「省エネエアコン」で心地よい空調
省エネルギーで快適な暮らしに欠かせないといわれるのが省エネ家電。特にエネルギー効率にすぐれたエアコンは高断熱・高気密の住まいと相性がよく、省エネ住宅に欠かせない空調設備となっています。ここでは省エネに役立つエアコンの選び方や使い方のコツを説明します。
省エネエアコンの選び方
高い省エネ性能を発揮する製品選びのポイントは?
部屋全体の室温を調整するエアコンは、高断熱・高気密の省エネ住宅との相性が抜群。最新の製品は省エネ性能もアップしており、10年前の製品と比べて消費電力量が約6%低減しています(※)。
省エネ性能がすぐれたエアコンを選ぶために、カタログや店頭などでチェックしたい指標は次のとおりです。
※2011年の平均値と2021年の平均値の比較。出典:資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」(2011年版、2021年版)
・APF(通年エネルギー消費効率)
1年間で必要となる冷暖房能力を期間消費電力量(1年間の消費電力量)で割った数値で、エアコンの省エネ性能を効率で表しています。APFの数値が大きいほど、省エネ性能が高いと判断できます。
エアコンの省エネ性能効率をはかる指標としては、ほかにもCOP(冷暖房平均エネルギー消費効率)がありますが、APFのほうが年間の気温の変化に対応した条件下で算出されるため、より実使用に近い評価となります。
・期間消費電力量/1年間の目安電気料金
1年間エアコンを使用した場合の消費電力量を「期間消費電力量」といい、東京の外気温をモデルに、冷房時:27℃/暖房時:20℃の設定で1日18時間使用する条件で算出されます。
また、「1年間の目安電気料金」は期間消費電力量1kWhあたり27円(全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価)として算出された電気料金の目安です。
・省エネ基準達成率
省エネラベリング制度で定められている省エネ目標基準の達成率を表したものです。エアコン本体の形態、冷房能力、寸法が同じ場合、この数値が大きいほど省エネ性能が高いと判断できます。
部屋の広さや能力の目安もチェック
広さや能力が見合っていないとエネルギーの無駄遣いに
どんなに省エネ性能にすぐれたエアコンであっても、設置する部屋の広さとエアコンの能力が見合っていなければ、冷暖房の効率が低減したり、エアコンに負荷がかかって故障の原因となったりします。エアコンを選ぶときは、省エネ性能や価格だけを比較するのではなく、広さや能力の目安も確かめましょう。
エアコンの広さの目安と能力例
広さの目安 | 能力(kW) | 低温暖房能力(kW) | |
---|---|---|---|
冷房 | 8畳 ~ 12畳 | 2.8(0.4~4.5) | - |
暖房 | 8畳 ~ 10畳 | 3.6(0.3~7.1) | 5.4 |
・広さの目安
カタログや店頭には、そのエアコンの冷房能力に応じた部屋の広さの目安が表示されています。「8畳~12畳」のように広さに幅がある場合、最小畳数は「木造南向き和室」、最大畳数は「鉄筋アパート南向き洋室」の目安となります。同じ広さの部屋であっても、住んでいる地域や建物の構造、部屋の向きなどにより冷暖房の効果が変わってくるため、最適な冷房能力を知りたい場合は販売店のスタッフに相談してください。
・空調能力
エアコンの能力は、2.8kW・3.6kW・4.0kWなどの段階で区別されています。能力2.8kWの表示と並んで(0.4~4.5)と表示されている数値は、エアコンの出力の最小値と最大値です。最小値が小さいほど細かな温度調整が可能となり、最大値が大きいほどハイパワーで素早く冷暖房の効果が得られます。
さらに、寒冷地なら「低温暖房能力」も確かめておく必要があります。低温暖房能力は、外気温2℃/室温20℃の場合の暖房能力で、この数値が大きいほど、外気温が低くても高い暖房能力を発揮します。
省エネ効果アップの使い方のコツ
省エネ性能にすぐれたエアコンを、さらに効率よく使用する
家庭の省エネを進めるために、毎日のエアコンの使い方も見直してはいかがでしょうか。ちょっとした工夫や習慣を心がければ、省エネ効果がさらに高まります。
・必要なときだけ運転する
就寝中や不在時など、エアコンを必要としないときは電源をオフにして、必要なときだけ運転するのが基本。タイマー機能を活用したり、スマホのリモコンアプリで外出先からオン・オフの操作をしたりして効率よく使用しましょう。
・室内の空気を循環させて快適に
冷たい空気は下へ移動し、暖かい空気は上へ移動する性質があるため、冷房時はエアコンの風向きを水平にして、暖房時は風向きを下向きに調整すると、快適な温度が部屋中に広がります。シーリングファンやサーキュレーターを併用して空気を循環させるのも効果的です。
・カーテンなどで熱の出入りを防ぐ
窓は熱の出入りが大きいので、夏の日中はカーテンをしめるか、すだれやシェードなどを設置して日射熱を防ぎましょう。冬の夜には、床まで届く厚手のカーテンをしめると暖かい空気の流出防止に役立ちます。
ちょこっとメモ!
エアコン掃除も省エネに効果的。月1~2回のお手入れを習慣に
エアコン本体のフィルターの目詰まりは、冷暖房の効果を弱める原因となります。できれば月1~2回、フィルターにたまったホコリやゴミを掃除機などで吸い出してきれいにしましょう。また、屋外にある室外機の汚れも冷暖房の効果を左右します。特に室外機の裏側にある熱交換機(フィン)にホコリやゴミが付着していると、排熱がうまくいかずに必要以上のエネルギーを消費してしまうため、夏や冬が始まる前に汚れを取り除くようにします。
エアコン以外のおすすめの器具は?
省エネ住宅と相性のよい器具を選んで気持ちよく過ごす
エアコン以外にも、省エネ住宅におすすめの冷暖房器具は次のようなものがあります。住んでいる地域や建物の構造、部屋の向き、予算などを考慮しつつ選んでみましょう。
・扇風機
風を起こして涼をとるための冷房器具ですが、首振り機能で室内の広い範囲に風が届くので、サーキュレーターのようにエアコンの冷気や暖気を循環させる器具として一年中活躍します。
・全館空調システム
壁や天井内部にある空調機から、ダクトを通して家全体(全館)に冷気や暖気を届けるシステムです。全館空調システムを導入すると、廊下やトイレ、脱衣洗面所など家のすみずみまで快適な温度に調整されるのでヒートショックのリスクが低減したり、各部屋にエアコンを設置する必要がないため室内がスッキリするといったメリットがあります。
・床暖房システム
電気ヒーターや温水で床を暖める暖房器具。床から暖気が上昇して室内をぽかぽかにすることから、足元の冷えを感じにくく、室内が均一に温まります。エアコンやヒーターのような送風をともなわないため、室内の空気が乾燥しにくいのも特徴です。
まとめると…
省エネ住宅+高効率器具で毎日が快適!家族の健康に配慮した暮らしが叶う
夏は涼しく、冬は暖かい室内空間は、気持ちがよいのはもちろん、ヒートショックや熱中症の防止になるなど健康面のメリットも期待できます。高断熱・高気密の省エネ住宅に合った冷暖房器具を選んで、快適な暮らしを実現してください。
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