不動産売却に役立つQ&A
住まいの売却を何度も経験することはあまりなく、ほとんどの人が初めてです。分からないこと、不安なこと…そんな不動産売却でよくあるQ&Aをまとめました。
Q1.不動産売却にかかる費用は?
A.物件や売却方法によって変わってきますが、不動産売却では次のような費用がかかります。
・仲介手数料
不動産会社へ支払う仲介手数料は「売買価格×3%+消費税」というのが一般的。売買契約時に半金を支払い、取引が完了したら残りを支払います。
・印紙代
不動産売買契約書に貼付し、それを消印します。例えば、物件の売却代金が1,001万円~5,000万円であれば印紙代1万円がかかります(2022年3月31日までの印紙税軽減措置)。
・抵当権抹消費用
住宅ローンが残っていたら、全額返済して抵当権を抹消させます。抵当権の抹消を司法書士に依頼する場合は報酬として2~3万円程度を支払います。
・引越し費用
売却物件から退去して仮住まいをする場合は引越し費用も2倍に。不用品を処分するなら処分費用も発生します
・譲渡所得税
物件を売却して利益が出た場合は所得税と住民税が課税されます。
その他、必要に応じて測量費用、建物解体費用、廃棄物処分費用などがかかります。
Q2.住まいの買い替えは、売却が先?購入が先?
A.今の住まいを売却して、新居を購入することを「買い替え」といいますが、買い替えを大きく分けると、住まいを先に売却する「売り先行」と、新しい住まいを確保してから現在の住まいを売却する「買い先行」の2つがあり、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。
・売り先行(※住まいを先に売却する)
【メリット】
・売却価格が確定してから新居を探すので、資金計画が立てやすい
・急いで売却する必要がないため、価格などを検討しながらじっくり取り組める
【デメリット】
・引渡し日までに今の住まいを明け渡さなければならず、新居探しが慌ただしくなりがち
・新居が見つかるまで仮住まいになれば、その分の家賃や引越し代がかかる
買い先行(※新居を先に購入する)
【メリット】
・急いで購入する必要がないため、落ち着いてじっくり新居を探せる
・新居があるので引渡し・引越しの段取りがスムーズ
【デメリット】
・なかなか自宅を売却できない場合、新居とのダブルローンが発生するおそれも
・売却を急ぐあまり、安く買い叩かれてしまう可能性も
売り先行と買い先行、どちらがよいかは、資金や売却のタイミング、ローンの残債などによって人それぞれです。両者のメリットとデメリットを把握した上で、自分にとって無理のない方法を選択しましょう。
なお、今の住まいのローンが残っていても、不動産の売却代金で残債を一括返済すれば抵当権を抹消できますが、実際は売却代金がローン残債に満たない場合もあります。そのような場合は、自己資金で補てんするか、ローン残債を新居のローンに組み込める「買い替えローン」も検討してみましょう。
Q3.インスペクションって何? やらないとダメなの?
A.不動産におけるインスペクションとは、中古住宅の状況を確認する調査のこと。国土交通省の定めた調査基準に従って、専門家が目視と機械計測により建物の劣化や不具合の状況を診断します。
宅地建物取引業法の改正により、2018年4月1日から、不動産の売却仲介をする不動産会社は売主や買主に対してインスペクションについて説明し、依頼者の希望があれば、インスペクション業者のあっせんを媒介契約書に盛り込むことが義務づけられました。
不動産会社にはインスペクションの説明義務がありますが、実際にインスペクションを行うかどうかは売主や買主が決めることができます。やりたくなければ「やりません」と言えばそれでOKです。
インスペクションを行えば、売主は自分が知りたくなかった不具合まで明らかになる場合もありますが、そのような場合は売却前に補修をするか、購入希望者に不具合を告知して売却価格から補修費用を差し引くなどの対策を講じることで、売却後に不具合が判明して買主とのトラブルに発展するのを防ぐことができます。
買主にとっても、インスペクションをクリアした部分は問題ないことが分かるため、安心して物件を購入できるメリットがあります。
一方、デメリットとしては、インスペクションにかかる費用は4~6万円程度ですが、不具合が見つかったときに修繕費用が発生したり、購入希望者から不具合を理由に値引きを要求されたりする可能性があります。また、依頼から結果の報告まで2週間程度を要するため、少しでも早く売却したいときには不向きといえるでしょう。
なお、物件の築年数や状態などによって、インスペクションを受けたほうがよい場合や逆の場合もあります。まずは不動産会社の担当者と相談してみることをおすすめします。
Q4.なかなか購入希望者が現れない…。一体どうしたら?
A.物件を売り出してもなかなか買い手が見つからない場合は、まずは周辺の相場を見直してみましょう。もしかしたら近隣の同じような条件で売り出している物件より、明らかに高額な価格設定をしているかも知れませんし、物件の広告やチラシで魅力を十分に伝えきれていないのかも知れません。考えられる理由について不動産会社の担当者と相談しながら、売却価格を下げるか、あるいは物件の魅力が分かるような情報をどのように発信していくか、今後の販売活動を見直していくことが大切です。
買い手が見つからない主な理由をチェック!
・価格は相場に合っているか
・内覧時に住まいの掃除をきちんと行っているか
・物件広告に掲載している写真は魅力的か
・物件広告で魅力をきちんと伝えられているか。不足している情報はないか
もしも売却仲介を依頼している不動産会社や担当者に問題(やる気がないなど)がある場合は、担当者の交代を願い出たり、媒介契約の更新をせずに別の会社と契約したりすることができます。
これらの対策を行っても売れない場合は、物件を不動産会社に直接買い取ってもらう「買い取り」という制度もあります。買い取り価格は相場の60~70%程度になってしまいますが、短期間で急いで売りたいというときにおすすめです。
まとめると…
スムーズな取引を目指しましょう。
1回の取引で、数千万円もの金額が動く不動産売買。大切な住まいを、満足のいく形で売却したいと願うのは売主なら当然のことです。売主の希望や条件、物件の個性によって売却プロセスは異なりますから、不動産会社の担当者に相談しながらスムーズな取引を目指しましょう。
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最終更新日 2024年12月02日
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