建物の構造が違えば、性能や住み心地も変わる!「木造」と「鉄骨造」、選ぶならどっち?

「木造」の特徴とメリット・デメリット

2022年12月14日 更新
「木造」の特徴とメリット・デメリット

日本の家といえば「木造」。そんなイメージをお持ちの人も多いのではないでしょうか。国土の約7割が森林の日本では、昔から木材を使った家づくりが発展してきました。現在も、新築の戸建て住宅における木造の割合は約9割を占めています。

木造住宅の主な工法

「木造軸組工法」と「ツーバイフォー工法」が代表格

木造住宅では木を使って建物を支える構造をつくりますが、この構造をつくる方法を工法と言って、「木造軸組工法」と「ツーバイフォー工法」などがあります。

木造軸組工法

・木造軸組工法

日本で最も多く採用されている工法で、木材で柱や梁をつくり建物の骨組みとして、上からの重みを支えます。横からの力に対しては、斜めに筋交い(すじかい)を入れたり、部材と部材の接合に金物(かなもの)を使用したりして強度を高めます。
木造軸組工法は、日本に昔からある伝統的な工法という意味で「在来工法」と呼ばれることもあります。日本の多湿な気候に適しており、間取りの自由度が高く、増改築に対応しやすいといった点が特徴です。

ツーバイフォー工法

・ツーバイフォー工法

北米から伝わった工法です。「ツーバイフォー」とは2インチ×4インチのサイズの木材のことで、この木材でつくった枠組みに合板を張ったパネルを用いて、床・壁・天井を構成します。
木造軸組工法が柱や梁といった「線」で構成されるのに対して、ツーバイフォー工法では床や壁などの「面」で建物を支えます。地震や台風などの力を一点に集中させずに面で受け止めるため耐震性が高いことや、隙間ができにくく気密性や遮音性にもすぐれていることも特徴に挙げられます。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

地震に対する強度は?
住まいを地震の力から守る厳格な基準と技術

地震に対する強度は?住まいを地震の力から守る厳格な基準と技術 イメージ

地震大国の日本だからこそ、気になるのが建物の耐震性。木造住宅に比べて鉄骨造や鉄筋コンクリート造のほうが強度が高いため、木造住宅は地震に弱いと思われがちですが、現在は法律の改正で耐震基準が見直され、どの構造を選んでも耐震性は心配ないとされています。
厳格な耐震基準に加えて、工務店やハウスメーカーが独自の技術で建物の強度を高めているケースも見られるので、見学時などに各社の営業担当者に耐震性について尋ねてみるのもよいかも知れません。

木造住宅のメリット

予算に合わせやすく、設計の自由度も高い

理想の家を建てるには、構造・工法の良い点も悪い点も把握しておくことが大切。一般的な木造住宅のメリットは次のとおりです。

メリット1建築コストを抑えられる

建築コストを抑えられる

鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べると、木造住宅の建築費は安くなる傾向があります。その理由としては、他の材質よりも木材が安価であることや、軽量のため地盤工事や基礎工事が比較的安く済むことなどが挙げられます。
木材の種類やグレードも多彩なので、リーズナブルな木材を選択するなど、予算に合わせてコストを調節しやすいのも魅力です。

メリット2断熱性・調湿性が高い

断熱性・調湿性が高い

木材の内部には、熱を伝えにくい空気が含まれています。そのため木造住宅は鉄骨造などと比べると断熱性が高く、外気の熱や寒さの影響を受けにくい特徴があります。
また、木材は空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出する調湿性にもすぐれているため、室内で快適に過ごしやすくなります。
寒暖の差が大きく、多湿な気候の日本において、木造住宅の断熱性・調湿性の高さは大きなメリットといえるでしょう。

メリット3耐火性があり火災でも倒壊しにくい

耐火性があり火災でも倒壊しにくい

住宅における耐火性能とは、万一火災が起こったときに住人が避難するまで建物が倒壊せず、隣家などに燃え広がらないようにする性能のことを言います。
もともと木は燃えやすい材質ですが、木造住宅に使われるような太い木材の場合、燃えると表面が炭化するものの内部まで火が通りにくく、強度が失われにくい性質があります。もしも火災が起こっても、構造体の強度が保たれていることで倒壊のリスクは少なく、避難のための時間を確保しやすくなります。

メリット4設計の自由度が高い

設計の自由度が高い

木材でつくった柱や梁を骨組みとする「木造軸組工法」は、設計の自由度が高く、希望の間取りを実現しやすいのが魅力。もちろん、耐震性なども考慮されるため何でもOKという訳にはいきませんが、「廊下をもう少し長くしたい」「階段の下に収納を設けたい」など、細かな要望にも対応してもらえます。
また、比較的自由に壁や柱を抜けることからリフォームも容易で、将来的に家族構成やライフスタイルが変わったときにも安心です。

木造住宅のデメリット

シロアリ被害や、品質のバラつきのリスクも

いろいろとメリットの多い木造住宅ですが、次のようなデメリットもあります。

デメリット1シロアリ対策をする必要がある

シロアリ対策をする必要がある

木造住宅の天敵ともいえるシロアリ。シロアリは床下などの暗く湿った環境を好み、住宅の土台や柱などの木材を食べて内側から建物にダメージを与えます。シロアリを放置すると、土台などがスカスカに脆くなって耐久性や耐震性の低下につながります。
シロアリの被害を防ぐためにも、新築時には防蟻シートや薬剤散布などの対策が必須です。その後も定期的に床下を点検して、5年ごとに薬剤散布を行いましょう。

※シロアリ対策など、木造住宅のメンテナンスは「『木造』or『鉄骨造』構造選びの決め手は?」でも説明していますので、参考になさってください。

デメリット2品質にバラつきが出ることがある

品質にバラつきが出ることがある

木造住宅の中でも、特に「木造軸組工法」は現場で柱や梁などを組み上げるため、職人の技術や経験に左右される部分があります。また、使用する木材も自然素材のため均一ではなく、品質・強度にバラつきが出る可能性もあります。
木造軸組工法の家づくりは、施工する職人の顔が見えると安心につながるケースが多いようです。もしも目当ての工務店やハウスメーカーが、建設途中の建物を公開する「現場見学会」を開催していたら、ぜひ足を運んでみましょう。現場見学会では、実際に現場のようすを見たり職人から話を聞いたりすることができるので、その会社の家づくりに対する姿勢や安心への取り組みを知るキッカケになります。

まとめると…まとめると…

木造住宅がおすすめなのは…「コストや間取りの自由度を重視したい人」

木造住宅がおすすめなのは…「コストや間取りの自由度を重視したい人」

木造住宅の家づくりは、コストパフォーマンスを重視したい人や、間取りなどを自由に決めたい人にぴったり。すぐれた断熱性や調湿性など、木材ならではの特性を生かした家に憧れる人にもおすすめです。
木造が得意な工務店や木造ハウスメーカーは多く、工法やデザインなどもさまざまです。たくさんの候補の中から、理想の家づくりに近いイメージの会社を選ぶことが成功の近道といえるでしょう。

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最終更新日 2024年10月30日