2018年9月5日 更新
介護が必要になった時に、気になるのが「お金」のことではないでしょうか。
ここでは、介護生活にかかる費用のイメージを掴んでいきましょう。
家計経済研究所が行った「在宅介護のお金とくらしについての調査」(2016年)によると、
家族と同居の自宅介護にかかる費用は、要介護状態の人1人につき1ヶ月あたり平均49,991円。ただしこれは全体の平均であり、要介護度や生活環境などによって必要な金額は変わってきます。以下、詳しく見ていきましょう。
介護が始まると、具体的にどのような出費があるのでしょうか。
上記の「在宅介護のお金とくらしについての調査」では、介護費用を「介護サービスにかかる費用」として(1)介護保険自己負担分と(2)全額自己負担分、「介護サービス以外の費用」として(3)介護関連用品と(4)介護用品以外に必要なものの4つに分類しています。
介護サービスに かかる費用 | (1)介護保険自己負担分 | 自宅介護で利用した介護保険サービスのうち、支給限度額内の自己負担分です。 |
(2)全額自己負担分 | 自宅介護で利用した介護保険サービスのうち、支給限度を超えたものや、保険給付対象外の介護サービスなどは全額自己負担となります。 | |
介護サービス以外の費用 | (3)介護関連用品 | 介護食、配食サービス、要介護者の寝巻、肌着、防水シート、失禁マット、介護ベッド、オムツ・パット類、ポータブルトイレなどの介護関連用品にかかる費用です。 |
(4)介護用品以外に必要なもの | 病院診療・薬剤費、通院交通費、理髪料、同居以外の家族・親族の介護のための訪問交通費などです。 |
要介護度別の介護費用の平均と、(1)~(4)のそれぞれの支出は次のとおりです。
このデータを見ると、介護サービスに関する支出が多いのは要介護3となっていますが、要介護度が上がるにつれて介護サービス以外の支出が多くなり、介護費用全体の負担が増していることが分かります。
合計 | 介護サービスにかかる費用 | 介護サービス以外の費用 | |||
---|---|---|---|---|---|
(1)+(2) +(3)+(4) | (1)介護保険 自己負担分 | (2)全額 自己負担分 | (3)介護関連用品 | (4)介護用品以外 に必要なもの | |
全体 | 49,991 | 10,296 | 5,446 | 12,471 | 21,778 |
要介護1 | 33,261 | 5,027 | 2,091 | 6,131 | 20,012 |
要介護2 | 44,431 | 8,532 | 5,496 | 8,810 | 21,593 |
要介護3 | 59,203 | 15,574 | 9,079 | 15,306 | 19,245 |
要介護4 | 59,255 | 12,298 | 4,534 | 17,997 | 24,426 |
要介護5 | 74,576 | 13,964 | 7,122 | 24,630 | 28,860 |
(家計経済研究所「在宅介護のお金とくらしについての調査」2016年より)
自宅介護は、施設介護と比べて費用が安いといわれています。
施設介護の費用を見ると、比較的費用が安めといわれる特別養護老人ホームでも月額利用料は約5~15万円。民間の介護付き有料老人ホームになると、入居時に数百万~数千万円の入居一時金を支払い、月額利用料は約12~30万円かかります。また、外部の介護サービス事業者を利用する場合は介護費用が発生します。
介護施設の月額利用料には居住費や食費、水光熱費などが含まれているとはいえ、自宅介護のほうが金銭的に負担が少ないことは確かです。ただし、家族が介護にかかわる時間などの負担が大きいことも忘れてはいけません。
介護は、いつまで続くか分からないもの。費用のことで焦らないためにも、支出が増えるケースについてあらかじめ知っておきましょう。
- ケガや病気をした場合
介護が必要な人がケガをしたり病気になったりすると、診療・薬剤費や通院交通費などに加え、ケガや病気をきっかけに心身の機能が衰えて生活がますます困難になってしまう場合があります。要介護度が上がると介護保険の支給限度額も上がりますが、心身の機能や生活の質を維持するために新たな介護サービスや介護用品が必要になり、支出も増えがちです。
- 認知症がある場合
認知症がある場合は、ない場合と比べて介護費用の負担が大きくなる傾向にあります。症状のあらわれ方にもよりますが、認知機能の低下により転倒などの事故が起こりやすくなったり、食事や排泄といった日常の動作が難しくなったりして、それだけ介護の手が必要になるためです。
- 介護者である家族が遠方に住んでいる場合
同居していなくても、介護者がすぐ近所に住んでいる場合はそれほど問題ないのですが、遠方に住む親の介護を行うために子どもが遠方から通うケースなどでは、交通費や移動にかかる負担が大きくなります。
- 施設に入居した場合
施設に入居する際は、初期費用として入居一時金と月額の利用料を支払う必要があります。
入居一時金の金額は施設によって異なり、ケアハウス(軽費老人ホーム)なら数十万~数百万円、介護付き有料老人ホームなら数百万~数千万と幅があります。なお、特別養護老人ホームなどの介護保険施設では入居一時金はありません。
コラムを探す
新着コラム
最終更新日 2024年12月02日
- 「終活」とは、自分らしい最期を迎えるための準備活動のこと。持ち家がある場合は、自宅の相続のことも頭に入れておきたいもの。もしものときに備えて「住まいの終活」を始めませんか。
- 購入を検討している物件を現地でチェックする「物件見学」は、家探しの重要なステップの一つ。物件見学時にきちんと確認したいポイントを押さえて、家選びを成功させましょう!
- 災害は、ある日突然やってきます。いざというときにペットと自分を守れるように、飼い主さんができる「日頃の備え」と「災害時の行動」を学んでいきましょう。
- 注文住宅を建てる上で、大切にしたいのが「土地選び」。土地選びで失敗しないための準備や物件情報の見方、現地見学のチェック項目など、知っておきたいポイントをまとめました。
- 共働き家庭が主流となった今、親世帯と子世帯が同じ家に住む「二世帯住宅」を選択する人が増加中。気持ちよく暮らすための間取りから、相続時のアドバイスまで、二世帯住宅を成功に導くポイントを紹介します。
- 新築や賃貸物件の広告に、新たに掲載されるようになった「省エネ性能ラベル」。それぞれの項目の意味と見方を理解して、物件の比較・検討に役立てましょう!