2014年8月12日 更新
時代が変われば住まいに対する考え方も変化します。「どんな間取りの家で暮らしたい?」とイメージを膨らませる前に、昔と今の間取りの変化についてチェックしましょう。
最新の間取りの傾向を知ることで、もしかしたら今まで気づかなかった暮らしのカタチが見えてくるかも知れません。
間取りについて、昔と今で最も大きく変わった点は「部屋数優先から空間優先へ」という考え方です。
ひと昔前の日本の住宅は、部屋数を重視する傾向があり、「我が家は1階に○室、2階に△室あるけれど、お隣はもっと部屋数が多い」というような声が聞かれることもありました。
ただ、部屋数を優先すると1室あたりの広さは後回しになり、小さな部屋ばかりになってしまいがちです。壁で細かく区切られた家の中では個々のプライバシーは保たれますが、家族間のつながりが弱くなり、コミュニケーションが生まれにくいという問題点もあります。
そこで最近は部屋数よりも空間の広さを重視し、家族がコミュニケーションをとりやすいオープンな間取りが好まれるようになりました。
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)を区切らずにワンルームにする、リビングから続く和室を開放してひとつながりにするなど、ゆったりとした空間があれば家族が集まりやすくなります。
また、広い空間ですと来客の対応がしやすく、家具の置き場所も比較的自由になります。場合によっては室内を家具で仕切って細かい空間に分けることも可能です。
新築の住宅で新生活をスタートした主婦が、「今までより家事がしやすくなった!」と感激することがあります。この理由は、多くの場合、以前に住んでいた家よりも家事動線がスムーズになったからだと考えられます。
かつての家づくりは、普段家事をしない男性主導で行われることが多かったため、家事動線に注目することはほとんどありませんでした。けれども最近は家づくりに主婦の声が生かされるようになり、より便利で快適に家事ができる工夫が取り入れられています。
例として、次の間取りを見ながら家事をしているところを想像してみてください。
キッチンで調理をする | |
洗濯が完了したので一旦調理の手をとめて脱衣洗面室へ向かう | |
洗濯物をまとめて、階段→2階のベランダへ移動して洗濯物を干す | |
2階から降りてくると来客があり、玄関で対応 | |
ふたたびキッチンに戻って調理を再開する |
この間取りは、キッチン→脱衣洗面室→階段→LD→キッチンとぐるりと一周できる回遊式で、家事をしている時の移動が少なくて済むようになっています。
家で過ごす時間が長い主婦にとって、家事動線は住み心地の良し悪しに直結します。主婦に限らず、家事をする人は積極的に家事をしやすい動線を考えてみましょう。
戦後に建てられた日本の住宅の大半は、寿命が30~40年程度と言われています。アメリカの住宅が約100年、ドイツの住宅が約80年も長持ちするのに比べると、日本の住宅は短命であることが分かります。
30~40年で寿命を迎える家は、ほとんど一世代限りの使い捨てになってしまいます。「それではもったいない!」と、2010年に国土交通省は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を施行し、世代を超えて住みつぐために耐震性、耐久性、省エネ性などの一定基準をクリアした「長期優良住宅」の普及を促進しています。
家の寿命が長くなればなるほど、そこに住む家族の構成や生活も変わっていきます。
子育て、子どもの独立、親の介護、老後の暮らし……とライフステージが変化するにつれて、住みやすい間取りも変化します。その時その時の生活に応じて、リフォームで間取りを変化させていきましょう。
一般的に、リフォームしやすい間取りのポイントは以下のようになります。
必要以上に間取りを細かく区切らず、ゆったりとした空間にする | |
水回りを1ヶ所に集中させて工事をしやすくする | |
構造的に取り外しが可能な間仕切り壁や建具などで空間を区切る |
このほかにも、将来的に家族が増えたり2世帯住宅にしたりする予定があるなら、設計段階から対応しやすい間取りを検討しておくと良いでしょう。先のことは分からないという場合でも、上記のポイントに注意しておけば先々まで安心です。
1つの建物に親世帯と子世帯が暮らす2世帯住宅は、親にとっては老後の安心や孫の成長を見守れる喜びがあり、子にとっては育児の協力が得やすいことや経済的なメリットもあります。お互いに家事や生活で助け合いをすることによって、親子のつながりや世代間のコミュニケーションをはぐくむこともできます。
そんな2世帯住宅も、1つ屋根の下で暮らす距離感ゆえに起こるプライバシーの問題などがありましたが、近年、2世帯住宅の間取りが多様化し、建物内で2戸の住宅が完全に分離している「完全独立タイプ」や、玄関やリビングなど住まいの一部分だけを共有する「部分共有タイプ」など、お互いのプライバシーに配慮したタイプが登場して人気を集めています。
親と子のどちらも遠慮や負担が少なく、2世帯住宅のメリットを得られるような間取りを探してみましょう。
2世帯住宅を建てる上での注意点や心構えなど、こちらで解説しています。
「大満足の2世帯住宅を建てたい!」(https://www.e-life.jp/column/nisetai/)
良い家の条件は人それぞれですから、ここで紹介した現在の間取りの傾向が、必ずしも全員に当てはまるとは限りません。
ですから、昔と今の間取りの考え方の違いを把握した上で「どんな家に住みたいか」を考え、それぞれの家族に合った間取りを検討してください。具体的な間取りが思いつかなくても、大まかなイメージがあれば設計の担当者に相談することができます。ぜひこの機会に家族で理想の家について話し合ってみましょう。
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