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2015年7月10日 更新

夏でも過ごしやすい住まいの工夫

夏の室内に熱気がこもる理由の一つは、強い日差しや地面の照り返しによって建物の温度が急上昇し、室内にまで熱が伝わるから。また、窓から届く日差しも室内を直接温めてしまうため、エアコンがなかなか効かないケースもあります。
室内に熱が届かないようにして暑さをやわらげたり、エアコンの効率を高めたりして夏でも過ごしやすい室内環境をつくりましょう。

  • 外からの熱をシャットアウト
  • 植物を味方にして暑さをしのぐ
  • 室内の風通しをよくする
  • 断熱性能の高い窓まわりに
外からの熱をシャットアウト

暑さの原因となる熱や日差しを遮るには、カーテンを閉める方法もありますが、日差しを受けた窓ガラスやカーテンに熱がこもって余計に室内を温めてしまう場合もあります。できれば室内ではなく、窓の外で熱や日差しを遮りましょう。

すだれをかけて涼しく 昔ながらの日除けアイテムである「すだれ」は、軒先に吊るすことで日差しを遮り、室内が暑くなるのを防ぎます。日差しを遮りつつも風を通すので室内は涼しくなり、おまけに室内からはすだれ越しに外が見えますが、外からは室内が見えることはありません。
すだれと似たようなものに、壁によりかけて日差しを遮る「よしず」もあります。

洋風の日除けアイテムも すだれやよしずは日本の夏にぴったりの和のアイテムですが、建物の外観が洋風の場合、見た目がちぐはぐになってしまうことも。そんな時は、「西洋よしず」とも言われる「サンシェード」や、オープンカフェなどで見かける、窓の上部に張りだした日除け布の「オーニング」などを設置してはいかがでしょうか。どちらも、すだれやよしずと同様、窓の外に配して日差しを遮ることができます。

打ち水をする 地面に水をまくと、水分が蒸発する時に周囲の熱を奪う「気化熱」という現象が起こります。この気化熱を利用したのが打ち水で、熱がたまりやすい玄関先や庭にまくと空気がスッと涼しくなり、温度の上昇を抑えられます。熱ですぐに水分が蒸発してしまわないよう、温度があまり高くない朝夕に水をまいたり、床だけでなく壁にもまくようにすると涼感がアップ。マンションではベランダに水をまくのも効果的です。

植物を味方にして暑さをしのぐ

家のまわりや室内に、みずみずしい潤いを添えてくれる植物。実は植物には、葉から水分を蒸発させる時に葉のまわりの温度を下げる「蒸散作用」という作用があります。ナチュラルな暑さ対策アイテムとして、植物を取り入れてみませんか?

家の周囲に木を植える 森林の中に入ると、スッと空気が涼しくなるのを経験したことはないでしょうか。周囲に木があると、木の枝や葉が日差しを遮り、涼しげな木陰をつくりだします。加えて植物の蒸散作用によって、まわりの温度が下がるというメリットも。木を植えるには個々の住宅事情やお手入れの問題などもあり、木が成長するまで時間もかかりますが、木が生い茂る庭をつくることができれば、自宅にいながら森林にたたずむような涼しさや爽快感が味わえるはずです。

グリーンカーテンをつくる 夏になると、住宅街のあちこちでベランダや窓辺にネットを張ってツル性の植物をはわせたグリーンカーテンを見かけるようになります。グリーンカーテンは植物の葉が日差しをやわらげつつ、外からの風を通すことで室内の温度の上昇を抑えます。また、植物の蒸散作用によって葉の周囲の空気が冷やされ、窓の表面の温度も下がるというすぐれもの。緑の葉が風にそよぐ見た目も涼し気です。

