世界の料理と食文化

人気食材から見る世界の料理

2020年6月9日 更新
人気食材から見る世界の料理

食の国際化が進む現在は海外から多くの食材や料理が集まり、ブームになったり、暮らしに定着したりしています。これらの人気食材や料理は、世界のどのような地域からやって来て、どのように食べられているのでしょうか。

「タピオカ」から見る世界

ドリンクやスイーツなどで人気の高いタピオカは、南アメリカ原産の「キャッサバ」というイモのでんぷんを粉にしたもの。南アメリカやアフリカではキャッサバを主食とする地域が多くあります。

世界のキャッサバ料理

ポン・デ・ケージョ(ブラジル)

ポン・デ・ケージョ(ブラジル)

キャッサバの粉でつくった生地にチーズを練り込んだパンで、もちもちした食感が特徴。ブラジルではキャッサバのことを「マンジョーカ」といい、パンやお菓子づくりのほか、茹でたりフライにしたりして食べます。

フフ(西アフリカ)

西アフリカや中部アフリカの国々にみられる料理で、キャッサバやバナナなどを粉にして練ったもの。フフは現地の主食で、煮込み料理やスープに添えて食べます。

丸いタピオカはアジア生まれ

丸いタピオカはアジア生まれ

タピオカの粉を球状にしたものは、はじめは台湾や東南アジアのデザートに使われ、それが日本に伝わってブームに火が付きました。
ちなみに輸入食品を取り扱うスーパーやインターネット通販などではタピオカの粉や球状の乾燥タピオカが販売されており、自宅で手作りすることもできます。

「マンゴーかき氷」から見る世界

台湾発の屋台スイーツ、マンゴーかき氷が日本でもブームになっています。マンゴーかき氷のほかにも、世界には氷を使ったスイーツがたくさんあります。

台湾のかき氷はマンゴー以外も

台湾のかき氷はマンゴー以外も

台湾で「ビン」と呼ばれるかき氷は日本のものよりトッピングの幅が広く、果物や煮豆、ナッツ、タピオカ、卵などがあります。また氷の食感も、日本のかき氷に近いものもあれば雪のようなフワフワの口どけのもの、包丁で粗く削ったものなどがあります。

世界のかき氷

ピンス(韓国)

ピンス(韓国)

パッピンスと呼ばれる小豆かき氷、季節の果物をのせたクァーイルピンスなどがあります。日本のものより量が多いため複数名でシェアし、食べるときに氷とトッピングをよくかき混ぜて食べます。

ハロハロ(フィリピン)

タガログ語で「ごちゃ混ぜ」を意味するハロハロは、かき氷に練乳を添えて、紫イモのアイスや煮豆、ナタデココ、米やトウモロコシのスナックなどがのっています。

シェイブアイス(アメリカ)

ハワイの名物スイーツとして人気のシェイブアイスは、元々はハワイに移り住んだ日系人が持ち込んだかき氷が原型。グアバやパッションフルーツ、ライチなどの現地食材を盛り込んでいるのが特徴です。

「ジビエ」から見る世界

日本でも最近注目されるジビエとは、野生の鳥獣の食肉を指すフランス語です。
大自然の中で育った天然のジビエは脂肪が少なく引き締まった肉質で、野趣に富んだ味わいが特徴です。

フランスのジビエについて

フランス

ジビエが盛んなフランスでは、毎年秋から冬にかけて、野ウサギやシカ、キジ、小鳩などの煮込みやオーブン焼きといったジビエ料理が食卓に上ります。
かつては野生で育った天然ものの鳥獣だけがジビエとされていましたが、現在は飼育してから野に放ったり、生け捕りにしたものを餌付けしたりする半野生の動物もジビエに含まれるようになりました。

オーストラリアのジビエについて

オーストラリア

オーストラリアの先住民アボリジニは、古くから狩猟によって野生の鳥獣を捕獲し、その肉を食べる食文化を育んできました。近年、このアボリジニの食文化が注目されるようになり、ワニ、エミュー、カンガルーなどの肉料理を出すレストランが登場しています。

南アフリカ

南アフリカでは、ジビエを意味する英語の「ゲームミート」を提供する多くのレストランが数多くあり、バッファロー、イボイノシシ、インパラ、シマウマなどの肉料理が味わえます

日本のジビエについて

日本のジビエについて

現在の日本は野生の鳥獣が増えすぎたことで自然界のエサが少なくなり、シカやイノシシが田畑を荒らしたり、スギやヒノキの樹皮を食害したりする被害が深刻化しています。そのため、捕獲したシカやイノシシを食べて消費するジビエに注目が集まるようになりました。
ジビエ料理を提供するレストランのほか、自治体によってはジビエを使った地域活性を打ち出しているところもあり、ふるさと納税の返礼品にシカ肉やイノシシ肉を用意する自治体もあります。

まとめると…まとめると…

料理から世界を身近に!

料理から世界を身近に!

五輪イヤーの本年は、さまざまな国や地域から多くの人が日本を訪れ、異文化を身近に感じる年でもあります。現在の日本は、世界の各地から食材が届き、各国の料理を提供するレストランも充実しています。世界の料理や食文化を知り、おいしく味わいながら、その国の文化を思い描いてはいかがでしょうか。

【主な参考文献】
『世界の食文化』農山漁村文化協会
『世界の料理』ポプラ社
『世界の文化と衣食住』小峰書店
『国際理解に役立つ世界の衣食住』小峰書店
『食の世界地図』文藝春秋

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最終更新日 2024年10月30日