2014年10月26日 更新
マンションの建物や設備は経年による劣化は避けられませんが、定期的に点検を行い、適切な修繕やメンテナンスを行えば住みやすい環境を維持することができます。
ここではいつ、どのように点検を行い、修繕やメンテナンスをするかといったタイミングについて説明します。
完成前の内覧会などでトラブルがないかチェックをしていても、雨漏りやシロアリの被害などのように住んでみなければ分からない瑕疵(欠陥)があるかも知れません。引き渡しから10年以内にこのような瑕疵が見つかった場合、法律では不動産会社側にその責任を負う「瑕疵担保責任」を定めており、無償で修理を受けることができます。
瑕疵担保責任の対象となるのは、建物の構造上重要な部分(基礎、壁、柱、床など)と、雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、開口部の戸など)に限られています。
このほか、不動産会社が独自に行うアフターサービスもあります。これは数年から10年程度の保証期間内であれば瑕疵の有無にかかわらず一定の不具合について無償で修理を受けることができるというものです(保証期間や適用基準は不動産会社によって異なります)。購入時にアフターサービスの保証期間や適用基準を確認しておき、入居後は瑕疵や不具合がないか自主点検をしてください。もしも何かあれば、早めに不動産会社に連絡して修理をお願いしましょう。
地盤が軟弱
配管の欠陥 など
クロスや塗装のはがれ
設備の動作不良 など
毎日マンションで暮らしている居住者なら、建物や設備の劣化・不具合にも比較的気付きやすいはずです。目視で構わないので、日頃からマンションがどのような状態になっているか、確認する習慣をつけておくとよいでしょう。
この自主点検は個人でも行うことができますが、管理組合の理事が主体となって複数でチェックすると、より効果的です。気になる点が見つかったら、なるべく早く専門業者に相談しましょう。早期発見をして修繕やメンテナンスを行えば費用の負担も軽くなります。
外壁 | 塗装やタイルのはがれ、ひび割れ、変形など |
エントランス | 塗装やタイルのはがれ、ひび割れ、変形など 照明の点灯不良など 門扉の開閉不良、変形、さび、腐食など |
共用廊下や階段 | 天井・壁・床などの塗装のはがれ、ひび割れ、変形など 手すりのさび、腐食など |
バルコニー | 天井・壁・床などの塗装のはがれ、ひび割れ、変形など 水たまりや排水溝の詰まり 手すりのさび、腐食など |
共用設備 | ゴミ置き場の塗装やタイルの剥がれ、ひび割れ、変形など 自転車置き場の損傷、さび、腐食など 駐車場の舗装のひび割れなど |
法定点検とは、法律によって一定の周期ごとに義務づけられている点検です。点検の対象となるのは基礎や壁など構造上重要な部分、水道設備、消防設備、エレベーターなどで、これらの状態について有資格の専門家がチェックします。
法定点検の主な内容点検の名称 | 点検の対象 | 周期 | 内容 |
---|---|---|---|
特殊建築物 定期調査 | 建物の基礎や外壁など | 3年に1回 | 建築基準法にもとづき、基礎や外壁などの構造上重要な部分に不具合がないか、地盤沈下や排水不良などがないかチェック |
建築設備 定期検査 | 特定の建築設備 | 1年に1回 | 建築基準法にもとづき、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置などの不具合を点検する |
簡易専用水道管理状況検査 | 水質と受水槽 | 1年以内ごとに1回 | 水道法にもとづき、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超える場合は水質検査と受水槽の清掃を行う |
消防設備点検 | 消火器や火災報知器などの消防設備 | 6ヶ月に1回 | 消防法にもとづき、消火器、火災報知器、消火栓、誘導灯、避難はしごなどの点検を行う |
エレベーター(昇降機)定期検査 | エレベーター | 1年に1回以上 | 建築基準法にもとづき、エレベーターの安全性を点検する |
大規模修繕工事とは、経年による劣化や不具合の修繕のうち、外壁補修や屋根・バルコニーの防水工事、配管や各種設備の全面取り替えなどの大がかりな工事などをまとめて行うものです。工事の資金として入居者が毎月支払う修繕積立金が充てられますが、資金が足りない場合は積立金の増額や一時金の徴収が必要になることもあります。
大規模修繕工事はマンションの長期修繕計画にもとづいて通常10~15年の周期で実施され、工事期間は数ヶ月にも及びます。工事中は建物の周囲に足場やネットを組むため日当たりや風通しが悪くなったり、塗装工事のために悪臭が発生するなど生活への影響が考えられますが、マンションの資産価値を下げないためにも重要な工事といえます。
※工事の周期はあくまで目安です。マンションの使用状況などにより周期は変わります。
参考:住宅金融支援機構「修繕周期の目安」
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