グリーンカーテンにおすすめの植物 実がなる植物 ゴーヤー、ヘチマ、キュウリ、ひょうたん など 花を楽しむ植物 朝顔、夕顔、フウセンカズラ など

グリーンカーテンのつくり方

①深めの大きなプランターを用意し、培養土を入れる
②苗を20~30㎝間隔で植える
③苗が短いうちは支柱で支え、ツルが伸びてきたら園芸用のネット(升目の目安は10㎝)で巻きつける
④本葉が6~7枚生えてきたら真ん中のツル(親ヅル)を摘み取り、脇に生えているツル(子ヅル、孫ヅル)を伸ばしていく
⑤実がつく頃に追肥を行う

観葉植物を置く 植物を使って手軽に暑さ対策をするなら、玄関回りや室内に観葉植物を置いてみましょう。植物の蒸散作用はもちろん、身近に緑があることで気分が安らぎ、暑さを忘れさせてくれます。特に、水に挿しておくだけでぐんぐん生長するアイビーは、見た目にも涼しい夏におすすめの植物。花瓶の代わりにガラスの器や陶器皿などを使うと、さらに涼しい印象になります。

室内の風通しをよくする

風通しのよい家は、室内の温まった空気が屋外に流され、屋外から冷えた空気が入り込んで室内の空気をかきまぜることによって快適な温度が保たれます。

風の通り道をつくる方法 室内の風通しをよくするには、風の通り道をつくることが大切です。風が入ってくる窓を開け、対面する壁にある窓も開けて風の出口を確保しましょう。この時、風の流れを妨げる家具などがあればずらしておきます。
また、窓の開き具合も重要です。風の入り口にあたる窓の開きは15センチくらい、出口にあたる窓は全開にすると、空気の流れが加速して、室内の温まった空気を逃しやすくなります

マンション室内の風の通り道 マンションの場合、換気扇を回して、同時に換気扇から一番遠い窓を15センチくらい開けると室内の温まった空気を排出することができます。このほか、ベランダ側の窓を15センチくらい開けて、玄関ドアもドアストッパーなどを使って少し開けて風を通す方法もあります。

網戸のお手入れをする 網戸の目が詰まると、室内に砂やホコリが入り込む原因に。定期的にお手入れをして、きれいな空気を室内に取り込みましょう。お手入れの目安は週に1度、ポリバタキ(ポリプロピレン製のフワフワしたハタキ)で網戸の目を軽く払います。ポリバタキは使用前に軽く2〜3回振っておくと静電気が起こり、ホコリがくっつきやすくなります。
掃除機を使う場合は、網戸の反対側に新聞紙を当てて、掃除機をかけて汚れを吸い取ります。網戸がへこんだら、ヘアードライアーの温風を軽く当てると元に戻ります。

断熱性能の高い窓まわりに

家の中でも、窓は特に外部からの空気が侵入しやすい場所。夏の温かい空気が窓を経由して室内に入り込まないように、窓の断熱性能を高めましょう。

窓の断熱リフォーム 一般的な窓の断熱リフォームには、1枚の窓ガラスをぺアガラス(複層ガラス)に変更する方法があります。これによりエアコンの効率が高まり、少ないエネルギーで室内を過ごしやすい温度に保つことができます。

窓枠の隙間をふさぐ 窓枠に隙間があり、そこから温かい空気が入り込んでくる場合は、スポンジ状の隙間テープを貼るか、コーキング剤(隙間充填剤)を充填して隙間をふさぎます。隙間テープやコーキング剤はホームセンターで購入できます。

コラム「輻射熱とは?」

炭火や遠赤外線ヒーターに手をかざすと、じわじわと温かさを感じます。これは炭火やヒーターによって空気が温められたのではなく、「輻射熱」という電磁波の一種が炭火やヒーターから発され、熱腺となって手に熱が伝わったからです。
暑い夏は、家のまわりにさまざまな熱源があることが分かります。日差しを浴びたアスファルトの道路や路上に止めた車、隣家の屋根などが熱をはらんで、この輻射熱を発しています。輻射熱が室内まで届かないようにするには、窓の外にすだれを掛ける、打ち水をして建物に水の保護膜を張るといった方法が有効です。

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最終更新日 2024年10月30日