2014年12月20日 更新
日本には、移りゆく季節の中で先祖代々受け継がれてきた行事としきたりがあります。
春に咲く花を愛で、夏の暑さをねぎらい、実りの秋を喜び、冬はゆく年を見送り新しい年を迎える……そんな季節の流れと和の伝統をかみしめながら、365日を過ごしてみませんか。
※これらの行事のほとんどは太陰暦で行われますが、ここでは太陽暦で紹介します。
1日~7日 正月 | 1日(元日)の朝に、若水(わかみず)を汲んで神棚に供え、餅や御神酒で新しい年の神様をお迎えします。いつもお世話になっている方への正月の挨拶回りは、2日から7日までの間に。 |
5日頃 小寒(しょうかん) | 「寒の入り」とも言います。そろそろ寒さが本格的に始まる頃。 |
7日 人日の節供 (じんじつのせっく) | 1年の無病息災を祈って七草がゆをいただくことから、「七草の節供」とも。 |
11日 鏡開き | お供え物の鏡餅を木槌で割り、みんなでいただきます。 |
15日 小正月(こしょうがつ) | 1月1日~7日を大正月と呼ぶのに対して、15日は小正月と言います。この日の朝は、小豆がゆを食べる習わしがあります。古くは小正月までが松の内とされていました。 |
20日 二十日正月 (はつかしょうがつ) | 正月の祝い納めの日。かつてはこの日に仕事を休み、正月料理を食べ尽くすなど正月の終わりをねぎらいました。 |
20日頃 大寒(だいかん) | 1年の中で最も寒い時期が、この大寒と言われています。 |
肌寒い空気の中で、凛とした香しい香りを放つ水仙。平安時代に中国を経て伝わったニホンズイセンなどが有名です。 |
3日頃 節分(せつぶん) | 「鬼は外、福は内」と福豆をまいて1年の厄落としを行う節分。毎年、立春の前日が節分の日にあたります。節分のルーツは平安時代に宮中で始まった鬼払いの儀式「追儺(ついな)」と言われています。 |
4日頃 立春(りっしゅん) | 寒さがゆるみ始め、少しずつ春の気配が感じられるのはこの日から。 |
9日頃 初午(はつうま) | 2月最初の午の日が初午です。お稲荷様に参拝し、いなり寿司をいただきます。 |
19日頃 雨水(うすい) | 空から降る雪が雨に変わる頃なので雨水と呼ばれます。そろそろ農作業の準備がスタート。また、この日に雛人形を飾ると良縁に恵まれるという言い伝えも。 |
この時期、可憐な黄色い花を咲かせる福寿草。冷たい地面から、どの花よりも早く顔を覗かせて春の訪れを知らせます。 |
3日 上巳の節供 (じょうしのせっく) | 別名「桃の節供」。この日に合わせて飾られる雛人形は、もともと江戸時代に紙製の小さな人形をつくって川に流し、厄落としをしたのが始まりとされています。 |
6日頃 啓蟄(けいちつ) | 冬の間、土の中で眠っていた虫たちが目を覚まして地上にあらわれる日。春はもうすぐそこです。 |
21日頃 春分・彼岸 | この日、昼と夜の長さが等しくなり、以降は日に日に昼が長くなっていきます。先祖を供養する彼岸(春彼岸)の時期でもあります。 |
春を告げる代表的な花。黄色や白の愛らしい花を咲かせた後は、綿毛状の種子がフワフワと風にのって舞い上がります。 |
5日頃 清明(せいめい) | 草木が芽吹くなど、万物が清々しく明るく色づく頃。 |
上旬~ 花見 | 桜前線が北上し、各地の桜が見頃に。奈良時代は花見と言えば梅の花が主流でしたが、平安時代になると桜を愛でるようになり、現在までその習慣が続いています。 |
20日頃 穀雨(こくう) | 日ごとに陽気が温かくなるこの時期、穀物の生長をうながす柔らかい雨が田畑をうるおします。 |
「レンゲ」、「ゲンゲ」などとも呼ばれる薄紫の花。唱歌「春の小川」にも、春の情景として蓮華草が登場します。 |
