和風住宅や、和の要素を取り入れた家で快適に!昔ながらの日本の住まいを見直し、今に活かす

昔の住まいの良さを活かした家づくり

2022年6月20日 更新
昔の住まいの良さを活かした家づくり

伝統的な日本の家には、現代を生きる私たちのライフスタイルにもぴったりの暮らしの知恵や工夫が盛り込まれています。そこで、現代の住宅にも比較的取り入れやすく、暮らしを快適にしてくれる家づくりのヒントを紹介。ぜひ参考になさってください。

「風雨から家を守る」…勾配屋根・軒

建物の劣化を防ぎ、外観のアクセントにも

「風雨から家を守る」…勾配屋根・軒 イメージ

一年を通して降水量が多い日本では、雨漏りや雪の重みで建物が傷むのを防ぐために、屋根に勾配をつけて雨や雪を流しました。現在も多くの住宅で見られる切妻(本を開いて伏せたような2つの傾斜面を持つ形状)や寄棟(4つの傾斜面を持つ形状)などの屋根は、屋根の排水性能を高めると同時に、家の外観や街並みを特徴づける役割も果たしています。
また、屋根の一部を外側に突き出した軒部分は、風雨から外壁を守るだけでなく、雨に塗れずに家の中と外を行き来できるメリットもあります。

「夏の暑さ対策に」…軒・すだれ・よしず

設置するだけで日よけ効果が得られる

「夏の暑さ対策に」…軒・すだれ・よしず イメージ

最近は軒のないシンプルな箱型の住宅が人気ですが、昔ながらの日本の住宅は屋根の軒を深く出すことで、夏の強い日差しを遮りながら、通風も確保していました。この軒下に「すだれ」や「よしず」を取り付ければ、見た目も涼しげな日陰をつくることができます。
すだれやよしずが暑さ対策にぴったりな理由として、屋外に設置するため室内のカーテンやブラインドよりも日差しを遮る効果が高いことや、室内から外を見たときのまぶしさの低減に役立つことが挙げられます。すだれを吊るす際は、あらかじめ軒の先端にフックを取り付けておきましょう。

「自然素材で心地よく」…ムク材・左官材料・瓦など

住まいに自然の安らぎを取り入れる

「自然素材で心地よく」…ムク材・左官材料・瓦など イメージ

戦後の家づくりでは、安価で大量生産が可能な新建材が用いられるようになりましたが、それ以前はムクの木材や、土や漆喰などの左官材料、土でできた瓦、和紙の障子や襖などが使われていました。これらの自然素材は現在でも人気が高く、自然素材の家づくりを売りにした住宅会社なども多く見られます。
ムクの木材の香りや肌ざわりのよさ、土や漆喰壁の調湿作用などは、その家での暮らしの快適さや豊かさにつながります。新建材に比べてキズや汚れがつきやすいものや、お手入れに手がかかるものなど多少のクセはありますが、それも住まいの個性ととらえて楽しめる人におすすめです。

「畳の上でリラックス」…和室・畳コーナー

幅広い用途で使えるマルチスペース

「畳の上でリラックス」…和室・畳コーナー イメージ

床の上に座ったり、寝転がったりする習慣のある日本人にとって、和室は心がほっと安らぐ空間。布団を敷いて寝室にしたり、来客時には客間として利用したり、子どものお昼寝や遊び場にしたりと、さまざまな使い方ができるのも魅力です。
現代の新築住宅では、床の間や書院をしつらえた伝統的な和室は少ないものの、洋室の床に畳を敷き詰めた洋風の和室や、リビングやダイニングの一角に畳コーナーをもうけた間取りは人気があります。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

半畳たたみなら室内がすっきり。インテリアにもなじみやすい

半畳たたみなら室内がすっきり。インテリアにもなじみやすい イメージ

和室といえば、従来は縁のある一畳たたみが一般的でしたが、近年は縁のない半畳たたみ(琉球畳)を選ぶケースが増えています。縁がないので室内がすっきりと見え、和風、洋風など住宅のテイストやインテリアを問わず取り入れやすいのが人気の理由。半畳たたみの目の向きを交互に変えて敷き詰めると、光の反射でモダンな市松模様になるのも魅力です。一般的な一畳たたみよりも施工に手間がかかることからコストは高めですが、興味があれば検討してはいかがでしょうか。

「開け閉めが楽ちん」…引き戸

開き戸より少ない動作で、無理なく開閉できる

「開け閉めが楽ちん」…引き戸 イメージ

扉にはいくつかの種類があり、一般的にドアと呼ばれる開き戸は蝶番(ちょうつがい)を起点に前後に開閉しますが、日本の住宅で見られる板戸や襖、障子のように、水平方向にスライドさせて開閉するものを「引き戸」といいます。
引き戸は、開き戸のようにドアノブやレバーを操作しなくても、左右に軽くスライドするだけで開閉できることから、手の力の弱い高齢者や子どもでも開け閉めしやすいのが特徴。近年はバリアフリーの観点から引き戸を採用する住宅が増えつつあります。また、開き具合を微調整できるので、少しだけ開けて風を通したりすることも可能です。

「庭を眺めてくつろぐ」…濡れ縁

家族でのんびりと過ごす時間におすすめ

「庭を眺めてくつろぐ」…濡れ縁 イメージ

「濡れ縁(ぬれえん)」とは、建物の外側に張り出した縁側のような床部分のことで、大抵は掃き出し窓の外側に設置されます。縁側が屋内空間であるのに対して、濡れ縁は雨ざらしの外部にあるため、こう呼ばれるようになりました。
濡れ縁は、室内と庭を結ぶ役割のほかに、室内の延長として裸足のまま濡れ縁に出て、庭を眺めたり、ベンチのように腰かけたりできるスペースです。ウッドデッキとほぼ同義語で使われますが、ウッドデッキよりも省スペースである分、設置コストやメンテナンスの負担も少ないことから、気軽に屋外の雰囲気を楽しみたい人にぴったりです。

まとめると…まとめると…

古きよき伝統を次の世代へ!昔の知恵と工夫が詰まった住まい

日古きよき伝統を次の世代へ!昔の知恵と工夫が詰まった住まい イメージ

「理想の家を建てたい」と思っても、いざ家づくりを始めてみると、何を取り入れたらよいか分からない…ということも。
家づくりで迷ったときは、私たちの先祖が長年にわたって培ってきた住まいの知恵と工夫を頼ってみてはいかがでしょうか。日々の生活の中で伝統を感じつつ、次の世代に伝統を伝えていくことにもつながります。

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最終更新日 2024年12月02日