「風通し」のよい家をつくる
気分をスッキリしたいときに私たちが深呼吸をするように、家にも空気の入れ替えが必要。ずっと室内を締め切ったままだと、空気がよどみ、湿気やにおいがたまる一方です。風通しのよい通風プランを立てて、気持ちよい風を取り込みましょう。
風通しのよい家のメリットは?
アレルギーなどの疾患を防ぎ、建物も長持ちする
窓を開けると、自然の風が家の中を吹き抜ける。そんな風通しのよい家では、常に新鮮な空気に包まれて、気持ちよく過ごすことができます。
家の風通しが悪いと、汚れた空気が室内にたまり、湿気によるカビ、ダニなどを発生させる要因に。シックハウス症候群、ぜんそくやアレルギー性鼻炎といった健康被害のリスクも高まります。
また、ひどい湿気が基礎や土台の腐食を招き、建物の劣化が進んでしまうおそれもあります。
2003年以降の住宅には24時間換気システムの設置が義務付けられ、強制的に室内の換気が行われるようになりましたが、窓から流れる自然の風は快適そのもの。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み、室内もカラッとさせましょう。
地域の風向きと立地の特徴を知る
理想の風を取り込むための判断材料に
日本列島では、春から秋にかけて南寄りの風が吹き、冬になると北寄りの風が吹くのが基本。
とはいえ風向きは地域差が大きく、近くにある山・川・海などの地形や、季節や時間帯が複雑に絡み合って、「卓越風」と呼ばれる地域独自の風向きになります。
ほかにも、密集地で風が通りにくい立地や、周囲に高層ビルが立ち並び、ビルにぶつかった風が乱流となって強風が吹きつける立地などもあります。
風通しのよい家をつくるには、このような風向きの地域色や立地を踏まえ、理想的な風が吹いてくる方向を考慮して間取りや窓の配置を決めていく必要があります。
風通しのよい間取りと窓の配置のポイント
間取りや窓の配置の工夫で、家の中の風通しが変わる!
近年の住宅は高気密化が進み、汚れた空気や湿気、においなどがたまりやすくなっています。
そこで、意識的に風通しのよい間取りや窓の配置を工夫して、自然の風を家の中に取り込むことが大切です。
風通しのポイント①「部屋の対面に窓を配置する」
窓の位置を決めるときは、部屋の2面以上に窓を配置すると、一方の窓から入ってきた風がもう一方の窓から抜けて、風の通り道が生まれます。特に、南北に一直線になる配置であれば、風が効率よく南から北へ抜けてスムーズに通気と換気を行えます。
間取りの都合上、1面しか窓を配置できない場合は、出入り口のドアを開けて空気の流れをつくりましょう。このときに扇風機を窓の外に向けて使用すると、汚れた空気が外部へ排出されやすくなります。
風通しのポイント②「高低差をつけて窓を配置する」
空気が暖まると軽くなって上昇する性質を利用して、室内の高い位置と低い位置にそれぞれ窓を配置します。そうすると、高い窓から暖まった空気が抜け、低い窓から冷たい空気が入る風の通り道が生まれます。
1つの部屋の中で高窓と地窓を組み合わせたり、吹抜けの天窓を利用して家全体に風を行きわたらせたりして、効率のよい通風を実現しましょう。
風通しのポイント③「いつでも窓を開けられるように」
大きな道路や隣家のベランダに窓が面しており、人目が気になって窓が開けられない…というケースも。
どんなに風通しのよい理想的な位置に窓を配置しても、これでは意味がありません。
窓の配置を決めるときは、風通しや日当たりのよさはもちろんですが、必要なときにいつでも窓を開けられるよう、外から見えにくい位置にしたり、植栽やフェンスなどで目隠しをしたりする工夫をしましょう。
風通しのよい窓・ドアを選ぶには
風を取り込むために採用したい窓やドアとは?
窓やドアのタイプによっては、家の中に風が抜けるのをサポートしてくれるものもあります。
デザインはもちろん、風通しに役立つ機能にも注目して、窓やドアを選んではいかがでしょうか。
・「縦すべり出し窓」を採用する
日本の住宅に多いのは左右にスライドする「引き違い窓」ですが、「縦すべり出し窓」は縦方向を回転軸にして窓が外側に開きます。
せり出した窓が壁に沿って吹く風を受け止めて、室内へ入れる効果が期待できます。
・「横すべり出し窓」を採用する
横方向を回転軸にして外側に開く窓が「横すべり出し窓」。浴室やトイレのような水まわりに多く採用されています。
横すべり出し窓は、窓がひさしのようにせり出すため、少しくらい雨が降っても室内に吹き込むことなく通気や換気が行えます。
・開閉式の「高窓」や「天窓」を採用する
壁の高い位置に設けた窓を「高窓」、天井に設けた窓を「天窓」といいます。いずれも高さがあるため、開閉できないFIX窓(はめ殺し窓)を採用することも多いのですが、手動や電動式の開閉装置を使って開け閉めをするタイプを選ぶと、通風や換気にも有効です。
・「室内窓」を採用する
建物の奥行きが深いと、室内の壁や建具が風の流れを邪魔して、通風の悪い家になりがち。そこで部屋と部屋、あるいは部屋と廊下を区切る壁にも開閉できる窓(室内窓)を風の通り道に設けることで、スムーズに風が抜けるようになります。
・「引き戸」を採用する
通気や換気のために室内のドアを開けたときに、開き戸だと強い風が吹き込むと勢いよくドアが閉まってガラスが割れたり、蝶番の隙間に指を挟んだりするリスクも。風の通り道にあたる室内ドアは開き戸よりも、安心して開けっ放しにしておける引き戸がおすすめです。
まとめると…
風を取り入れて住まいを快適に。意識したいのは「風の通り道」!
家づくりを検討する際、日当たりは重視しても風通しのことはついつい後回し…という人も多いのでは。風や空気の流れは目に見えませんが、気持ちよい風が抜ける家は住み心地が抜群です。ぜひとも「風の通り道」を意識して、間取りや窓の配置を考えてみてくださいね。
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最終更新日 2024年10月30日
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