“マイナス金利解除”で気になる住宅ローンの金利を深堀り! 住宅ローンを借りる前に知っておきたい「金利」の話

金利の上昇局面での住宅ローン選び

2024年6月4日 更新
金利の上昇局面での住宅ローン選び

現在は住宅ローンの固定金利が上昇しつつあるとはいえ、まだまだ固定金利も変動金利も低水準に落ち着いています。けれども今後、金利の上昇がいよいよ現実的になったら、どのようなポイントに注意して住宅ローンを選べばよいのでしょうか。

低金利のメリットを維持するなら「固定金利」

市場の金利が上がっても返済額に影響はない

市場の金利が上がっても返済額に影響はない

固定金利タイプの住宅ローンを選ぶと当初の低金利が固定されるので、固定期間中は市場の金利が上がっても返済額が変わらず、計画的に返済することができます。
金利の上昇が予測されるときは、固定金利の期間をできるだけ長く設定して、低金利のメリットを長く維持できるようにするのがセオリーです。

「変動金利」は金利上昇リスクを考慮して

将来金利が上がっても耐えられる返済計画を!

将来金利が上がっても耐えられる返済計画を!

金利上昇が予測されるときは市場の金利に左右されない固定金利タイプがお得ですが、ローンの返済期間が短い場合や、金利が上がったときに繰り上げ返済ができる資金の余裕がある場合などは、変動金利タイプの住宅ローンも有力な選択肢となります。

・金利上昇リスクを考えた返済計画は必須

変動金利は返済期間中に金利が変動するため、将来金利が上がっても無理なく返済できるかどうかを見極めることは大切です。
たとえば、金利上昇により返済額が125%に増えたとして、当初の毎月の返済額が10万円なら見直し後の返済額は12万5000円になります。毎月のローンの支払いに加え、生活費や子どもの教育費などを含めて家計に支障がないか、将来のことも考えて返済計画を立てましょう。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

さまざまな金利タイプをチェック。シミュレーションをして比較・検討!

さまざまな金利タイプをチェック。シミュレーションをして比較・検討!

住宅ローンの金利タイプは「固定金利」「変動金利」を基本として、固定金利と変動金利をミックスした「金利ミックス」タイプや、返済途中で段階的に金利がアップする「段階金利」タイプなど、銀行によってさまざまなバリエーションがあります。

我が家の家計やライフスタイルに合った返済方法を見つけるために、住宅ローンの金利タイプを選ぶ際は複数の銀行の情報を集め、それぞれの特徴を比較してみましょう。各銀行の住宅ローンの返済シミュレーションができる比較サイトなどを利用するのもおすすめです。

変動金利で気を付けたい「未払い利息」

毎月の返済だけでは元金が減らない! そんな事態を避けるには

毎月の返済だけでは元金が減らない! そんな事態を避けるには

金利が上がりそうな局面で変動金利タイプの住宅ローンを選ぶなら、「未払い利息」のリスクも押さえておきましょう。
多くの銀行では、変動金利が見直されても5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」や、6年目以降も、それまでの125%までしか毎月の返済額が増えない「125%ルール」が存在するため、たとえ金利が上がってもすぐに毎月の返済額が増える訳ではありません。
ただし、金利が大きく上昇すると毎月の返済額に占める利息の割合が高まり、元金の返済がなかなか進まないということも。さらに利息が毎月の返済額を上回ってしまうと、返済だけでは払えない「未払い利息」が発生して、いくら返済し続けても元金がまったく減らない状態になってしまいます。
未払い利息を防ぐには、金利の動向をこまめにチェックしつつ、金利が大きく上昇した際には繰り上げ返済やローンの借り換えなども検討しましょう。

変動金利が上がったときに講じる対策は?

繰り上げ返済やローンの借り換えで負担を減らせることも

繰り上げ返済やローンの借り換えで負担を減らせることも

実際に金利が上昇した際に「繰り上げ返済」や「ローンの借り換え」などの対策をとって、返済額を抑えるのも1つの手段です。ローンのタイプや返済状況によってはかえって損になることもあるので、事前にしっかりとシミュレーションを行いましょう。

繰り上げ返済

・繰り上げ返済

ローンの返済期間中に、通常の返済とは別にまとまった金額を前倒しで支払い、元金を減らすことを「繰り上げ返済」といいます。元金が減ると、その分の利息を支払わなくて済むので総返済額の減額につながります。

繰り上げ返済には、返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」と、毎月の返済額はそのままで返済期間を短縮する「期間短縮型」の2種類があり、後者の「期間短縮型」のほうが支払い利息の総額が少なくなることから、より大きな節約効果が見込めます。

ただし、変動金利の場合は繰り上げ返済時点での金利で再計算されるため、金利が上昇していると毎月の返済額が増える可能性もあります。また利息が多い時期に早めに繰り上げ返済をしたほうが節約効果は高いですが、繰り上げ返済のたびに手数料がかかるので、何回も行うと効果が薄れる点にも注意しましょう。

ローンの借り換え

・ローンの借り換え

住宅ローンの返済額を減らすために、今より金利が低い別の銀行のローンに乗り換える「借り換え」という方法もあります。銀行によって金利はさまざまなので、より低い金利のローンがないかどうかアンテナを張り巡らせてみましょう。
特に、固定期間選択タイプの住宅ローンは固定期間が終了すると金利が見直されるため、このタイミングでより条件のよいローンがあれば、借り換えを検討するチャンス。また、変動金利から固定金利に借り換える場合は金利差分の負担が増えますが、今後の金利上昇リスクを抑えることができます。

気を付けたいのは、新たにローンを組むことで発生する手数料や保証料、登記費用といった諸費用が発生すること。借り換えを検討するときは金利の低さだけで決めるのではなく、諸費用も含めて判断しましょう。

もしも毎月の返済が厳しくなったら…

返済方法を変更できるかも知れないので、早めに相談を!

返済方法を変更できるかも知れないので、早めに相談を!

長い返済期間中には、金利上昇リスクはもちろんですが、転職や退職、思いがけないトラブルなどで収入が途絶えて毎月の返済が厳しくなるケースも考えられます。

住宅ローンの返済が滞ると、ペナルティとして遅延損害金が発生するほか、金利の優遇幅が取り消されることも。さらに何カ月も滞納した場合は、ローンの一括返済を求められたり、最悪の場合、自宅を差し押さえられて競売にかけられたりする可能性もあります。

このような事態を避けるために、もしも毎月の返済が厳しいと感じたら、できるだけ早く借り入れ先の銀行の返済窓口に相談してください。銀行に相談することで、一定期間の返済猶予や返済期間の延長といった対策をとってもらえるかも知れません。
住宅ローンはコツコツ返していくものですから、返済できなければ意味がありません。ですからなるべく余裕を持たせた返済計画を立て、何かあったときはすぐに銀行に問い合わせましょう。

まとめると…まとめると…

住宅ローンは金利や条件を把握して。借りた後の金利変動にも注目を!

住宅ローンは金利や条件を把握して。借りた後の金利変動にも注目を!

家を新築・購入する上で、多くの人が避けては通れない住宅ローン。
返済の負担をなるべく軽くするために、各銀行の住宅ローンの金利や条件を比較・検討して我が家に合ったローンを選びたいものです。また借りた後も「借りっぱなし」にするのではなく、こまめに金利の変動をチェックして、より上手な返済ができるようにしましょう。

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最終更新日 2024年9月12日