「鉄骨造」の特徴とメリット・デメリット
鋼製の柱や梁で建物を支える「鉄骨造」はハウスメーカーが多く採用しており、持ち家では木造に次ぐ着工数となっています。鋼材は頑丈で加工しやすいため、戸建て以外にも集合住宅や高層ビル、商業施設などに幅広く用いられています。
このページの見どころ!!
骨造住宅の主な種類
鋼材が薄い「軽量鉄骨造」と、分厚い「重量鉄骨造」
鉄骨造住宅は、鉄の合金である鋼材で建物を支える住宅です。使用する鋼材の厚さによって、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類があります。
・軽量鉄骨造
戸建て住宅に用いられることが多く、厚さ6㎜未満の薄い鋼材(軽量鉄骨)を使用します。日本の伝統的な「木造軸組工法」の鋼材版のようなイメージで、鋼材の柱と梁で骨組みをつくり、ブレースという鋼材を筋交いに入れて補強します。
軽量鉄骨造住宅はプレハブ工法を得意とするハウスメーカーで用いられており、工場で部材を大量生産することから品質が安定していることや、木造と比べて強度や耐震性にすぐれているといった特徴があります。
・重量鉄骨造
重量鉄骨造は、厚さ6mm以上の厚い鋼材を使用します。軽量鉄骨造と比べて強度にすぐれていますが、高層ビルやマンションでの採用がほとんどで、戸建て住宅に用いられるケースは多くありません。
主な工法に、太い柱と梁で強度を保つ「ラーメン構造」があり、柱や壁の少ない広い空間や、大きな窓を設けるといった開放的な間取りプランが可能になります。
軽量鉄骨造よりも強度が高く、間取りの自由度が高いといった魅力がある一方で、建築コストは高額になります。
ちょこっとメモ!
鉄骨造住宅のサビ対策とは。特殊な加工処理で水と大気をシャットアウト
鉄はサビてしまうので、鉄の合金である鋼材を使った鉄骨造住宅のサビが気になる人もいるのではないでしょうか。確かに、鋼材は水や大気に触れるとサビついて強度も低下してしまいますが、鉄骨造住宅に使用する鋼材はメッキや塗料で表面に酸素や湿分がつかないようにする防錆(ぼうせい)処理を行うことで、長年にわたって鋼材をサビから保護しています。
鉄骨造住宅を得意とするハウスメーカーでは、上記の防錆処理のほかにも、さまざまなサビ対策を講じています。各メーカーのサビ対策を比較して建物の耐久性や安全に対する姿勢をチェックしてみるのもおすすめです。
鉄骨造住宅のメリット
高い耐久性と耐震性で家族の暮らしを守る
理想の家を建てるには、構造・工法の良い点も悪い点も把握しておくことが大切。ここでは鉄骨造の中でも、戸建て住宅で採用されることが多い「軽量鉄骨造住宅」について、そのメリットを紹介します。
メリット1耐久性・耐震性が高い
鉄骨造住宅に使用される鋼材は、木材よりも強度が高く、粘り強い特性があります。建物構造が丈夫で強度や機能が失われにくい上、家を劣化させるシロアリ被害のリスクも木造住宅と比べて少ないなど、耐久性にすぐれています。
また、毎年のように発生する地震についても、鉄骨造住宅は高い耐震性を発揮します。地震の力に対して、粘りのある鋼材がしなって揺れに耐えることで、倒壊のリスクを軽減します。
メリット2品質が安定しやすい
一般に、軽量鉄骨造住宅を建築するハウスメーカーはプレハブ工法を採用していて、あらかじめ工場で生産した部材を現場に運んで組み立てるシステムとなっています。工場生産のため部材の品質にバラつきがなく、職人の技術や経験によって仕上がりに差が出ることもありません。
また、現場での作業が少ないので、ほかの構造・工法に比べると工期も短くなります。
メリット3オープンな空間づくりが可能
建物構造の強度が高いことから、壁をなくした大きな間口やビルトインガレージなど、オープンでスタイリッシュな空間をプランニングできます。ただし軽量鉄骨造住宅は補強のブレースを抜くことができないので間取りに一定の制限があり、広い空間をつくるとブレースがあらわしになるケースがあることも覚えておきましょう。あらわしのブレースは武骨なヴィンテージスタイルやモダンなカフェ風の内装と相性がよいため、あえてブレースをあらわしにするプランも見られます。
メリット4重量鉄骨造よりもコストが安い
軽量鉄骨造住宅は薄い鋼材を使用することから、重量鉄骨造と比べて材料費がかかりません。また、建物自体が軽量なので地盤工事や基礎工事にかかる費用も木造と同じ程度に抑えられるなど、重量鉄骨造と比べて建築コストを抑えることができます。
鉄骨造住宅のデメリット
家の中や周囲の音が気になるかも
軽量鉄骨造住宅は、上記で紹介したメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
デメリット1防音性が低い
一般に、軽量鉄骨造住宅は防音性が高いとは言えず、家の中の生活音や外部の音などが響きやすいとされています。仕事の都合などで生活時間がバラバラの家族や、住宅密集地や幹線道路に面した立地などの場合、遮音材の使用や二重サッシの取り付けなどの防音対策を講じたほうがよいケースもあります。
ただし、防音性は構造だけの問題ではなく、間取りなどでも変わってくるので、プランの打ち合わせ時に防音対策について問い合わせてみましょう。
デメリット2耐火性が低い
鋼材は燃えにくい材料のため、鉄骨造住宅は火事に強いイメージがあります。ただし実際には、鋼材は熱に弱く、火災により熱が上昇すると急激に強度が低下して変形し、建物の倒壊を招くこともあるため、耐火性が低いとされています。
まとめると…
鉄骨造住宅がおすすめなのは…「耐久性や耐震性、品質の安定を重視したい人」
戸建て住宅に多い軽量鉄骨造は、耐久性や耐震性にすぐれた家を選びたい人や、安定した品質施工を求める人におすすめの住宅構造です。
木造ほど間取りの自由度はありませんが、オープンな空間づくりなど、軽量鉄骨造ならではのプランニングも魅力です。軽量鉄骨造で家を建てたいときは、鉄骨系のプレハブ工法を採用しているハウスメーカー(鉄骨ハウスメーカー)を検索してみましょう。
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最終更新日 2024年10月30日
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