介護に備えて、今からやっておくこと
少子化・晩婚化の影響で高齢の親を支える子の数は少なくなり、さらに子育て中に親の介護に直面する人も。仕事や子育てをしながら親の介護もこなすには、早めの準備が大切です。親がまだ元気なうちに、老後の暮らし方や介護について話し合っておきましょう。
親とこまめに連絡をとる
何気ない会話や仕草から異変がないかチェック
高齢になった親のことが気がかりでも、自身の仕事や子育てが大変で、なかなか連絡をとれないという子どもは少なくありません。すると親のほうも、忙しい子どもに遠慮して、一人で問題を抱え込んでしまいがちです。
高齢になれば、誰でも筋力や体力が低下していきます。安易に「親から便りがないのは元気な証拠」と考えず、定期的に実家に顔を出したり、電話やLINEでやりとりをしたりして、気がねなく話せる関係をつくっておきましょう。普段からコミュニケーションがあれば、親も何かあったときに話しやすいですし、子どもも親の異変をキャッチしやすくなります。
ちょこっとメモ!
親と離れて暮らしているときは…ご近所さんの力を借りる
親と同居、もしくは近隣に住んでいれば頻繁に顔を合わせられますが、実家が遠方で年に数回しか帰省できないような場合、親の異変に気付かずに対応が遅れてしまうことがあるかも知れません。そのような場合に備えて、実家の近所に親と親しい人がいたら、帰省時に挨拶がてら「何かあったら教えてください」と連絡先を渡しておきましょう。自治体などが行う高齢者の見守りサービスを利用するのも安心につながります。
親の希望を聞いておく
希望をもとに、親と子が納得のいく結論を探る
人それぞれに好みが違うように、介護や終末期に対する思いもさまざまです。できれば、親がまだ元気なうちに希望を確認しておきましょう。 具体的には、
- ・介護が必要になったときに住みたい場所は?(自宅・子どもの家・施設など)
- ・誰から介護を受けたい?
- ・延命治療はどこまで受けたい?(人工呼吸・人工栄養・人工透析など)
- ・葬儀やお墓の希望はある?
上記の項目を確認しておくと、いざというときに子どもの迷いが少なくなります。もちろん、希望をすべて叶えられる訳ではありませんが、親の気持ちを受け容れつつ、子ども側の事情も伝えるなど、お互いに納得のいく結論を導き出しましょう。
必要な情報をメモする
医療や交友関係など、暮らしのことを中心に
もしも認知症などで意思疎通ができなくなったときに備えて、次のことを親から聞いておきましょう。
- ・かかりつけ医は?
- ・現在通院中の病院やクリニックは?
- ・現在服用中の薬は?
- ・健康保険証や介護保険証の保管場所は?
- ・通帳や印鑑などの保管場所は?可能ならキャッシュカードの暗号番号も確認する
- ・水光熱費・新聞購読費・携帯料金などの支払い方法は?
- ・親しい友人や近所の人は? その人の連絡先も確認する
- ・通っている習い事の教室やサークルは? その連絡先も確認する
介護費用について話し合う
後々の不便を防ぐため、親が元気なうちに確認を!
介護に必要な費用(※)や、親の年金額や貯蓄額を踏まえ、どこから介護費用を捻出するか、家族間で話し合っておきましょう。 一般的には、親の同意を得て、親名義の口座から子どもがキャッシュカードで引き出す場合が多いようです。ただし親が元気なうちに確認しておかないと、もしも認知症などで意思疎通ができなくなった場合にキャッシュカードの置き場所も暗証番号も分からず、途方に暮れてしまう…という事態になりかねません。
金融機関は原則として、本人が認知症になると口座を凍結して預金を引き出せないようにします。そこで最近は、本人以外の同居の家族も引き出せる「代理人カード」を作成するケースも増えてきました。代理人カードがあれば、本人の状態にかかわらず代理人が介護費用を引き出せますが、作成するには本人が元気なうちに金融機関の窓口を訪れ、手続きをする必要があります。
※介護費用についてはこちらのページで紹介しています。
介護の情報を集めておく
利用できる制度やサービスを調べて備える
介護保険や自治体独自の介護サービスなど、介護に関する情報を集めておきましょう。身のまわりに家族の介護を経験した人がいれば、話を聞いてみるのもおすすめです。
なお、介護保険制度は3年ごとに見直され、自治体によってサービスの内容や費用も異なります。自治体が配布するパンフレットやWEBサイトをチェックして、常に最新の情報を入手しましょう。
まとめると…
残された時間を前向きに過ごす。そのために準備を始めよう
介護が必要になったとき、介護を受ける本人もその家族も、介護は未経験という場合がほとんど。なんの知識もないまま始めると、思わぬ壁にぶつかってしまうかも知れません。ですが、日頃から家族間で介護について話し合い、介護に関する情報を集めておけば、ある程度心の準備ができますし、いざというときに落ち着いて対処することができます。介護の準備は、本人と家族に残された時間を前向きに過ごすために必要なステップなのです。
コラムを探す
新着コラム
最終更新日 2024年12月02日
- 「終活」とは、自分らしい最期を迎えるための準備活動のこと。持ち家がある場合は、自宅の相続のことも頭に入れておきたいもの。もしものときに備えて「住まいの終活」を始めませんか。
- 購入を検討している物件を現地でチェックする「物件見学」は、家探しの重要なステップの一つ。物件見学時にきちんと確認したいポイントを押さえて、家選びを成功させましょう!
- 災害は、ある日突然やってきます。いざというときにペットと自分を守れるように、飼い主さんができる「日頃の備え」と「災害時の行動」を学んでいきましょう。
- 注文住宅を建てる上で、大切にしたいのが「土地選び」。土地選びで失敗しないための準備や物件情報の見方、現地見学のチェック項目など、知っておきたいポイントをまとめました。
- 共働き家庭が主流となった今、親世帯と子世帯が同じ家に住む「二世帯住宅」を選択する人が増加中。気持ちよく暮らすための間取りから、相続時のアドバイスまで、二世帯住宅を成功に導くポイントを紹介します。
- 新築や賃貸物件の広告に、新たに掲載されるようになった「省エネ性能ラベル」。それぞれの項目の意味と見方を理解して、物件の比較・検討に役立てましょう!
- 住まいの情報ナビ
- 知って得する生活の知恵
- 将来に備えてそろそろ知りたい介護の制度・お金・やるべきこと
- 介護に備えて、今からやっておくこと