2018年9月5日 更新
自宅介護を行う上で、家族が知っておきたい注意点や心構えをまとめました。
これから介護を始める人は、参考になさってください。
内閣府の「高齢者の健康に関する意識調査」(2012年)によると、「将来、介護が必要になった場合、どこで介護を受けたいか」という質問に対して、60歳以上で「自宅で介護してほしい」という回答をした男性は42.2%、女性は30.2%という割合でした。
(内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」2012年より。数値は60歳以上の男女)
自宅介護を選ぶ理由としては「家族で介護をしたいから」「特別養護老人ホームなどの施設に空きがないから」など、家庭によりさまざまですが、一般的に自宅介護には次のようなメリットがあります。
- 環境が変わらないので安心
長年、住み慣れた自宅での介護は、環境変化によるストレスがないため、介護を受ける本人にとって大きな安心につながります。また、自分のことをよく知っている家族の手で介護を受けたいと考える人も多くいます。
- 費用が安い
介護が必要になると、介護サービスの自己負担分や介護用品代など、それなりに費用がかかるものです。特に有料老人ホームなどの施設で介護を受ける場合、高額な入居一時金や月額利用料などの費用が発生し、家計の負担が大きくなります。
自宅介護でも住宅のバリアフリー改修費などがかかりますが、施設に入居する場合と比べて費用は安いです。
※自宅介護でかかる費用については「どれくらいお金がかかる?」で詳しく紹介します。
反対に、次のようなデメリットもあります。
- 家族の負担が大きい
自宅介護では家族が主な介護者となるため、外部サービスを利用するにしても、どうしても家族の負担が大きくなります。
特に介護者が仕事をしている場合、働きながら介護を行うのはとても大変です。短時間勤務や介護休業制度を取得するなどして乗り切る場合もありますが、要介護度が進むと介護にかかる時間も増え、介護のために仕事を辞める「介護離職」を選ぶ人もいます。
- 頑張り過ぎが招くトラブルも
「介護をしなければ」と思うあまり、ついつい本人のできることまでお世話してしまい、かえって本人の自立を妨げたり、家族が頑張り過ぎて体調を崩したりするケースもみられます。
また、介護は子育てとは違って、いつまで続くか予測がつかないものです。身内の介護に追われるうちに、いつか介護のない日々を待ち望む自分に気付いて、自分を責めてしまう介護者もいます。
少子高齢社会の日本において、家族だけで介護を行うのは難しいのが現状です。
そこで、2000年からスタートした介護保険制度では、外部からヘルパーなどが自宅を訪問してサービスを行う「訪問型サービス」や、利用者が施設などに出かけて行き、そこでサービスを受けられる「通所型サービス」などの介護保険サービス(※1)があり、自宅で介護を受ける本人と、その家族を支えています。
これらの介護サービスを組み合わせたケアプラン(介護プラン)を作成するケアマネジャー(介護支援専門員※2)は、本人や家族からの相談にのったり、さまざまな助言を行ってくれる頼もしい存在です。家族が同居の場合はもとより、別居で介護を行う場合なども、ケアマネジャーと連絡を取り合って介護を進めていきましょう。
※1)介護保険サービスについては「どんなサービスが受けられるの?」で詳しく紹介します。
※2)ケアマネジャーについては「困った時の相談先は?」で詳しく紹介します。
自宅介護は、住み慣れた自宅で家族からケアを受けられる安心がある一方で、どうしても介護者である家族に負担がかかってしまいがちです。
介護者の心身に余裕がなければ、落ち着いて介護を進めることはできません。家族の不安が、介護を必要とする本人に影響を及ぼすこともあります。
家族の負担を軽減し、頑張り過ぎによるトラブルを防ぐためにも、介護保険サービスなどの外部のサポートを利用しつつ家族も適度に息抜きをして過ごしましょう。「何が何でも」と自宅介護にこだわり過ぎず、本人の心身の状況や生活環境によっては施設介護に切り替えることも検討しましょう。
※参考記事
「高齢者施設探しと暮らしの心得」自宅を「終の棲家」にするポイントを紹介
https://www.e-life.jp/column/aged2/page07.html
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