2日頃 八十八夜 | 青々とした茶畑で茶摘みを行う光景は、唱歌「茶摘み」でよく知られています。この日に摘み取られたお茶は質がよく、飲むと長生きできるという言い伝えがあります。 |
5日 端午の節供 | 男の子のお祭りの日。柏餅やちまきをいただき、菖蒲(しょうぶ)湯に浸かって無病息災を願います。 |
5日頃 立夏(りっか) | 暦の上では夏の始まりとされています。現代ではゴールデンウィークの終わり頃にあたり、爽やかな初夏の日差しの中でレジャーを楽しむのに適しています。 |
21日頃 小満(しょうまん) | 心地よい気候になり、万物が成長して一定の大きさに達します。麦の穂が実る「麦秋(ばくしゅう)」もこの頃です。 |
藤棚いっぱいに淡い紫色の花がしだれるようすが見られます。「藤まつり」を開催する地域も多数。 |
1日 衣替え | 季節の移り変わりに応じて衣服を取り替えるのは、四季がある日本ならでは。衣替えの習慣は平安時代に始まり、当初は中国の影響を受けて旧暦の4月1日と10月1日に行われていましたが、現在は新暦の6月1日と10月1日となりました。 |
6日頃 芒種(ぼうしゅ) | 田植えのシーズンが始まりました。この日は米や麦などの穀物の種を蒔くのに適しているとされています。 |
21日頃 夏至(げし) | この日を境に、昼の時間が短くなっていきます。 |
30日 夏越の祓 (なごしのはらえ) | この半年分の罪や穢れ(けがれ)を祓い清め、無病息災を願う神事が全国の神社で行われます。境内には茅の輪(ちのわ)が設けられ、これをくぐることから「輪くぐり祭」と呼ばれることもあります。 |
梅雨空の下で咲く色とりどりの紫陽花は、6月の風物詩。花の色が変わりゆくことから「七変化」との別名があります。 |
7日頃 小暑(しょうしょ) | 梅雨明けを間近に控え、暑さが本格化する頃です。そろそろお盆休みの計画も練っておきましょう。 |
7日 七夕の節供 | 織姫と彦星のロマンチックなストーリーで知られる七夕の日。短冊を笹竹に結わえ、星に願いを込めましょう。地域によっては笹竹を川や海に流す風習もあります。 |
13日~16日頃 お盆 | 関東や東北の一部地域では、7月にお盆を執り行います。13日の夕刻に迎え火を焚き、故人の霊魂をお迎え。16日には送り火で見送ります。 |
23日頃 大暑(たいしょ) | 暦の上では、この頃が最も暑さが厳しいとされています。 |
夏の早朝に、涼やかな表情を覗かせる朝顔の花。近年ではベランダや庭からの日差しを遮り、室内の温度上昇を防ぐグリーンカーテンの植物としても人気があります。 |
1日 八朔(はっさく) | 八朔とは8月朔日(1日)のこと。かつては、この頃に収穫される早稲の穂をお世話になった人に贈る習慣がありました。 |
7日頃 立秋(りっしゅう) | まだまだ暑い日が続きますが、暦の上では秋。立秋を過ぎてからの便りは暑中見舞いではなく「残暑見舞い」に。 |
13日~16日頃 お盆※月遅れ | 「旧盆」とも呼ばれる8月のお盆。各地で夏祭りや盆踊りも行われます。 |
23日頃 処暑 | 暦上は暑さがようやくやわらぐ頃とされています。夏バテしないよう体調管理はしっかりと。 |
「日車(ひぐるま)」、「日輪草(にちりんそう)」という別名も。太陽の動きにつれて花が回り、まぶしい光のエネルギーをいっぱいに受け止めます。 |
1日頃 二百十日 (にひゃくとおか) | 立春から数えて二百十日目のこの日は、台風によって天気が荒れやすい日とされています。万一の災害に備えて、準備は万全ですか? 日頃から災害グッズの点検や避難訓練はおこたらないようにしましょう。 |
8日頃 白露(はくろ) | 空気が冷えてきて、草花に露がつき始めます。 |
