侵入犯罪を防ぐ! 一戸建ての対策について
一戸建てはマンションなどの共同住宅よりも低層で、侵入と逃走が容易なことから、空き巣などの侵入者にねらわれやすいとされています。ここでは「侵入者が嫌うこと」や、侵入経路になりがちな「場所」ごとに、一戸建ての防犯手段を考えていきます。
侵入者は「目立つこと」を嫌う!
監視の目・明るさ・大きな音で侵入者を撃退する
侵入者にとって、自分の姿や犯行現場を誰かに見られることは最大のリスクです。そのため、周囲の目が多く集まる場所や明るい場所、大きな音がなる状況などをできるだけ避けようとします。
そこで…
基本の対策1:「監視の目」をアピールする
玄関などは周囲からの見通しをよくして、人目につかない死角をなくす。防犯カメラやカメラ・録画機能付きインターホンを設置して、監視性の高さを侵入者に知らせることも有効。
基本の対策2:「明るさ」をアピールする
夜間であっても明るい場所は人目につきやすく、侵入者が避けることが多いため、玄関灯をつけたり、人が通るとパッと点灯するセンサーライトで玄関や外まわりを明るくする。
基本の対策3:「大きな音」でアピールする
侵入経路になりやすい窓に防犯ブザーを設置して、振動を感知すると警告音を発するようにする。また、庭や通路、窓の下などに防犯砂利を敷くと、踏むたびにジャリジャリと音が鳴って目立ちやすい。
このような防犯対策と併せて、目立つ位置に「防犯装置作動中」などの防犯ステッカーを貼ることで、遠目からでも防犯意識の高い家=侵入しにくい家とアピールできます。
侵入者は「時間がかかること」を嫌う!
侵入しにくいと判断すれば、あきらめるのも早い
住居などの侵入に手間取ると、侵入者の7割が5分以内にあきらめるというデータがあります(「住まいる防犯110番」より)。
侵入が長引くほど誰かに見られるリスクも高くなるので、侵入者はあえて時間と手間をかけてまで、侵入しにくい家に入ろうとはしません。
そこで…
基本の対策4:侵入の時間を「長引かせる」
1つだけの錠なら簡単に破壊できても、窓やドアに錠が2つ以上付いていると破壊する時間と手間も増える。
このほか、ピッキングに強い錠や防犯ガラス、外部から外されにくいサッシや雨戸といった防犯性能の高い「CPマーク」のついた建物部品(※)や、防犯フィルムなども侵入を長引かせるのに役立つ。
- ※CPマークとは
- 高い防犯性能があると認められた錠・ドア・防犯ガラス・サッシ・雨戸・シャッター・面格子などの建物部品に使用されるマークです。
CPマークがついた建物部品は、工具などを使った破壊行為に5分以上耐えることが試験によって確認されており、住まいの防犯力アップの効果が期待できます。
このような基本の対策を押さえた上で、侵入経路になりやすい外まわり、窓、玄関や勝手口、ベランダといった場所ごとに侵入対策を見ていきましょう!
家の外まわりの侵入対策は?
周囲からの見通しをよくして出入りを防ぐ
家の門扉、塀や植栽、駐車スペースなどの外まわりは、家の敷地内でありながら外部とつながる部分。きちんと対策をしないと、侵入者にねらわれやすくなります。防犯カメラやセンサーライトを設置して死角をなくし、夜間も明るくしましょう。
外まわりの防犯性能はここをチェック!
- ・塀や植栽は、周囲からの見通しがよいか?
- ・外部から簡単に敷地に入れる造りになっていないか?
- ・庭や敷地内の通路などに死角はないか?
- ・駐車スペースからの侵入を防ぐシャッターなどはあるか?
