増築・改築の定義とは。建て替えとの違いは?
増築や改築は、どちらも既存の建物に手を加えるリフォームとして「増改築」と一括りにされることも多いですが、厳密には違いがあります。両者の定義や特徴、建て替えとのメリット・デメリットを比較して、自分の家に合ったものを選びましょう。
増築の定義と特徴
床面積を増やして住みやすくするリフォームを指す
「増築」は「建て増し」とも言い、既存の建物を残したまま床面積を増やすリフォームのことです。
たとえば、
・部屋を追加する
・ベランダやサンルームを新設する
・平屋を2階建てにする
・敷地内に、別棟として新たな建物を建てる
…など、同じ敷地内で床面積を広げる建築を行うと、それが増築となります。
改築の定義と特徴
床面積はそのままで、間取りを変更するリフォームを指す
「改築」とは、床面積を増やさず、既存の建物の一部または全部を壊して間取りを変更するリフォームのことです。
たとえば、
・2つの部屋を広い1部屋にする
・1つの部屋を2部屋に分ける
・水回りを移動する
・1階のLDKを2階に移動する
…などが改築に該当します。
なお、改築とよく似ている言葉に「改装」がありますが、改装は建物を壊すことなく、外観や内装を新しくすることを言います。
リフォームやリノベーションとの違いは?
両者は別物ではなく、リフォームの範囲に増築や改築も含まれる
増築や改築について調べていくと、「リフォーム」や「リノベーション」といった言葉をよく見聞きするようになります。どちらも住宅に手を加えて改修したり、新しく改装したりするイメージがありますが、実はリフォームもリノベーションも明確な定義というものはありません。
・リフォームとは
リフォーム(reform)は元々「改善」を意味する英語で、住宅のリフォームといえば一般的に「古くなった住宅に手を加えて、新築時の状態に回復させる工事」を指します。
リフォームの範囲は非常に広く、外壁の塗り替えや設備機器の交換などの「修繕・メンテナンス」もあれば、壁紙や床材の張り替えといった「改装」、床面積を増やす「増築」や間取りを変更する「改築」のように大がかりな工事もリフォームに含まれます。
・リノベーションとは
「修復」「刷新」を意味する英語のリノベーション(renovation)は、「住宅に大規模な修復工事をして、新たな機能や価値を付け加える」といった場合に使われる言葉です。ただ、前述のようにリフォームもリノベーションも明確な定義がないため、大規模なリフォーム工事をリノベーションと表現するなど、意味合いはまちまちです。
建て替えとの違いは?
建て替えは全部を一新。増築や改築はピンポイントで対処する
「建て替え」とは、「既存の建物の基礎部分も含めて全部解体して撤去し、更地に戻してから建物を新築する」ことです。
これに対して、増築は既存の建物を解体せず、改築も壁・柱・床・梁などは解体しますが、基礎部分まで手を加えることはありません。
また、建て替えでは一から新築するのに対して、増築や改築では今の家の気になる箇所をピンポイントでリフォームして対処します。
増築・改築?それとも建て替え?
メリットとデメリットを比較して判断するのがおすすめ
どんな家でも、築年数が経過するにつれて建物の老朽化や、そこに住む家族のライフスタイルの変化によって、住みづらさや不満を感じてしまいがち。
別の場所に住み替える選択肢もありますが、住み慣れた今の土地で家をアップデートしたい場合は、リフォームで増築や改築をするか、それとも建て替えかを検討することになります。
・増築や改築のメリット・デメリットは?
増築・改築のメリットは、なんといっても建て替えよりもコストが抑えられること。今の家の住みづらい部分や不満点をピンポイントでリフォームするので予算内におさめやすく、工事の期間も短くなります。また工事の規模によりますが、住みながらの工事も可能です。
デメリットとしては、間取りを大きく変えられないなど一定の制限が生じることが挙げられます。さらに建物が著しく劣化している場合や、耐震性が低い場合などは追加の修繕や補強費用が発生する可能性もあります。
・建て替えのメリット・デメリットは?
建て替えでは家を一から建て直すため、好みの間取りを取り入れやすいのがメリット。建物の耐震性や省エネ性が高く、設備機器も新しく便利になるなど、快適で安心な暮らしを実現できます。
一方、デメリットは、増築・改築よりも工事の期間が長くなることや、解体撤去費や建築費など費用の負担も大きいことなどがあります。工事中は別の場所に仮住まいをするので、往復2回の引越しの手間もかかります。
【増築・改築と建て替えのメリット・デメリット比較】
メリット | デメリット | |
---|---|---|
増築 改築 |
・建て替えよりコストを抑えられる ・今の家の面影を残せる ・住みながらの工事も可能 |
・間取りの変更に制約がある ・追加費用が発生する可能性も |
建て替え | ・好みの間取りを反映させやすい ・建物や設備が新しくなって快適 ・最新の耐震性・省エネ性が得られる |
・増改築よりコストが高くなる ・工事中は仮住まいが必要 |
・判断のポイントは?
「増築」「改築」「建て替え」のどれにするか迷ったときは、コストなどはもちろん、これから先の家族の暮らしや、家で暮らす年数などにも目を向けてみましょう。
近い将来、家族構成やライフスタイルに変化があると考えられる場合は、建て替えではなく増築や改築で現状の不満を解消する方法がおすすめ。また、子どもや孫の世代まで長く住み続けるなら、新しく建て替えたほうが住宅性能や設備などの面で安心できます。
まとめると…
家族が快適に暮らせる家に!増築・改築・建て替えの特徴を押さえよう
今住んでいる家の不満点を解消したり、中古住宅を購入して建物に手を加えたりするときの選択肢となる「増築」「改築」「建て替え」。それぞれに特徴があり、メリット・デメリットも変わってくるため、自分の家に合うものはどれか、どうすれば快適に暮らせるかを考えたいもの。今だけでなく、将来の暮らしのことも踏まえて、長期的な視点で比較、検討しましょう。
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