2014年12月20日 更新
木の格子や土壁、瓦屋根などが落ち着いた風合いをかもしだす和風住宅。伝統的な純和風の住宅のほか、洋風の住宅に和のエッセンスを織り交ぜた和洋折衷住宅、和モダン住宅なども人気があります。
歴史
古代の日本の住宅は、大きく分けて「竪穴式住居」と「高床式住居」の2タイプがありました。竪穴式住居は地面を掘ってその中に柱を建て、草や土で屋根を覆ったもの。高床式住居は地面から離れた高い位置に床を張る住居形式です。高床式住居は東南アジアに多く分布しており、高温多湿の気候でも穀物が腐りにくいことから倉庫としても利用されていました。
平安時代になると、日本独自の住宅形式が発達し、「寝殿造り」という貴族の邸宅が登場します。広い庭園の北側に左右対称の建物を配置し、建物と建物の間を廊下でつないだ寝殿造りは、現在は京都御所や広島の厳島神社などで見ることができます。
鎌倉時代になって武家の勢力が強まると、寝殿造りは簡素化されて「武家造り」へと姿を変えていきます。寝殿造りでは1つの部屋を御簾(みす)や几帳(きちょう)、屏風などで仕切っていましたが、武家造りでは部屋ごとに壁で仕切り、引き戸を開け閉めして各部屋間を移動するようになりました。武家造りがさらに発展したものが、室町時代末期から桃山時代にあらわれた「書院造り」で、引き戸や床の間など現在の日本家屋のほとんどの造作がこの頃に確立しました。
一方、庶民の住宅は各地の気候や風土に合わせてさまざまな形式が誕生しました。江戸時代の農家の多くは建物の約半分が土間になっており、農作業の場所として使用されていました。残りの約半分は板の間で、そこに筵(むしろ)や畳が敷かれました。
商人や職人などが住んだ街なかの住宅のことを「町家」と言います。町家は入り口から奥まで通じる土間があり、土間に面して部屋が設けられました。京都のような古い街では、今でも伝統的な町家が残っています。
特徴 和風住宅といっても時代や地域によってさまざまですが、戦前の一般的な木造住宅ですと、木や紙、土などの自然素材をふんだんに使ったエコロジーな住まいという特徴があります。
![]() | 「木の文化」の集大成の住まい |
国土面積の約3分の2が森林である日本では、昔から身近な木材を使っていろいろなものづくりが行われてきました。もちろん住宅と木のつながりも深く、柱や屋根、天井、壁、床、建具などのあらゆる部分に木材が使用されています。 一般的な木造住宅に使用される木材はヒノキ、スギ、カラマツ、ヒバなど。これらの木材に囲まれた住宅は、まるで森の中にいるような安らぎと心地よさを与えてくれます。 |
![]() | 風雨から家を守る軒と庇(ひさし) |
屋根の外壁から外側へ突き出た部分を軒、玄関などの出入り口や窓の上部に設ける小型の屋根を庇と言い、風雨から建物を守る役割があります。深く突き出た軒や庇があれば、雨が壁や屋内を濡らすことがないので建物の耐久性がアップします。また、太陽が高い位置にくる夏は軒や庇が帽子のつばのようになって直射日光が室内に差し込むのを防ぎます。逆に太陽が低い位置にある冬は日光が斜めに差し込むため、軒や庇が邪魔にならず、温かい日光を室内に取り込むことができます。 |
![]() | 雨をしのぐ屋根の勾配 |
日本の年間降水量は約1,700mmで、世界的に見ても水の豊かな多雨地域です。けれども梅雨の時期の長引く雨や、夏から秋にかけて訪れる台風の大雨は、住宅にダメージを与えてしまいます。 そのため日本では昔から、屋根に勾配をつけて雨水を早く流れ落とす工夫を重ねてきました。これは欧米でよく見られる平らな屋根(陸屋根)とは対照的なつくりと言えます。 |
![]() | 粘土を成形して窯で焼き固めた屋根材。耐久性、耐寒性にすぐれており、万一破損してもその部分だけ補修すればよいというメリットがある。最近ではセメント、金属、スレート製の瓦もあり、形状や色もさまざま。 |
![]() | 土を塗って固めた壁で、左官職人によって仕上げられる。自然素材のためシックハウス症候群の心配がなく、吸放湿性にすぐれているので高温多湿の日本の気候に適している。防火性、断熱性、耐久性が高いのも魅力。 |
