2016年3月1日 更新
いつも身近だけれど意外と知らない、公園のアレコレを一挙紹介。公園の役割やロケーションなど、これを読めば公園に対する印象が変わってくるかも知れません。
街なかを歩いていて、公園に一歩足を踏み入れた瞬間、空気がスッときれいになったように感じた経験はありませんか?
公園の空気がきれいな理由は、敷地内に植えられているさまざまな樹木や花などの植物の働きがあるからです。植物が光合成をすると、葉の気孔という穴から二酸化炭素を取り込み、酸素に変えて放出するのですが、この時に大気中の汚れも吸収して空気の浄化をうながします。また、同時に根から吸いあげた水分を気孔から水蒸気として放出する「蒸散作用」により周囲の気化熱が奪われ、都市のヒートアイランド現象(※)を緩和する働きもあります。
都市の空気は、工場や車などから排出される窒素酸化物や二酸化炭素による汚染がしばしば問題となっています。また、都市のヒートアイランド現象にともなう気温の上昇も私たちの生活に深刻な影響を与えています。このような環境問題から都市を守ることは、公園の大切な役割です。
※ヒートアイランド現象とは 都市において、河川の埋め立てや道路のアスファルト舗装、ビルの密集による風通しの悪化などで地面や空気に熱がこもり、気温が上昇する現象のこと。ヒートアイランド現象が進行すると、真夏日や熱帯夜の増加、集中豪雨の発生を引き起こし、熱中症などの健康被害を招くおそれが指摘されています。
地震、大雨、火事などの災害が起きると、公園は次のように災害から都市を守ります。
- 遊水地として
川のそばにある公園は、氾濫した水を一時的に受け止める「遊水地」として働き、付近の住宅地などに流水が流れ込むのを防ぎます。
- 防火帯として
建物などが密集する地域で火災が起きた時に、公園が「防火帯」となって火が広範囲に燃え広がるのを防ぎます。
- 防災公園として
「防災公園」とは、震災時に「避難場所」や「活動拠点」として利用される公園のことです。「避難場所」に指定された公園のうち、比較的小規模な公園は「一時避難場所」として、近所の人たちが集まって被害のようすや災害情報を集める時に利用されます。また敷地の広い大規模な公園は「広域避難場所」として、地震による火災や有毒ガスから身を守るために利用されます。このような避難場所の公園には、防災用品をストックする「防災倉庫」が置かれることもあります。
「活動拠点」に指定される公園は、行政による現地対策本部の設置をはじめ、関係機関との連絡調整、応急復旧活動の指揮、自衛隊や消防、警察などの支援部隊のベースキャンプ地にもなります。
防災公園は、平常時は通常の公園としてはもちろん、防災体験などのイベントも行われています。
2013年に誕生した「目黒天空庭園」は、首都高速道路大橋ジャンクション(JCT)の屋上にある区立公園。地上11~35mもの高さに立っているため、目の前に空が広がる不思議なロケーションで、富士山を見渡せる展望台デッキや広場、じゃぶじゃぶ池などもある地域の憩いの場です。
目黒天空庭園のほかにも、公共施設の敷地内や隣接地といった思わぬ場所に公園が設置されている例があります。じっくり探してみると、
穴場が見つかるかもしれませんよ。
★目黒天空庭園(東京/目黒区)
https://www.city.meguro.tokyo.jp/shisetsu/shisetsu/koen/tenku.html
★東京都落合水再生センター(東京/新宿区)せせらぎの里公苑・落合中央公園
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/odekake/syorijyo/03_09.htm
★芝浦水再生センター(東京/港区)浜風の里
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/odekake/syorijyo/03_01.htm
★神奈川県立あいかわ公園(神奈川/愛甲郡)
http://www.aikawa-park.jp/
★雀川砂防ダム公園(埼玉/比企郡)
http://www.town.tokigawa.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=11966
共働きをしながら子育てをしている家庭にとって、保育所(認可保育所)への入所を希望しても入れない待機児童は切実な問題。そんな中、東京都の品川区、荒川区、世田谷区では、2017年に公園内に保育所を開設することを決定しました。
保育所を設立しようとしても保育士の数が足りていないことは割と知られていますが、都市部では用地の確保もネックになります。現状の法律では公園内に保育所は設置できないのですが、これらの区では国家戦略特区による規制緩和を活用し、公園に保育所を設置して待機児童の解消に乗りだしました。
公園内保育所のプロジェクトは、東京都以外に、横浜市でも検討されているそうです。公園の緑豊かな環境が保育園に利用されれば、両親はもちろん、そこに通う子どもも喜びそうですね。
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