9日 重陽の節供 (ちょうようのせっく) | 「菊の節供」「栗の節供」の別名でも知られています。旧暦の重陽の節供はさまざまな農作物の実りの時期にあたるため、各地で秋祭りが開催されます。 |
11日頃 二百二十日 (にひゃくはつか) | 二百十日と同様、二百二十日も台風がくる確率が高いと言われる日です。 |
中旬 仲秋の名月(十五夜) | 芒に月見だんご、栗、里芋などをお供えして、収穫に感謝する日。雲などで月が隠れていない場合は「無月(むげつ)」、雨天の場合は「雨月(うげつ)」と言い、雲の向こうにある月に思いを馳せるもの。 |
23日頃 秋分・彼岸 | 昼と夜の時間がほぼ同じになる日が秋分。暑さと寒さの折り返し地点であり、この日を境に暑さがクールダウンします。また、この時期は先祖を供養する彼岸(秋彼岸)でもあります。 |
暑さがやわらぐ彼岸の頃、田んぼのあぜ道などに咲き誇る花。別名「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」。 |
1日 衣替え | 朝晩は肌寒さを感じる時期。冬物の衣服の準備をします。 |
8日頃 寒露(かんろ) | 冷気によって、草木についた露が冷たくなります。この頃、冬鳥が飛来して大空を舞い飛ぶようすが見られます。 |
23日頃 霜降(そうこう) | 寒さがますます強まり、露が霜に変わる頃。日中の衣服だけではなく、寝る時も温かさをキープする毛布などを用意したいものです。 |
甘く清々しい香りが特徴の金木犀。無数に咲き誇るオレンジ色の小さな花が可憐な印象です。 |
7日頃 立冬(りっとう) | 暦の上では冬の始まりですが、まだ木々の葉は色づき始めたばかりで、秋の気配が残っているでしょう。 |
15日 七五三 | 7歳・5歳・3歳の子どもの成長を願って寺社に詣でる行事。3歳は男女ともに祝い、5歳は男の子、7歳は女の子のお祝いをするのが一般的ですが、地域により異なる場合もあります。 |
22日頃 小雪(しょうせつ) | 雨に混じって、ちらほら雪が降り始めます。 |
晩秋から初冬にかけて、ひっそりと紅や白の花を咲かせる山茶花。見た目が椿と似ていますが、椿が花ごと落ちるのに対し、山茶花は花びらがヒラヒラと散ります。 |
7日頃 大雪(たいせつ) | 寒気が強まり、雪が降り始めます。正月の飾り物としてお馴染みの南天の実も、赤く色づきはじめます。 |
13日 正月事始め | 新しい年を迎える準備がスタート。各地で正月用の道具が揃う年の市が開かれるのもこの頃。 |
22日頃 冬至(とうじ) | 昼の時間が最も短く、夜が最も長い日。柚子湯に浸かって身体を温め、かぼちゃをいただきます。 |
31日 大晦日(おおみそか) | 「晦日」とは「三十日」、つまり月の最終日をあらわしています。12月31日は1年の最後の最終日のため、頭に「大」をつけて「大晦日」。この日は各地で年神様を迎える行事が行われます。 |
冬の鉢植えとして人気の高いシクラメン。花の色は赤や白、ピンクなどで、花びらの形も多種多彩です。 |
今特集では、日本の文化や伝統を「衣」「食」「住」「暦」の視点から紹介しました。
日本に限らず、文化とはその地域の自然に根ざして発展します。中でも四季のある日本は、季節の移ろいや旬を巧みに生活に取り入れ、より快適に暮らすための知恵が豊富と言えます。
日本の文化や伝統を知ることは、日本で暮らす私たちにとって、暮らしをより豊かにするヒントになることは間違いありません。この機会にあなたも、暮らしに役立つ「和」を見直してはいかがでしょうか。
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最終更新日 2024年10月30日
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