![]() | 屋内でありながら、地面とほぼ同じ高さで屋外とつながっている空間。かつては土足のまま炊事や作業ができる場所として利用されていたが、現在では日曜大工、家庭菜園、趣味のバイクや自転車の保管場所などの多目的スペースとして使われることが多い。 |
![]() | イグサという自然素材を織り上げてつくる床仕上げ材。畳床に空気が含まれているため吸音性、断熱性にすぐれている。適度なクッション性があり、そのまま寝そべったり昼寝をしたりするのも快適。一般的な縁のある畳のほかに、縁のない琉球畳・琉球風畳なども。 |
![]() | 木の骨組みの上に紙を貼った建具で、部屋同士を仕切る役割がある。軽くて取り外しが可能なので、用途に応じて自由に部屋の大きさを調節できる。襖の紙には調湿性があり、紙と紙の間にある空気の層によって夏は涼しく冬は温かい空間に。襖に描かれた絵(襖絵)は室内装飾の役割も担っている。 |
![]() | 上の襖と同様、部屋同士や屋内と屋外の間仕切りとして用いられる建具。木製の桟に薄い和紙を貼ることで、外の光を柔らかく拡散して室内に心地よい明るさを取り込む効果がある。また、和紙を貼り替えるだけで再生可能なのでメンテナスが楽。 |
![]() | 引き違いに開閉する戸。上に鴨居、下に敷居という溝をつくり、そこに板戸をはめ込んで横にスライドさせて開閉する。ドアのように風でバタンと戸が閉まることがなく、荷物の出し入れも楽。戸を開けるとそのまま壁の内部や側面に収められるためスペースを無駄なく使うことができる。 |
![]() | 畳の客間の一角に設けられた、床を一段高くした場所。壁には掛け軸を配し、床にはお正月などの季節の飾りや生け花、置物などを飾る。お客様をお迎えする時は、床の間がある上座に通し、家人は反対側の下座につくのが正解。 |
![]() | 建物の外側に張り出した板敷きの通路部分で、建物と庭の中間のような役割を持つ。建物の外になるので雨が降ると濡れることから「濡れ縁」とも言う。通常は三尺幅(約91㎝)だが、それより幅が広いものは「広縁」と呼ばれる。 |

よく「欧米の住宅が高寿命であるのに対し、日本の住宅の寿命は30年程度」などと言われますが、これは戦後の住宅不足の時代に大量生産された住宅が、簡略化された工法でつくられたたために耐久性が低かったり、間取りや設備などの問題が生じたりして住みづらくなって
しまったことに原因があるとされています。実際のところ、現存する世界最古の木造建築物が約1400年前に建てられた法隆寺(奈良県)であるように、日本でつくられる木造建築は高寿命。伝統的な工法でつくられた築100年以上の「古民家」も全国各地に残っています。最近では政府が耐震性、耐久性にすぐれた「長期優良住宅」の普及を推進しているように、これからの日本の住宅は欧米並みに長持ちすることが予想されます。和風住宅の場合、木材という自然素材を使用するため適切なメンテナンスが欠かせませんが、長く快適に暮らすにはぴったりの高寿命の住まいです。
これから家づくりやリフォームをする人で、「和風住宅や、和風の特徴を取り入れた家に住みたい」と思ったら、どうすればよいのでしょうか。
昔ながらの和風住宅(戦前の一般的な木造住宅)には、現在の一般的な日本の住宅にはない特性があります。そのためまずは和風住宅のメリットとデメリットを知り、その住まいでどんな生活が送りたいか想像してみてください。
- 木を用いた構造、土壁など調湿効果にすぐれた住まい
- 換気・通気性がよく高温多湿の気候に合っている
- 襖や障子を取り外せば広さの調節が可能。客間やくつろぎの場、寝室など幅広く使える
- 素足に触れる畳の質感、木のぬくもりなど心地よい肌触り
- 自然素材を多用しているためシックハウス症候群の心配が比較的少なく、将来の解体時には自然に還る
- 通気性にすぐれており夏の暑さに強い反面、気密性が高くないため冬の寒さに弱い
- 襖や障子で仕切られた部屋はプライバシーが守られにくい