見通しの悪い塀や植栽は避ける
高い塀や植栽は防犯によいと思われがちですが、敷地内に入ってしまえば外部からの死角となり、侵入者が身を潜めやすいため、むしろ逆効果です。
塀は簡単に乗り越えられない程度の高さで、適度に隙間があるフェンスや柵、半透明のパネルなどを採用して見通しをよくしましょう。植栽や庭木も定期的に剪定して、死角をつくらないことも大切です。
敷地内に簡単に出入りできないようにする
門扉や塀のないオープンな外構や、玄関のインターホンを鳴らすために敷地内に入らなければならない構造は、侵入も容易です。
対策として、敷地と道路の境界には門扉などを設置し、インターホンは玄関ではなく門柱にカメラ・録画機能付きのものを取り付けて、勝手に出入りできないようにしましょう。
錠がない門扉や、錠があっても外部から簡単に開閉できるかんぬきやレバー式の門扉であれば、錠を後付けするのも一考です。
死角にはカメラ・センサー・防犯砂利を
周囲の目が届きにくい通路などの死角には防犯カメラやセンサーライトを設置します。コスト面や近隣のプライバシーへの配慮から防犯カメラを付けづらい場合は、カメラよりも設置のハードルが低いセンサーライトを検討しましょう。
踏むと音が鳴る防犯砂利も、侵入対策に有効です。庭や通路、建物への侵入経路になりやすい窓の下などに敷き詰めましょう。
駐車スペースからの出入りを防ぐ
門扉や塀の侵入対策は万全でも、駐車スペースは侵入を遮るものがなく無防備な状態という家も少なくありません。
駐車スペースが誰でも出入りできる状態だと、空き巣や、近年多発する車の盗難などのリスクも高まります。シャッターやゲートで物理的に侵入を妨げるほかに、センサーライトで侵入者を寄せ付けないようにしましょう。
窓の侵入対策は?
補助錠や防犯ガラスで窓の防犯力を高める
侵入者は一戸建ての窓から侵入するケースが半数以上。被害を防ぐために、外出の際に戸締りを徹底するのはもちろん、補助錠や防犯ガラスなどで窓そのものの防犯力を上げる対策も効果があります。
窓の防犯性能はここをチェック!
- ・1つの窓に2つ以上の錠が付いているか?
- ・防犯ガラスや防犯フィルムで対策をしているか?
- ・浴室などの小窓に面格子を取り付けているか?
- ・庭木などで見通しの悪い窓はないか?
窓は主錠+補助錠の「ツーロック」が基本!
錠が1つだけの窓よりも、主錠+補助錠付きのツーロックの窓を破るほうが時間と手間がかかるため、侵入者があきらめる可能性が高くなります。
最近はツーロック仕様の窓も増えていますが、もしも錠が1つだけなら補助錠を設置しましょう。補助錠はテープで貼り付けるタイプや、サッシ枠にはめ込むタイプなどがあり、手軽に取り付けられるものも多いです。窓の目立つ場所に補助錠があると、防犯意識が高い家というアピールにもなります。
ガラス破りを防ぐ防犯ガラスや防犯フィルム
窓ガラスを破壊して開錠する侵入手口を「ガラス破り」といいます。
一般的な窓ガラス(フロートガラス)は衝撃に弱く、バールなどで数回叩くだけで簡単に割れてしまうため、窓の防犯対策を行いましょう。
防犯ガラスは、2枚のガラスの中間に特殊な膜を挟み込むことで、防犯性能を高めたガラスです。外部からの衝撃に強く割れにくく、派手な音が出るのでガラス破り対策に役立ちます。
このほか、防犯ガラスより比較的安価な対策として、窓ガラスに防犯フィルムを貼る方法も。こちらも窓ガラスが割れにくくなるので、ガラス破りの抑止効果が期待できます。
小窓には面格子を
浴室やトイレの小窓などは、換気のためについつい開けっ放しにしがち。けれども、小さな窓でもガラス破りなどのターゲットになるおそれがあるため油断は禁物です。
外出するときは小窓もしっかり施錠するとともに、空き巣などの侵入経路とならないよう、面格子でガードしましょう。外部から外しにくく切断されにくい、丈夫な面格子を選ぶのがポイントです。
窓周辺の見通しを確保する
人目につかない窓ほど侵入者にねらわれるので、庭木や植栽で見えにくい窓や、物置の陰などにある窓は特に注意が必要です。
庭木や植栽で見通しが悪くならないように剪定をこまめに行い、視界を遮るものは移動するか、撤去も検討しましょう。併せて、窓に防犯ブザーを取り付ける、センサーライトや防犯砂利で対策するなどして、窓周辺の防犯力を高めましょう。
玄関・勝手口の侵入対策は?
