2014年10月26日 更新
地震に強いマンションの選び方については
いつ起こるか分からない大地震。グラッと来た直後は自分と家族の身の安全を守ることが第一ですが、揺れがおさまって身の安全が確保されたら、今度は救護や避難生活が始まります。
このような状況から復旧に向けて取り組むためには、日頃からの備えと地域の連携が欠かせません。もしも今お住まいのマンションの防災力に不安があるなら、この機会に地震対策を見直し、安全なマンション暮らしを手に入れましょう。
専門業者に依頼して、設計図や構造計算書、実際の建物の赤外線検査などからマンションの耐震性能をチェックしてもらいます。耐震診断を受ける目安は、現行の耐震性能の基準として1981年に定められた「新耐震基準」以前に設計・施工された旧耐震基準のマンション。翌年の1982年以降に建てられたマンションなら「新耐震基準」で建てられているので、震度6弱までの地震では建物に大きな被害が生じず、震度6以上の地震では建物に被害があっても倒壊・崩壊せず、人命に危害が及ぼさない性能を有していると考えられます。
ただしどんなに新しい建物であっても、地盤や劣化の具合により耐震性能が低下している場合もあるので、次のような点に当てはまる場合は耐震診断を検討しましょう。耐震診断の助成を行っている自治体もあります。
旧耐震基準(1981年以前)で建てられている
地盤が軟弱である
外壁のひび割れ、水道管や貯水槽のさびなど劣化が目立つ
上記の耐震診断により耐震性能に不安があるとされたマンションは、耐震補強(柱や梁の補強など)を行います。マンションの状態によっては補強を行うより建て替えた方が良い場合もあります。
耐震補強や建て替えには多額の工事費用がかかります。なお、耐震補強工事の助成を行っている自治体もあるので、自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
日々の自主点検や法定点検を通して、マンションの建物や設備に劣化や不具合がないかを把握します。外壁のひび、鉄部のさび具合、水漏れの跡などは特に念入りにチェック。屋外階段やバルコニーに避難のさまたげになるような物が置かれていないか、室外機や植木鉢などが落下しそうな場所にないかとったポイントも目視で確認して、気になる点があれば修繕や改善を行います。
管理会社が防災マニュアルを準備していることもありますが、できれば管理組合の組合員が話し合って、マンション全体で共有できる独自の防災マニュアルを作成すると良いでしょう。
災害時の管理組合の対応
居住者の安否の確認方法
近隣の避難所の位置や規模
避難経路の確認
食糧や飲料水などの備品のルール
水道が止まった時の対応
(水を流さない、簡易トイレを使用するなど)
ゴミ収集が止まった時のゴミの取り扱い方法
救護の必要性
お年寄りや体の不自由な居住者への対応 など
近隣の消防署の協力を得て防災訓練を行い、防災に対する意識を高めます。訓練を積み重ねることで防災に関する知識が浸透し、マンション内のコミュニティの強化にもつながります。訓練の参加率が低い場合は、下記のような工夫をして居住者の参加を促してみてください。
ハロウィンパーティやクリスマス会などのイベントと同時に実施する
茶話会など気軽に参加できる形式で、防災に関する情報を発信する
防災グッズなどの景品を用意する
居住者全員の安否がスムーズに確認できるようにリストを作成しましょう。もしもマンションが被災して復旧工事などが必要になった時は、区分所有者による話し合いの場を設けなくてはなりません。例え遠方に避難していても確実に連絡がとれるよう、緊急時の連絡先(携帯など)も記しておくと安心です。なお、リストは個人情報に当たりますので取り扱いには十分注意を払い、緊急時のみ使用することを徹底します。緊急時とは具体的にどのような場合なのか、その定義を決めておく事も合わせて重要となります。
管理組合で用意する災害用備品は以下のとおりです。マンションの規模により異なりますので、何が必要なのか管理組合で話し合ってみましょう。
工具類(バール・斧・ハンマー・ペンチ・ジャッキ・のこぎり・ドライバーなど)、ヘルメット、スコップ、つるはし、ロープ、消火器、折りたたみ式担架、リヤカー、ブルーシート、毛布、タオル、懐中電灯 など
救護・衛生用品包帯、ガーゼ、消毒薬 など
情報伝達のための用品ハンドマイク、ホワイトボード、マジック、模造紙、トランジスタラジオ など
大型機材類発電機、投光器、階段避難車・昇降車、テント など
生活支援用品簡易トイレ、トイレットペーパー、飲料水、調理用具(大鍋・お玉・缶切りなど)、マッチ、ライター、ウェットティッシュ、ポリタンク、充電器 など
その他エレベータ内に閉じ込められてしまった時を想定して、エレベータ内に設置できる備蓄セットなども検討してみてはいかがでしょうか。
どんなに地震の揺れに強いマンションであっても、家具が倒れて出入り口をふさいだり、高いところから物が落下してケガをしたりする可能性があります。家具がどの方向に倒れるかを予測し、出入り口や人が頻繁に集まるところを避けて配置することが大切です。特に寝ている時は無防備な状態ですから、家具がベッドや布団まわりを直撃するような配置は絶対に避けてください。