- 定期的なメンテナンスは必須
以上のようなメリット・デメリットを踏まえた上で、和風住宅での生活をイメージしてみましょう。デメリットについては現在の建築技術でカバーできる部分も多数あるので、不動産会社や施工会社といった家づくりの専門家に相談することをおすすめします。
和風住宅に限りませんが、家をつくる時に、設計をお願いする担当者へ外観や内観の好みやイメージを伝えるのは難しいもの。特に「和モダン」「和洋折衷」などは解釈の仕方が人それぞれですので、曖昧に伝えてしまうとなかなか自分好みのイメージに仕上がらない危険もあります。
一般的に、和風住宅や和風の特徴を備えた住宅のイメージは次のようなものがあります。
![]() | 勾配のある屋根に粘土瓦、木目の美しい柱など、ひと目見て「和」を印象させる外観。内観は梁を出し、土間や床の間をしつらえると純和風のイメージに。 |
![]() | 外観は瓦屋根や木の格子など和のテイストを取り入れながら、直線を強調するなど現代的なデザインに仕上げることが多い。内観は畳に色や模様のある壁紙を組み合わせるなどの工夫が見られる。 |
![]() | フローリングのリビングの隣に和室があるなど、洋風と和風をバランスよく取り入れた住宅。 |
これらのイメージを伝えるためには、言葉よりも雑誌などを見て理想の住宅の切り抜きなどを持参すると効果的です。不動産会社や施工会社のWEBサイトにある施工実績をチェックして、理想に近いイメージの会社にお願いするのもよいでしょう。
最近は和室のない間取りの住宅も増えていますが、和室にはさまざまなメリットがあります。クッション性のある畳を敷き詰めた和室は、
ちょっと横になったり洗濯物を畳んだりする時に便利ですし、転倒してもケガの危険性が少ないので子どもやお年寄りのいる家庭では重宝します。
また、特に和室を必要としない家庭でも、将来的に両親のいずれかと同居の可能性がある場合や、実家の仏壇を引き継ぐ予定がある場合は和室があるとよいでしょう。敷地の問題などで独立した和室を設けられない場合は、リビングに隣接して和室を配置してはいかがでしょうか。仕切りを使って必要に応じて開け閉めできるようにすれば、急な来客時などにも対応可能できます。
日本の伝統的な暮らしが見直されるとともに、昔ながらの古民家をリフォームして住む「古民家再生」がブームになっています。長年の歴史を感じさせるどっしりとした佇まいや、柱や梁の重厚な風格など「古民家の魅力を楽しみたい!」という人のために、古民家再生のコツや注意点を紹介します。
![]() | まずは物件探し |
古民家再生の第一歩は、気に入った物件を見つけることから。古民家を取り扱う不動産会社の情報サイトや、住みたいエリアの不動産会社に声かけをするなどして情報を収集します。 |
![]() | 下見が肝心! |
気に入った古民家が見つかったら、すぐに契約せず、落ち着いて下見をしましょう。特に建物の基礎が歪んでいないか、雨漏りしている箇所がないか、水まわりの使い勝手や老朽化などをきちんとチェックします。下見の際に不動産会社に、公的資格の古民家鑑定士やリフォーム会社の担当者が同行することをお願いして、一緒に見てもらうのが一番です。 |
![]() | リフォームプランは慎重に |
古民家に暮らすといっても、昔の設備のまま生活を送るのは難しいもの。老朽化した箇所の修繕はもちろんのこと、住宅の気密化・断熱化や水廻りの設備など、快適に暮らすためのリフォームプランを検討します。プランによっては費用が高額になることも予想されますが、予算やこだわりの度合いに応じて、リフォーム会社の担当者とじっくり話し合いましょう。 |
![]() | 古民家再生のパートナー選び |
古民家再生を検討するなら、専門の知識と経験のあるリフォーム会社や施工会社にお願いすることが大切です。もしも見つからない場合は、物件を紹介してくれた不動産会社か、地域の古民家再生協会の古民家鑑定士に相談してください。 |
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