前のページでは住宅ローン控除の仕組みについてご紹介しましたが、ここでは住宅ローン控除を使いこなすための手続きやお得なコツをまとめてみました。住宅ローン控除を受ける際の参考になさってください。
住宅ローン控除を受けるためには、最寄り税務署で確定申告の手続きを行わなければなりません。
確定申告の手続きを行うのは、入居した翌年の1月1日~3月15日の期間内です。通常の確定申告は2月16日からですが、住宅ローン控除のための申告は、前倒しで手続きを行うことが可能です。
手続きというと「何だか難しそう……」と思われるかもしれませんが、必要書類を揃えて提出するだけなので、それほど難しい作業ではありません。
確定申告に必要な書類とその入手先は下のとおりです。入手先が多岐にわたるケースがほとんどですから、早めに入手して、スケジュールに余裕を持って手続きを行いましょう。
これ以外にも、個々のケースによって必要になる書類もあるので、詳細は税務署にお問い合わせください。 なお、サラリーマンの場合、確定申告が必要なのは初年度だけで、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。
一般の住宅の場合、住宅ローン控除額は2014年3月末までは最大200万円、2014年4月以降で最大400万円ですが、認定住宅になると最大控除額がそれぞれ100万円アップして、下の表のようになります。
このようにお得な認定住宅は、長期優良住宅または低炭素住宅の認定を受けた住宅の総称です。
- 長期優良住宅
- “200年住宅”とも呼ばれる長期寿命を誇る住宅で、子の代、孫の代まで良好な状態で使用できるように、耐久性、耐震性、バリアフリー性、省エネ性などについて基準が設けられています。長期優良住宅における性能基準は、住宅を長く維持することに主眼が置かれています。
- 低炭素住宅
- 省エネ性に特化した住宅で、一次エネルギー消費量や省エネ設備などに関する基準が設けられています。低炭素住宅は「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づいて、2012年12月よりスタート。住宅の省エネに配慮し、地球温暖化の一因とも言われる二酸化炭素の排出量の抑制を目指しています。
また、住宅ローンを利用せずに自己資金で住宅を取得した場合でも、認定住宅なら所得税の控除を受けられます。2014年3月までの入居なら、長期優良住宅を対象に、性能強化費用の相当額の10%を最大50万円まで控除。2014年4月以降は、長期優良住宅に加えて低炭素住宅も対象となり、性能強化費用の相当額の10%を最大65万円まで控除できます。
毎月のローンの返済額のほかに、資金に余裕がある時は、利息を含めた総返済額を減らすために先々の返済分を前倒しで返済することがあります。これが「繰上げ返済」という返済のテクニックで、ローン負担を軽減できます。
繰上げ返済の方法には、毎月の元利の返済金額はそのままで、返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間をそのままにして、毎回の返済額を少なくする「返済額軽減型」の2通りがあります。後者の返済額軽減型であれば返済期間が変わらないので安心ですが、前者の返済期間を短くする期間短縮ですと、残りのローンの返済期間が10年未満になってしまうこともあります。
残りのローンの返済期間が10年未満になると、その10年未満となった年以降の住宅ローン控除が受けられなくなります。繰り上げ返済によって少なくなる返済金額と、住宅ローン控除を受けることによって得られる減税額と、どちらがお得かシミュレーションしましょう。なお、返済期間を短くしても、トータルの返済期間が10年以上あれば引き続き住宅ローン控除が適用されます。
共働きの夫婦が、お互いにお金を出し合って住宅ローンを組む方法は3通りあります。
- A. 夫もしくは妻の単独名義でローンを組む
- どちらか一方が住宅ローンを組むケースです。例えば頭金を夫婦でそれぞれ出し合って、残りは夫の単独名義でローンを組んだとします。夫がローンを組むのですから、ローン返済の資源となるのは夫の年収です。妻は金融機関に対して債務を負担していないので、住宅ローン控除を受けられるのは夫一人ということになります。
- B. 夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組む
- 夫と妻が別々の住宅ローンを組むと、それぞれの年末ローン残高に応じて住宅ローン控除の適用を受けられます。
- 家は1つでもそれぞれが住宅ローンを組んで、それぞれが住宅ローン控除を受けられるのがこの方法のメリットです。同一の金融機関から夫婦が別々に住宅ローンを組む商品を「ペアローン」と言います。
- C. 収入合算して、一方が連帯保証人または連帯債務者になる
- この方法は、夫と妻のそれぞれの収入を合算してローン返済の資源とします。そしてどちらか一方の名義で住宅ローンを組み、もう一方は「連帯保証人」または「連帯債務者」になります。
- 連帯保証人と連帯債務者の違いを説明すると、連帯保証人は住宅ローンを組んだ本人と連帯して債務を保証する人です。あくまで保障する立場ですから、本人のローン返済が滞った場合に、借入れ先から返済請求を受けます。
- 一方、連帯債務者は住宅ローンを組んだ本人と連帯して債務を負担している人です。債務を負担しているということは、本人と同じように、借入れ先から返済を求められる立場にある訳です。債務を負担している分、連帯債務者は自分の負担割合に応じて住宅ローン控除を受けることができます。連帯保証人の場合は、住宅ローン控除を受けることはできません。
A.~C.をまとめると、共働きの夫婦がどちらも住宅ローン控除を受けられるのは、B.「夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組む」パターンと、C.「収入合算して、一方が連帯債務者になる」パターンです。
(連帯保証人の場合は、住宅ローンを組んだ本人しか住宅ローン控除が受けられません)
住宅ローンには借入れ条件がありますし、今は夫婦で共働きでも、どちらかが退職や休職、年収ダウンする可能性もゼロではありません。ですから夫婦で住宅ローンを負担する場合は、双方が無理のない返済計画を立てることが大切です。
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最終更新日 2024年10月30日
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