2017年6月1日 更新
食品の情報を知る手がかりになる食品表示ですが、中には表示の定義や考え方が分かりにくいものもあって、「これの表示の意味は何?」と迷ってしまうことも。
食品を選ぶ上で知っておきたい表示の意味を、Q&A方式で紹介します。
入っているの?
食品によっては、不足しがちな栄養成分を補給できることを強調するために、パッケージに「○○たっぷり」「○○含有」といった表示を記載していることがあります。
このような強調表示は、どんな食品にも使用できる訳ではなく、成分が規定の基準値より高く含有されているものだけが使用できます。
補給したい栄養成分の表示 | |
---|---|
成分が「高い」とする表示 (○○たっぷり、○○が豊富、高○○など) | 成分を「含む」とする表示 (○○含有、○○使用、○○源など) |
ビタミンCなら、食品100g(飲料100ml)当たりの含有量が以下の基準を満たした場合に成分が「高い」、または成分を「含む」と表示されます。
◎ビタミンC含有量が30mg(15mg)以上
→成分が「高い」とする表示が可能(「ビタミンCたっぷり」など)
◎ビタミンC含有量が15mg(7.5mg)以上
→成分を「含む」とする表示が可能(「ビタミンC含有」など)
成分が「高い」、または成分を「含む」とする強調表示ができるものは、次のとおりです。毎日の食事で不足しがちな成分がある場合は、ぜひ摂取の目安にしてください。
成分が「高い」または成分を「含む」表示が可能な栄養成分 |
---|
たんぱく質、食物繊維、亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、Kおよび葉酸 |
また、エネルギー(カロリー)や脂質など摂りすぎに注意したい成分については、パッケージに「○○ゼロ」「○○控えめ」といった表示をすることもあります。この表示は、成分が規定の基準値未満の場合に記載されます。
摂りすぎが気になる成分の表示 | |
---|---|
成分を「含まない」とする表示 例)・○○ゼロ |
成分が「低い」とする表示 例)・○○控えめ |
(成分を「含まない」、または成分が「低い」表示が可能) エネルギー(カロリー)、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウム |
「原料原産地」は加工食品の原材料の原産地のこと。
「原産国」は輸入品に使われる用語です。
食品を選ぶ時に、産地が気になるという人も多いのではないでしょうか。食品の産地は、食品の種類などによって「原産地」「原料原産地」「原産国」といった用語が使い分けられており、それぞれ表示のルールがあります。
●原産地とは
生鮮食品(野菜、果物、肉、魚など)が生産された場所のことです。
◎農産物……国産品は「都道府県名」、輸入品は「原産国名(アメリカ産など)」が表示されます。
なお、「市町村名」や「よく知られている地名(信州、淡路島など)」が表示されることもあります。
◎畜産物……国産品は「国産」、輸入品は「原産国名(オーストラリア産など)が表示されます。
国産の場合、「都道府県名」や「市町村名」、「よく知られている地名(信州、淡路島など)」が表示されることもあります。
※畜産物は、2ヶ所以上の場所で飼養されることがありますが、その場合は最も長い期間飼養されていた場所が原産地となります。
◎水産物……国産品は「漁獲した水域名(瀬戸内海など)」または「養殖場がある都道府県名」、輸入品は「原産国名(ノルウェー産など)」が表示されます。
漁獲した水域名を表示することが難しい場合は、「水揚げ港(明石港など)」や「水揚げ港がある都道府県名」が表示されることもあります。
●原料原産地とは
加工食品の主な原材料である生鮮食品の原産地のことです。
国内で製造された加工食品のうち、梅干しなどの漬物、魚の干物、かつお削り節など26の食品が、原料原産地の表示の対象になっています。
●原産国とは
輸入された加工食品に表示されているもので、その食品を製造した国のことです。
食品表示には、「原産国名」とともに「輸入者」が記載されます。また、輸入された加工食品を国内で小分けして包装しなおした場合は、小分け・包装した業者が加工者として表示されます。
トクホとの違いは?
「機能性表示食品」とは、体への効能を表示できる食品のこと表示にあたり、国の審査は必要ない点がトクホと異なります。
2015年4月からスタートした「機能性表示食品」制度は、“体によい(健康の維持および増進に役立つ)”とされる食品の効能(機能性)を表示できるもので、一定の基準を満たした加工食品やサプリメント、生鮮食品などが対象になります。
現在、食品の機能性が表示される食品には次のようなものがあります。
●特定保健用食品(トクホ)
体によい保健機能成分(乳酸菌、キトサンなど)を含み、「おなかの調子を整える」「コレステロールを低下させる」などの表示が許可されている食品のことです。
特定保健用食品の効能や安全性については、食品ごとにヒトでの試験を行い、科学的に根拠を示す必要があります。試験データを国が審査して、消費者庁長官が特定保健用食品として許可すれば、製品パッケージに許可マーク(トクホマーク)が表示されます。
●栄養機能食品
既に科学的根拠が確認された栄養成分(12種のビタミンと5つのミネラル)を一定量含む食品のことです。
基準さえ満たしていれば国による審査や検証データの届け出などは特に必要なく、製品パッケージに「栄養機能食品(栄養成分名)」と表示されます。
●機能性表示食品
体によい効能(機能性)が表示されている食品のことで、2015年4月に施行された食品表示法で新たに創設されました。
機能性表示食品の場合、特定保健用食品のような国の審査はありませんが、科学的根拠にもとづいて効能や安全性を示す文献や論文のデータを消費者庁長官に届け出る必要があります。製品パッケージには「機能性表示食品」であることと「届け出番号」が表示されます。
「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」は、健康効果をうたうことのできる食品として、一般食品とは区別されます。ただし、どんなに体によい食品であっても、摂りすぎは栄養バランスの偏りを招きやすいので注意しましょう。
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