電子レンジや大鍋など重い調理器具が集まるキッチン、テレビなどの家電があるリビングも要注意。落下の衝撃を減らすためにも、高い場所に物を置かないような配置を心がけましょう。
地震時の家具の転倒被害を防ぐために、家具を固定するという方法があります。市販の 転倒防止グッズを使えば比較的簡単に転倒を防ぐことができるので、ぜひ実践してみましょう。複数のグッズを組み合わせれば、さらに効果がアップします。
家具を家具に密着させて固定する金具。地震時に家具が壁と一体になって揺れるため転倒の危険を低減させることができます。
突っ張り棒家具と天井の隙間にポール式の突っ張り棒をわたして転倒を防ぎます。
転倒防止剤タンスや本棚の下にかませることで、地震の揺れを吸収して転倒を防ぎます。新聞紙を折りたたんでかませても同様の効果が得られます。
転倒防止のほかにも、地震の被害を少しでも減らすためにさまざまなグッズがあります。
シリコン製のシートを食器棚や飾り棚の棚板に敷いて、食器などが滑り落ちるのを防ぎます。
耐震ラッチキッチンの吊り戸棚や食器棚からの食器の落下を防ぐものです。地震の揺れを感知すると扉をロックして、扉の開放を防止します。
ガラス飛散防止フィルム窓ガラスや飾り戸棚のガラスに貼って、ガラスが粉々に飛び散るのを防ぎます。
室内で地震に遭った時、どのように避難するのか避難経路を確認しておきましょう。マンションの場合、法律によってどの住戸からも2方向への避難経路が確保されています。まずは1つめの避難経路である玄関をチェックしてください。玄関のドアを開けて、火災などの危険がなければそのまま非常階段から避難します(災害時にはエレベーターの使用はできません)。
けれども地震によって建物がゆがみ、玄関ドアが開かないというような場合は、もう1つの避難経路であるバルコニーを通って隣室の玄関から出るか、避難用のハッチを使って避難します。なお、バルコニーの仕切り板を破るには大人の男性が勢いよく蹴り上げる程度の力が必要とされています。力に自信のない女性や子どもは、フライパンや金属バットなどを使って仕切り板を破りましょう。また、自分やほかの居住者がバルコニーを通って安全に避難できるように、日頃からバルコニーには障害物を置かないようにします。
日頃から防災を意識しているのとそうでないのとでは、地震が起こった時の判断や行動に差が出ます。「地震が起こったらどうするか」「避難経路は」「家族がバラバラの時に被災したらどのように連絡をとるか」などを、家族で話し合っておくと良いでしょう。
地震を想定して、自宅から避難所までの道のりを家族みんなで歩いてみるのもおすすめです。野外で賞味期限の近づいた非常用食糧などを調理すれば、避難生活のシミュレーションになりますし、ピクニック気分も楽しめるので一石二鳥。家族で楽しみながら防災意識を高めましょう。
地震はいつ起こるか分かりませんから、災害用の備品は常に取り出しやすい場所に保管しておくことがポイント。特に貴重品や生活必需品は常に手元にまとめておきましょう。
家や車の鍵、財布、身分証明書、金融機関のキャッシュカード、眼鏡やコンタクトレンズ、携帯電話 など
外出時に持ち歩きたいものペンライト、ホイッスル、家族やペットの写真(離ればなれになった時の安否確認用)、常備薬、10円玉数枚(停電時に10円玉のみ利用可能な公衆電話が多い為)、お菓子、カーディガンなどの羽織物 など
地震直後に役立つもの包帯、ガーゼ、消毒薬、マスク、軍手、ウェットティッシュ、タオル、スリッパ、懐中電灯 など
自宅避難時のためのもの飲料水、食料品、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、携帯用トイレ、トランジスタラジオ、マッチ、ライター、ウェットティッシュ、ドライシャンプー、新聞紙、ビニール袋、ゴミ袋、キッチン用ラップ、紙皿、紙コップ、カセットコンロ、ボンベ、ロープ、ガムテープ、ポリタンク、充電器(太陽光発電式や手回し式のものがおすすめ)、予備用電池 など
※その他、必要に応じて赤ちゃんグッズや生理用品などを用意しましょう。
最近ではペット飼育可のマンションが増え、「ペットは家族の一員」と考える居住者も多いもの。
そのため飼い主さんは、災害時のペットの避難方法を考えておく必要があります。
しつけをする
飼い主のマナーとして、避難所でも周囲に迷惑をかけない程度のしつけを心がけましょう。吠えグセや噛みグセがないのはもちろん、「待て」や「伏せ」、ケージやキャリーバッグに入るなどの基本的な動作がすんなりできるようにします。
預け先の確保
災害時に、ペットを一時預かりしてくれる相手を探しておきます。ペットの年齢やかかりつけの動物病院、食事の量と回数、持病、飼い主の緊急連絡先などを記したメモを用意しておくとスムーズに預けることが可能。
健康管理
避難所で病気をうつしたりうつされたりしないように、予防接種をきちんと受けておきます。
迷子対策
ペットが迷子になった時のことを考えて、名札や確実な身元証明となるマイクロチップの装着をしておくとよいでしょう。
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