2015年11月28日 更新
物件探しの有力な手がかりとなる不動産広告。キャッチコピーや最寄り駅、価格など、パッと目につく項目もありますが、細かい文字や専門的な用語も多く、分かりにくい項目は読み飛ばしてしまいがちです。ここでは不動産広告の基本的な項目の意味を学び、重要な情報を読み取るスキルを磨きましょう。
「駅まで5分」「リビングが○㎡で広々」など、物件の最大のアピールポイントが記載されています。
物件写真や完成予想図、間取り図、周辺地図などを掲載します。物件写真は原則として実際に売り出されるものを掲載しなければなりませんが、未完成の場合のみ、建物が同じ別の物件や完成予想図を、それが実物ではない旨を明らかにして掲載することができます。また、完成予想図は物件の周囲の建物まで描かなくてもよいルールになっており、イラストやCGにより実物よりきれいに見える場合がほとんどです。そのため絵は参考程度と考え、実際の現地や周辺環境をきちんとチェックしましょう。
広告主である不動産会社の名称や免許番号、加盟団体などが記載されています。免許番号や加盟団体などは不動産会社の信頼度を見分けるポイントにもなります。
※免許番号や加盟団体については「不動産会社の選び方」を参照
物件タイプや最寄り駅、間取りなど、希望条件に挙げられることが多い項目が目立つように表示されています。
1)物件タイプ | 新築または中古、戸建またはマンションをチェックできます。不動産広告では建築後1年未満で誰も住んだことのない物件のみ「新築」と表示し、それ以外は「中古」となります。 |
2)物件名 | 戸建ての場合は大まかな所在地(町名など)や分譲地の区画番号などが、マンションの場合はマンション名が表示されます。 |
3)最寄り駅 | 本来の意味では物件から最も近い駅のことですが、複数駅の利用が可能な物件では、その中で最も有名な駅や急行停車駅を表示する場合があります。 |
4)間取り | 2LDK、1DKなどの略記号で部屋のタイプや数をあらわします。 |
5)価格 | 戸建てやマンションの価格には土地と建物の価格が含まれています。中古物件は建物価格・土地価格ともに消費税がかかりませんが、新築物件は建物価格のみ消費税がかかります。 |
専門的な用語が多いため、慣れていないと難しいように感じるかも知れませんが、物件の取引形態や権利関係など、物件に関わる重大な項目が記載されています。
6)所在地 | 新築の場合、所在地は登記上の表記である「地番」が用いられることも。地番は一般的な「住居表示」と異なる場合があり、注意が必要です。 |
7)交通 | 徒歩時間は80mを1分として算出。ただし信号待ちや坂道などは考慮されていないため、実際に歩いて所要時間を確認しましょう。 |
8)土地面積 | 登記簿に登記された「登記簿面積」と、実際に測定した「実測面積」の2種類があります。登記簿面積と実測面積が一致しないことがあるので、どちらが記載されているか確認しましょう。土地の一部に私道の負担がある場合はその旨も記載されます。 |
9)建物面積 | 壁の厚みの中心線から測った「壁芯面積」と、壁を含まない床面積だけの「内法面積」の2種類があります。不動産広告に表示されているものは壁芯面積ですが、登記簿には内法面積が登記されます。 |
10)構造・規模 | 建物の構造(木造・RC(鉄筋コンクリート)・SRC(鉄骨鉄筋コンクリート))や、何階建てであるかが表示されます。 |
11)築年・入居 | 建物の完成時期と入居可能予定時期が表示されます。建物が完成している場合は「完成済」などと表示されます。 |
12)駐車スペース | 駐車スペースの有無や台数が表示されます。台数は通常、普通車のサイズが基準となっているので、大型車の場合は実際に現地で確認しましょう。 |
13)地目 | 土地の用途をあらわすもので、売買対象となる土地の地目の多くは「宅地」です。地目が「田」「畑」などの場合、土地権利の移転や住宅建築などに制限があります。 |
14)都市計画区域 | 都道府県が定めた都市計画の区域のこと。都市部で住宅建築が可能な区域は「市街化区域」ですが、市区町村によっては市街化区域ではない「市街化調整区域」でも、一定の条件を満たせば建築が可能になることもあります。 |
15)用途地域 | 「第1種低層住居専用地域」など12の地域指定があります。用途地域によって建築できる建物の種類や規模、建ぺい率、容積率が異なります。 |
16)建ぺい率 | 土地面積に対する建築面積の割合のこと。 |
17)容積率 | 土地面積に対する建物の延べ床面積の割合のこと。 |
