぴったりです。
夏バテの対策や予防に効果がある食材と、簡単なレシピをご紹介。「最近、疲れやすいな」と思ったら、早めに夏バテを防ぐ食べ物をとるようにしましょう。
ネバネバ野菜 夏に旬を迎えるオクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキなどのネバネバ野菜。胃壁を保護して消化不良を防いでくれるほか、疲労回復効果や整腸効果などもあります。
オクラとモロヘイヤの梅和え
(材料:2人分)
オクラ 10本
モロヘイヤ 1袋(100g)
梅干し 大1個
ポン酢 少々
かつおぶし 適宜
(作り方)
①オクラは塩(分量外)をつけてこすり、産毛をとる。モロヘイヤは葉を摘む
②熱湯で①をサッと茹でる
③オクラは熱湯から上げてザルで冷ます。モロヘイヤは冷水にとって冷やし、水気を絞ってから細かく刻んで粘りを出す
④③にちぎった梅干しとポン酢を加えて混ぜ合わせる。お好みでかつおぶしを加えて味をととのえる
緑黄色野菜 日差しをたっぷり浴びて光合成したトマト、カボチャ、ピーマン、ゴーヤなどの緑黄色野菜は、夏に不足しがちなビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。
ラタトゥイユ
(材料:2人分)
カボチャ 100g
トマト 1/2個
玉ねぎ 1/2個
ピーマン 1個
ナス 1/2個
ベーコン 50g ニンニク 1かけ 白ワイン 50cc
固形スープの素 1個 オリーブ油 大さじ2 塩・こしょう 少々
(作り方)
①カボチャ、玉ねぎ、ピーマン、ナスは一口大にカットする。トマトは湯むきして大き目のざく切りにする
②鍋にオリーブ油大さじ2を熱し、細切りにしたベーコン、みじん切りにしたニンニクを炒め、玉ねぎ、カボチャ、ナスの順に炒める
③ピーマン、トマト、白ワイン、スープの素を加え、蓋をして弱めの中火で10~15分程煮る。仕上げに塩、こしょうで味をととのえる
豚肉 疲労回復と体のエネルギーをつくり出す効果のあるビタミンB1がたっぷり。発汗で失われやすいカリウムなどのミネラルも含まれています。夏野菜と一緒に食べることで、栄養の吸収がアップします。
豚肉とゴーヤの味噌炒め
(材料:2人分)
ゴーヤ 1/2本
玉ねぎ 1/2個
豚ロース肉(薄切り)100g
豆板醤、甜麺醤 各小さじ1
しょう油 大さじ1/2
サラダ油 大さじ1
(作り方)
①豚ロース肉と玉ねぎは一口大、ゴーヤは縦2つ割りにしてスプーンで種とワタを除いて半月状に薄切りする
②鍋にサラダ油大さじ1を熱し、豚肉を炒める。
③②に火が通ったら玉ねぎとゴーヤを加えて炒め、玉ねぎがしんなりしたら火を止めて豆板醤、甜麺醤、しょう油で味付けする
うだるような暑さも、冷たいアルコールで喉を潤せば気分も爽快に! 夏におすすめのアルコールやおつまみ、飲み方の工夫などを紹介します。
夏の定番、ビールのおいしい飲み方は
夏のアルコールと言えばビール。ビールは体をつくる元になるたんぱく質や、汗などで失われやすいビタミンやミネラルをバランスよく含んでおり、夏の疲れを解消するのにぴったりのアルコールです。
ビールの飲み方や温度は好みが分かれるところですが、夏にぴったりの飲み方は、ビールにレモンを絞って爽やかな風味をプラスしたり、氷を浮かべて冷たさを楽しんだりする方法。氷入りのビールは、蒸し暑い東南アジアではポピュラーな飲み方ですが、入れすぎると胃腸に負担がかかるため、冷たすぎない程度に調節します。
