自宅の終活が気になったときに検討すること・終活のステップ・知っておきたい制度を紹介。今から考えたい「住まいの終活」

住まいの終活を始める前に

2024年12月2日 更新
自宅の相続や住み替えのイメージ

人生の最期を見据えたときの気がかりの一つが、今住んでいる「自宅」のことではないでしょうか。たとえ今は大丈夫でも、もしものときに相続をめぐるトラブルや空き家問題で身内の負担にならないよう、住まいの終活や相続について考えていきます。

住まいの終活が必要な理由とは

生前の準備や対策で、この先起こりうるトラブルを防止する

自宅の終活で相続の準備や対策をするイメージ

終活の中でも、自宅などの不動産に関することは生前の準備や対策が欠かせません。その理由は主に2つあります。

【理由1】相続時のトラブル防止のため

相続や、相続をめぐるトラブルのイメージ

人が亡くなると、その人が所有していた財産は、相続によって配偶者や子に引き継がれます。
このとき、財産を平等に分けられれば問題ないのですが、土地や建物などの不動産は物理的に分けるのが難しく、相続人の間で不公平感が生じやすくなります。日本では特に、相続財産のほとんどが自宅というケースが多いため、残された家をどのように分けるかで身内同士で対立してしまうことも少なくありません。
大切な家がトラブルの火種にならないよう、生前から対策を行いましょう。

【理由2】空き家のトラブル防止のため

空き家や、空き家のトラブルのイメージ

相続後に自宅に住む人がおらず、空き家になってしまう場合は注意が必要です。
近年、適切な管理が行われず放置された空き家が増加し、老朽化による家屋の倒壊、獣害、悪臭、景観の悪化を引き起こすなど、深刻な社会問題となっています。もしも自宅が放置空き家となって、市町村から「特定空家等」に指定されてしまうと、その所有者が指導や勧告、固定資産税の増額といったペナルティを受ける可能性もあります。
相続後の家が地域社会の迷惑にならないよう、生前から対策を行いましょう。

「相続」って一体どういうもの?

知らないまま放置は厳禁! 相続の仕組みとルールを押さえよう

相続のイメージ

そもそも「相続」とは、亡くなった人が所有していた財産を、残された家族などが引き継ぐことです。
法律用語では、亡くなった人を「被相続人」、被相続人の財産を引き継ぐ人を「相続人」といいます。相続の対象となる財産は、土地や建物といった不動産のほかに、現金や預貯金、株式などの有価証券、マイカーや貴金属などがあり、それらの財産の分配については民法でルールが定められています。ここでは、相続において大切な3つのルールを紹介します。

【ルール1】遺言書があれば基本的にそのとおりに分ける

遺言書のイメージ

相続の際、亡くなった人が生前に作成した遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容のとおりに財産を分配します。これを「遺言相続」といって、財産を残す人が、誰にどのような財産を分配するかといった意思を表示できる方法です。
遺言書がない場合は、民法の相続のルールにしたがって、相続人全員が話し合いで財産の分配を決める「法定相続」となります。

【ルール2】財産を相続できる人は法律で決まっている

民法では、財産を相続できる人の範囲を定めていて、これを「法定相続人」といいます。
法定相続人となるのは基本的に配偶者と一定の血縁者(子・父母・兄弟姉妹など)に限られ、事実婚(内縁)の配偶者や、離婚した元夫や元妻などは法定相続人に含まれません。

また、配偶者は常に相続人となりますが、それ以外は順位がつけられます。第1順位は亡くなった人の子や孫で、子や孫がいないときは第2順位の父母、子も孫も父母もいないときは第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。

【法定相続人のイメージ】

法定相続人のイメージ図

【ルール3】相続する財産の割合も法律で決まっている

遺言書がなく、相続人の話し合いで財産を分配する際に、財産の取り分で揉めることがないよう、民法では誰がどのくらい財産を相続するかといった割合を「法定相続分」として定めています。

相続する財産の割合は配偶者が最も多く、残りをその他の相続人が均等に分けます。なお、法定相続分はあくまでも目安ですので、必ずこの割合で分けなければならないということはありません。

【法定相続分のイメージ】

相続人(相続順位) 相続する割合
配偶者のみ 配偶者 配偶者:全部
配偶者と子
(第1順位)
配偶者 配偶者:1/2 長男 長女 次男 子:1/2を人数で分ける
配偶者と父母
(第2順位)
配偶者 配偶者:2/3 父 母 父母:1/3を人数で分ける
配偶者と兄弟姉妹
(第3順位)
配偶者 配偶者:3/4 兄 妹 兄弟姉妹:1/4を人数で分ける

遺言書は有効な相続対策の一つ

遺言書がないとトラブルの発生リスクも増える

遺言書を作成するイメージ

上で説明したとおり、相続において遺言書は重要なもので、遺言書の有無によって相続の進め方は大きく変わってきます。

遺言書があれば、財産を残す人の意思が伝わるためスムーズに相続が進みやすいのですが、遺言書がないと、相続人が財産の分配について話し合うといった負担が生じます。また、相続財産の多くを自宅などの不動産が占める場合は、平等に分けづらいことから身内同士の争いに発展するリスクも増えてしまいます。
円満な相続を目指すためには、生前から遺言書を作成するなどの対策が欠かせません。

まとめると…まとめると…

家にまつわる不安や悩みを解消。これからの安心を手に入れよう

自宅で暮らすイメージ

「人生100年時代」といっても、人の死はいつ訪れるか分かりません。
もしものときに自宅をどうするか考え、生前から準備を進めておかないと、相続時のトラブルや空き家問題につながるおそれもあります。
相続後の家にまつわる不安をなくし、安心して老後を過ごせるように、「住まいの終活」を始めましょう。

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最終更新日 2024年12月02日