建物の構造が違えば、性能や住み心地も変わる!「木造」と「鉄骨造」、選ぶならどっち?

「木造」or「鉄骨造」構造選びの決め手は?

2022年12月14日 更新
「木造」or「鉄骨造」構造選びの決め手は?

家づくりを始めるにあたって、「木造」or「鉄骨造」のどちらを選ぶか迷っている人のために、両者を比較・検討するポイントをまとめました。自分や家族の理想に近い構造・工法を選択して、思いどおりの家を実現しましょう。

着工数が多いのは?

新築戸建ての約9割は「木造」を採用している

新築戸建ての約9割は「木造」を採用している

日本では昔から住宅や社寺の建築に木材が使われてきましたが、2021年度に新築された持ち家の戸建て住宅も、その約88%が木造となっており、鉄骨造は約11%です(※)。
着工数の多さは人気の証ですから、木造は今も昔も多くの人に選ばれる人気の構造と言えるでしょう。
※国土交通省「建築着工統計調査報告」(2021年度次)より

どんな依頼先がある?

希望する構造・工法を採用する業者を探そう

希望する構造・工法を採用する業者を探そう

家づくりの業者によって採用している構造・工法は異なるため、「この構造で家を建てたい」と思っていても、依頼する業者側にノウハウがない場合、その構造で建てることはできません。
一般に、木造住宅は工務店や木造ハウスメーカーが、鉄骨造住宅は鉄骨ハウスメーカーが採用しており、会社ごとに得意とするデザインや施工エリアなども変わってきます。あらかじめWEBサイトなどを確認して、どんな家をつくる会社なのか確認しておきましょう。

建築コストは?

「木造」のほうが平均建築費が安い

「木造」のほうが平均建築費が安い

持ち家の新築戸建て住宅にかかる平均建築費を比較すると、木造住宅が1㎡あたり19万円、鉄骨造住宅が29万円です(※)。100㎡(約30坪)の家なら、木造が約1,900万円、鉄骨造が約2,900万円となります。
近年は建設業界の人手不足や建材の価格高騰によって住宅の建築費が上昇し続けていますが、それでも木造は鉄骨造などより材料費が安く、設計の自由度の高さを生かしてローコストな家づくりが実現しやすいと言えます。
※国土交通省「建築着工統計調査報告」(2021年度次)より

資産価値は?

長く資産価値を維持できるのは「鉄骨造」

長く資産価値を維持できるのは「鉄骨造」

将来、持ち家を手放すことがあっても、資産価値の高い物件なら買い手がつきやすく、有利に売却を進めることができます。
住宅の資産価値を判断する基準は、立地や周辺環境のほかに、建物の構造やグレードも重要です。法律で定められた減価償却資産の耐用年数(その資産が価値を維持している期間)を見ると、木造は耐用年数22年、鉄骨造は厚みが3~4㎜の軽量鉄骨造なら27年、厚みが6㎜以上の重量鉄骨造なら34年で、鉄骨造のほうが強度が高い分、税制上は木造より資産価値を維持する期間が5~12年ほど長くなります。

耐久性・耐震性は?

丈夫な「鉄骨造」は地震にも強い

丈夫な「鉄骨造」は地震にも強い

構造材の強度が高く、耐久性・耐震性にすぐれているのは鉄骨造住宅のほうです。2階建て以上または200㎡以上の鉄骨造住宅の場合、構造計算をして建物の耐久性や耐震性を確かめることが法律で義務付けられていることも、鉄骨造住宅の安心を高める材料となっています。
ただし、2000年以降に建築された住宅は、その構造にかかわらず、極めてまれに発生する地震があっても、倒壊・崩壊しない耐震性を備えていることから、木造であっても耐震性の心配はないでしょう。

環境負荷が少ないのは?

製造から廃棄までCO2排出量が少なめの「木造」

製造から廃棄までCO2排出量が少なめの「木造」

木造住宅に使われる木材は、解体後に多くが木質燃料として再利用されます。また、鉄骨造住宅に使われる鋼材も解体後は鉄骨くずとなり、精錬されて再び金属となります。どちらもリサイクル可能な材料ですが、木材の場合は製造・加工時や建物を建てるときも鉄骨造などと比べてCO2排出量が少ない特徴があります。また、埋めればやがて土に還ることから、より環境負荷が少ないと言えるでしょう。

メンテナンスは?

どちらも必要。「木造」はシロアリ対策も行う

どちらも必要。「木造」はシロアリ対策も行う

住宅は、木造でも鉄骨造でも年月の経過とともに不具合や劣化が進み、見た目や住み心地が悪くなってしまいます。気持ちよく済み続けるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

・築20年までは10年、以降は5年単位でメンテナンス

一般に、住宅の劣化が気になり始めるのは築10年頃。外壁と屋根の耐久性が低下してヒビなどが入りやすくなるため、塗装やシーリングの打ち替えを行います。
築20年頃になったら、劣化が目立つ外壁・屋根を張り替えて、内装部分についてはクロスや床板の劣化の点検や、水まわりの設備交換をしましょう。以降は5年ごとに内外装の点検とメンテナンスを行いますが、木造住宅は築20~30年くらい、鉄骨造は30~35年くらいを目途に、そのときの状況や将来などを踏まえてフルリフォームも検討しましょう。

・木造は5年ごとにシロアリ対策が必要

基本的なメンテナンスは木造も鉄骨造も変わりませんが、木造住宅の場合はシロアリを防ぐための予防対策も必要です。新築時に散布したシロアリ予防の薬剤は約5年で効果が薄れてしまうため、5年ごとに薬剤を散布しましょう。
作業では、床下に潜ってシロアリが入り込む土壌や木部に専用の薬剤を散布し、シロアリの侵入経路そのものをシャットアウトします。万が一シロアリが見つかったときは、これ以上被害が広がらないようにすぐに駆除を行ってください。

・雨漏りや湿気は早めに対処する

木造・鉄骨造のいずれも、注意したいのは雨漏りや湿気です。雨水や湿気が躯体に入り込むと、木材の腐敗やカビ、鉄骨造の鋼材はサビの引き金となり、住宅の寿命を縮める原因となります。外壁・屋根にヒビや破損が見つかったら、雨水が侵入しないように早めに修繕しましょう。

間取りやデザインは?

施工事例を見て、気に入ったテイストを選ぼう

施工事例を見て、気に入ったテイストを選ぼう

住宅のデザインやテイストは工務店やハウスメーカーごとにそれぞれ個性があるので、好みで選びましょう。一般に、木造軸組工法は間取りの自由度が高く、鉄骨造はオープンな空間やスタイリッシュなデザインを生かした雰囲気に仕上げる傾向があります。
工務店やハウスメーカーのWEBサイトでは、その会社が手がけた施工事例を掲載しているので、比較しながらお気に入りを見つけるのがおすすめです。

まとめると…まとめると…

構造を選んで納得の家づくり。コストや耐震性などさまざまな視点から検討しよう

構造を選んで納得の家づくり。コストや耐震性などさまざまな視点から検討しよう

家の性能や住み心地に影響する構造・工法。木造と鉄骨造の違いを知ることで、自分たちが求める理想の家やライフスタイルを考えるキッカケになります。
工務店やハウスメーカーによっては、構造のデメリットをカバーする工法や、異なる工法のいいとこどりをしたハイブリット工法などを採用している会社もあるので、気になる会社があればWEBサイトをチェックしてみましょう。

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最終更新日 2024年10月30日