監視の目とワンドア・ツーロックで侵入しにくい玄関に
一戸建ての場合、窓に次いで侵入経路になりやすいのが玄関(表出入口)などの出入り口。
周囲の人目や、防犯カメラなどで監視性を高め、防犯性能の高い錠やドアを採用して、侵入者から家を守りましょう。
玄関・勝手口の防犯性能はここをチェック!
- ・ドアに2つ以上の錠が付いているか?
- ・防犯性能の高い錠やドアか?
- ・見通しはいいか? 夜間も明るいか?
- ・訪問者を室内から確認できる防犯カメラなどはあるか?
錠が2つ以上ある「ワンドア・ツーロック」
侵入者はできるだけ短時間で侵入を済ませようとするため、錠が2つ以上あるドアはリスクが高いと判断して、避ける傾向があります。
ドアに錠が1つしかない場合は、補助錠を取り付けてワンドア・ツーロックにしましょう。暗証番号を入力するタイプや、スマホで開閉するタイプの錠なら、物理的なカギが増えることがないので「カギが多いのは面倒」という人も安心です。
古い錠やドアの防犯性能は大丈夫?
錠をはじめとする建物部品の防犯性能は年々進化しており、近年はピッキングやカギ穴壊し、ドア錠破りといった攻撃に強い錠やドアなどが一般的になっています。
だからこそ、古いディスシリンダー錠(カギ穴が縦で「くの字」になっていて、ピッキングに弱い)がある家などは侵入者から「防犯意識が低い」と判断されがちです。
日本ロック工業会のガイドラインによると、錠の耐用年数は10年(電気錠7年)です。もしも錠を長年取り換えていないという人は、この機会に防犯性能の高い錠への交換を検討しましょう。
外部から見えやすく、夜間でも明るく!
玄関の見通しがよいと、侵入者は人目につくことを恐れてあきらめる可能性が高くなります。
外部から玄関が見えやすいか、庭木などに邪魔されていないかをチェックしましょう。
また、夜間の暗い玄関は侵入者のターゲットになりやすいので、玄関灯やセンサーライトを導入して、明るさを確保します。
防犯カメラで訪問者を確認
玄関に防犯カメラを設置するか、カメラ・録画機能付きインターホンで訪問者の出入りを確認することも大切です。
最近では宅配業者を装って家に押し入る強盗もいるので、インターホンが鳴ったら、必ずモニターで確認してから玄関を開けるようにしましょう。
防犯カメラやカメラ・録画機能付きインターホンで監視されていると分かれば、侵入者も近寄りにくくなります。
ベランダの侵入対策は?
油断しがちな2階ベランダも、防犯を忘れずに
侵入者が2階のベランダから窓を破壊して侵入する手口も後を絶ちません。ベランダに面した窓の防犯対策に加えて、侵入者をベランダに立ち入らせない対策も行いましょう。
ベランダの防犯性能はここをチェック!
- ・手すりやフェンスの見通しはよいか?
- ・ベランダへの侵入の足場になるものはないか?
見通しのよい手すりやフェンスを採用する
プライバシーの観点から、ベランダの手すりやフェンスは目隠し性能の高いものを選びがち。けれども、ベランダの見通しが悪いと人目につきにくく、侵入者の隠れ場所になってしまいます。
一定のプライバシーを守りつつ、防犯にも効果を発揮するよう、ベランダの手すりやフェンスは外部から適度に見えやすい格子やルーバー、半透明のパネルなどを採用するとよいでしょう。
侵入の足場になるものは配置しない
侵入者が2階のベランダに上がるには、庭木、エアコンの室外機、脚立、物置やカーポートの屋根など、侵入の足場になるものが必要です。
このような足がかりになるものはベランダ付近に配置せず、動かせるものは移動させましょう。敷地などの都合で移動が難しい場合は、センサーライトや防犯砂利などで対策を行います。
まとめると…
防犯対策は2つ以上を組み合わせよう。きちんと家を管理することも効果的
住まいの防犯対策は1つだけではなく、複数を組み合わせることで効果が高まります。
また、外部から見えやすい玄関をこまめに掃除したり、花壇に草花を植えて通行人の目を楽しませることも、「いつもきちんと管理をしている家」「人目につきやすい家」というアピールになり、住まいの防犯力アップにつながりますので、ぜひお試しください。
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最終更新日 2024年10月30日
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