温度については、一般的には夏なら4~6℃位が喉越しや泡立ちが最も良く、おいしさが引き立つとされています。家庭の冷蔵庫であれば3~4時間位を目安に冷やすとよいでしょう。ちなみに最近は、氷点下で味わうビールを導入している飲食店もあります。キンキンに冷えたビールを楽しみたい人にはおすすめですが、こちらも胃腸に負担をかけないよう飲み過ぎに注意してください。
ビールによる冷え過ぎ、脱水症状には注意
夏におすすめのビールですが、飲みすぎると胃腸が冷えて食欲が低下したり、また、利尿作用があるため脱水症状を引き起こすこともあります。
胃腸を冷やさない飲み方のコツは、がぶ飲みを避けてゆっくり飲むことです。大きいジョッキだとハイスピードで飲んでしまいやすいので、できれば小さいジョッキを注文しましょう。
ビールと一緒に水(または白湯)を飲むと水分補給になるだけでなく、胃腸や肝臓の負担を減らし、飲み過ぎの防止にもなります。
ビールに合うおつまみとは
夏が旬の枝豆は、ビールのおつまみとしても人気。枝豆にはビタミンB1が豊富に含まれているため、夏バテ予防に役立ちます。また、枝豆のビタミンB1、ビタミンCがアルコールの分解を助けるという作用もあります。
胃腸の粘膜を保護する効果のあるチーズも、夏におすすめのおつまみです。日本でもポピュラーなモッツァレラチーズは、夏においしさの旬を迎えるチーズ。トマトとの相性もよく、トマトにモッツァレラチーズを組み合わせたサラダやピザは、ビアガーデンや居酒屋などのメニューにも見られます。
ビールをたくさん飲んだ後は、デザートに果物を食べるのもよいでしょう。果物に含まれる果糖がアルコール分解をうながし、二日酔いを防いでくれます。
気温や湿度が高いと細菌が繁殖しやすくなり、食中毒が起きる原因となってしまいます。調理や食事の前後、食品の保存などに気を配り、食中毒を防ぎましょう。
石けんでの手洗いが基本 食中毒を予防するには、まず石けんでの手洗いを徹底する必要があります。外出からの帰宅時、調理の前後、食事の前などに忘れず手洗いをしましょう。指のまたの間、爪の中、手首などまでしっかり洗うようにします。
食品に細菌がつくのを防ぐ 買い物をしたら、汁が漏れるおそれのある肉や魚は一つずつビニール袋に入れ、帰宅したらすぐに食品を冷蔵庫や冷凍庫の中に入れます。料理は室内で長時間放置せず、残り物などは早めに清潔な容器に保存して冷蔵庫や冷凍庫に移しましょう。保存後の食品は、少しでも怪しいと感じたら食べずに捨ててください。
正しい食品保存の方法
加熱した食品をすぐに保存容器に入れてしまうと、食品から出る熱い湯気が容器内にこもって細菌が繁殖しやすくなります。保存をする時は必ず食品を冷ましてからにしましょう。容器に移す前に、ペーパータオルに酢を含ませて容器の内側を拭いておくと、酢の抗菌・防腐作用で細菌の繁殖を抑えることができます。
また、一度箸をつけた食品をそのまま冷蔵保存するのは危険です。調理時に量を調整して作りすぎないようにするか、もしも食べ残した場合は、箸をつけた部分をしっかり取り除いてから容器に移して冷蔵保存し、食べる時に必ず電子レンジなどで再加熱をしましょう。
生の食品の取り扱いに注意 冷蔵庫やキッチンはいつも清潔に保ち、作業中はこまめに手を洗います。特に、生の肉や魚、卵を触ったら、丁寧に手を洗い、アルコール除菌も忘れずに。肉や魚はしっかり火を通します。目安としては、中心部の温度が75℃の状態で1分以上加熱すればOKです。
抗菌・防腐作用のある食品を取り入れる 梅干しや酢、ワサビ、シソ、ニンニク、ショウガなどは抗菌・防腐にすぐれており食中毒を防ぐ効果があるので、ぜひ料理に取り入れてみてください。お弁当箱にご飯やおかずを詰める前に、酢をスプレーしてから詰めるとよいでしょう。
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