18)権利種類 | 「所有権」「普通借地権」「定期借地権」の3種類があります。所有権のある土地なら買い手が土地を所有することができますが、借地権の場合は土地の所有者に賃料を支払って、土地を借りる権利を得ます。 |
19)接道 | その土地が接している道路の方角と幅が表示されます。建築基準法により、住宅用の土地は幅4m以上の道路が間口2m以上接していなければ建物を建築できないなど、接道状況によって建築に制限があります。 |
20)建築確認番号 | 建築基準法にもとづく建築確認の基準をクリアした物件に発行される番号です。建築確認は建物の着工前に行われるため、建売住宅や新築マンションには必ず建築確認番号があります。 |
21)設備 | ガスや上下水道などの設備の種類が表示されます。 |
22)備考 | 上記の項目以外にもアピールしたいポイントや注意点などがある場合に表示されます。 |
23)取引形態 | 「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3種類があります。売主または代理の場合は、広告主である不動産会社と買い手が直接契約できますが、媒介(仲介)の場合は仲介手数料が発生します。 |
物件情報が公開された日です。日にちが経っていると情報が古い可能性があります。
不動産広告において、曖昧な言葉や、他の物件や他社より優良であると誤解を与えるような言葉を使うことは禁止されています。具体的に、次のような言葉がある広告や、その広告主である不動産会社には要注意です。
完全 完璧 絶対 日本一 抜群 当社だけ 特選 厳選 最高
最高級 格安 掘り出し 土地値 完売
※上記の表記であっても、明確な根拠があれば使用できる場合もあります
物件情報を収集していると、「予告広告」と記載された不動産広告を見かけることがあります。この予告広告とは、物件の契約や予約の申込みをうながすための本来の広告とは異なり、物件の販売予定時期を告知するために行われるものです。
そもそも不動産広告は、未完成の宅地や建物、価格が確定していない物件などについては広告を出してはいけない決まりになっています。ただし行政による開発許可や建築確認を受け、広告表示の要件を満たした分譲宅地、新築分譲住宅、新築分譲マンション、新築賃貸用マンションについては、価格が確定していなくても例外的に予告広告の掲載が認められます。そのため予告広告では、販売予定時期は必ず表示されていますが、価格などの情報は「予定」や「未定」という文字が並んでいます。
予告広告の段階では契約や予約の申込みはできませんが、資料請求をすることはできます。資料請求さえしておけば、価格などが確定した時点で不動産会社からメールや電話などで連絡が来るので、それまでゆっくり検討しましょう。
物件の重要な項目が記載されている「物件概要」の中でも、物件タイプによって特に押さえておきたいポイントがあります。
所在地
登記上の「地番」で表示されている場合は、末尾が「○番地○」となります。一般的な「住居表示」の「○丁目○番地○」と異なることもあるため、WEBマップなどで検索すると表示されないか、別の場所が表示される可能性があります。
総区画数(分譲住宅の場合)
総区画数から分譲地の規模が分かります。25区画以上の分譲地は「大規模分譲住宅」と呼ばれます。
今回販売区画数(分譲住宅の場合)
大規模分譲住宅の多くは「第1期販売」「第2期販売」のように期を分けて区画を販売するため、1回ごとの販売区画数の上限があります。買い手側からすると、例え人気の区画に抽選で外れてしまっても、次回の販売時に同条件の区画に申し込むことができます。
建築確認番号
建売住宅は建築確認番号の記載をチェックしましょう。建築確認番号がない物件は広告を出したり契約をしたりすることはできません。
築年・入居
建物が完成済なら比較的早く入居できますが、未完成の場合は引っ越しの時期を考慮しなくてはなりません。また、資材などの都合で完成予定時期がずれこむ可能性もあります。
所在地
登記上の「地番」で表示されている場合は、末尾が「○番地○」となります。一般的な「住居表示」の「○丁目○番地○」と異なることもあるため、WEBマップなどで検索すると表示されないか、別の場所が表示される可能性があります。
総戸数
総戸数からマンションの規模が分かります。一般的に、戸数が多いマンションほど一戸あたりの管理費の負担が少なくなります。
今回販売戸数
マンションは「第1期販売」「第2期販売」のように期を分けて物件を販売する場合が多く、1回ごとの販売戸数の上限があります。買い手側からすると、例え人気の部屋に抽選で外れてしまっても、次回の販売時に同条件の部屋に申し込むことができます。
管理費
入居者が毎月負担する管理費の金額です。マンション購入後の月々の主な支払いには、住宅ローン返済に加え、この管理費と修繕積立金があります。管理費は、管理人の派遣や清掃、メンテナンスなどの費用に充てられます。
修繕積立金・修繕積立基金
修繕積立金は、入居者がマンションの改修工事費のために管理組合を通して毎月積み立てる費用です。ただし大規模な修繕時に修繕積立金が不足する場合もあり、そのため最近では修繕積立基金として、入居時に数十万円程度を支払うマンションが増えてきました。
管理
管理を委託する管理会社や管理体制が表示されます。管理体制には「自主管理」「部分委託管理」「一括委託管理」の3種類があり、このうち最も多い一括委託管理は、管理業務を一括して管理会社にまかせる方法です。
駐車スペース
駐車台数や月額使用料のほかに、設置が屋外か屋内か、または平置きか機械式かなどをチェックします。
建築確認番号
建築確認番号がない新築マンションは広告を出したり契約をしたりすることはできません
築年・入居
建物が完成済なら比較的早く入居できますが、未完成の場合は引っ越しの時期を考慮しなくてはなりません。また、資材などの都合で完成予定時期がずれこむ可能性もあります。
都市計画区域
都市部において、一般的に住宅建築が可能なのは「市街化区域」で、「市街化調整区域」は基本的に建築ができません。ただし中には市街化調整区域でも法律の適用以前に住宅が建てられた「既存宅地」という土地もあります。このような既存宅地を購入すると、増築や建て替えができない、住宅ローンの審査が通らないといったリスクもあります。
建ぺい率・容積率
建物の建ぺい率や容積率は、その土地がある用途地域によって異なります。もしも購入する建物が建ぺい率や容積率に違反していると、建て替え時に現状より規模が小さくなります。
接道
住宅用の土地は幅4m以上の道路が間口2m以上接していなければ建物を建築できないのですが、法律の適用以前にこのような土地にある建物の場合、建て替え時に道路の中心部より2m後退した場所から建物を建てる「セットバック」を行う必要があります。
築年数
築年数が経過していると建物の老朽化が気になるところですが、修繕やメンテナンスの具合にもよるため、必ずしも築年数が浅いほうがよいという訳ではありません。ただし現在の建築基準法は1982年に耐震基準が改正されているため、1981年以前に建てられた建物の場合は耐震診断を依頼し、基礎や構造に問題がないかチェックしましょう。
現況・引渡し時期
現況が「空き家」なら、オープンハウスで見学したり、購入してもすぐ引渡しに進めるのですが、実際は買い手が決まるまで所有者が住んでいる「入居者居住中」ということも多く、そのような場合は引渡し時期について所有者と相談することになります。なお、中古物件はほとんどの場合、現状のままの引渡しになります。
築年数
築年数が経過していると建物の老朽化が気になるところですが、修繕やメンテナンスの具合にもよるため、必ずしも築年数が浅いほうがよいという訳ではありません。ただし現在の建築基準法は1982年に耐震基準が改正されているため、1981年以前に建てられた建物は耐震性が低い可能性も考えられます。戸建ての場合は個人で耐震診断や耐震リフォームを依頼することもできますが、マンションで同じことを行うのは難しいのが現実です。
現況・引渡し時期
現況が「空き室」なら、オープンルームで見学したり、購入してもすぐ引渡しに進めるのですが、実際は買い手が決まるまで所有者が住んでいる「入居者居住中」ということも多く、そのような場合は引渡し時期について所有者と相談することになります。なお、中古物件はほとんどの場合、現状のままの引渡しになります。
管理費
入居者が毎月負担する管理費の金額です。マンション購入後の月々の主な支払いには、住宅ローン返済に加え、この管理費と修繕積立金があります。管理費は、管理人の派遣や清掃、メンテナンスなどの費用に充てられます。
修繕積立金
修繕積立金は、入居者がマンションの改修工事費のために管理組合を通して毎月積み立てる費用です。
管理
管理を委託する管理会社や管理体制が表示されます。管理体制には「自主管理」「部分委託管理」「一括委託管理」の3種類があり、このうち最も多い一括委託管理は、管理業務を一括して管理会社にまかせる分、管理費が高くなります。
駐車スペース
駐車台数や月額使用料のほかに、設置が屋外か屋内か、または平置きか機械式かなどをチェックします。
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