平屋のメリット・デメリット
平屋は、シンプルな生活動線で暮らしやすさを追求できる一方で、土地面積や建築費用がネックになることもあります。平屋を検討する際は、平屋のメリットはもちろん、デメリットにも目を向けて、2階建てなどの暮らしと比較してみましょう。
「平屋」の特徴とは?
ワンフロアで暮らせる「1階建ての家」
かつてはシニア世代が老後を見据えて住み替えや建て替えをするときに平屋を選ぶイメージがありましたが、近年はスタイリッシュなデザインや間取りにこだわった建物も多く、若い世代からの人気が高まっています。
平屋は階段がなく、暮らしに必要なすべての空間がワンフロアに集約されているのが最大の特徴。2階建ての住宅と比較すると、次のようなメリットやデメリットがあります。
【メリット】シンプル動線で暮らしが快適!
ワンフロアだから移動がスムーズで家族との距離が近い
平屋の魅力は、なんといってもワンフロアならではの暮らしやすさ。家の中の移動が楽で、家事効率も高まります。
メリット1家事がしやすいシンプルな生活動線
平屋は上下階の移動がないため生活動線がシンプルで、暮らしやすいメリットがあります。
毎日の家事も、洗濯物を干すために1階の洗濯機と2階のベランダの間を行き来するのは大変ですが、平屋ならワンフロアを水平移動するだけなので効率的で、洗濯時間の大幅な短縮につながります。また、リビングの近くに水まわりを集中させる間取りを採用すると、室内を移動しながらちょっとした片付けや掃除を済ませる「ながら家事」の効率もアップ。
メリット2ずっと安心して暮らせるバリアフリー
年齢とともに階段の上り下りが体力的に難しくなり、2階建ての家でも1階部分だけで過ごすお年寄りは少なくないようです。階段のない平屋はバリアフリーを実現しやすいため、長く暮らせるのがポイント。階段での転倒・転落事故のリスクもありません。
お年寄りはもちろん、小さな子どもにも優しい家といえるでしょう。
メリット3家族とコミュニケーションをとりやすい
家族全員がワンフロアで生活する平屋では、自然と親子が顔を合わせる機会が増えて、会話などのコミュニケーションをとりやすくなります。小さな子どもがいる家庭なら、家事をしながら子どものようすを見守れるのは大きなメリット。子どもが自室で過ごしているときも、なんとなくお互いの気配を感じられる距離感が安心につながります。
メリット4構造が安定しており、地震や風に強い
日本は地震や台風の多い国だけに、建物の耐震性や強度が気になるところ。2階建て以上の建物は上階の重さを下階が支えていますが、平屋は2階部分を支える必要がないため、その分の重さがかかりません。構造的に安定することで地震の揺れに強く、風の影響も受けにくいのが特徴です。
メリット5空間を広く使えて間取りの自由度が高い
『メリット4』で説明したように、2階部分の重さがかからない平屋では構造的に柱や壁の制約が少なく、階段のスペースも不要なので、空間を広々と使えて間取りの自由度も高いメリットがあります。
さらに、開口部の大きさや、天井の高さや勾配なども比較的自由に決められるため、開放感のある空間を演出しやすいでしょう。
メリット6メンテナンスが容易で、費用も安く済む
どんな家でも、年月とともに少しずつ劣化していくもの。長く住むためには定期的な点検とメンテナンスが欠かせませんが、平屋は隅々まで目が行き届くので傷みや不具合を早期発見しやすく、メンテナンスも比較的簡単に行えます。
また、一般的に新築から10年くらいで行われる外壁や屋根の再塗装などは足場を組む必要があります。平屋の場合、2階建ての住宅よりも足場の設置・解体費用が少ないため、トータルでメンテナンス費用の節約につながります。
【デメリット】土地の広さや建築費用に注意
土地にゆとりがないと、思いどおりの家が建てられないことも
メリットばかり語られがちの平屋ですが、次のようなデメリットもあります。
デメリット12階建てよりも広い土地が必要
平屋で2階建てと同じ床面積の家を建てるには、2階建てよりも広い土地が必要になります。近隣の住宅の高さや密集の度合い、立地環境などを考慮した上で、なるべくゆとりある土地を選びましょう。
デメリット2建築費用が高くなりがち
『デメリット1』で説明したように、平屋を建てるにはゆとりある広さの土地が必要となる上、同じ床面積の2階建てより基礎や屋根の面積も広くなるため、建築費用が高くなりがちです。
また、家屋の所有者が毎年支払う固定資産税についても、建物の立地や規模によりますが、同じ床面積の2階建てよりやや高くなる傾向にあります。
デメリット3プライバシーや防犯面が気になる
平屋は環境の影響を受けやすく、密集した住宅地や人通りの多い道路に面した立地の場合、近隣の住宅や道路からの視線が気になることも。窓の位置を工夫したり、目隠しフェンスを設置したりしてプライバシーを守りましょう。
また、開口部が多い間取りは空き巣などに狙われやすいため、防犯対策も必須です。
デメリット4採光や通風の工夫が必要
空間のすべてがワンフロアにまとまった平屋では、家の中心に自然光が入りにくくなることがあります。また、2階建てのように上下の風の流れを取り入れることが難しいため、室内に風が通りにくいケースも見られます。せっかくの新居が、暗くジメジメした家にならないように、天井を高くとって天窓や高窓を設置したり、中庭のある間取りを採用したりするなど、採光と通風を確保する工夫が必要です。
また、南側に大きな建物があると、建物の影がかかって日照が妨げられることもあるので、事前に周辺環境をチェックしておきましょう。
デメリット5垂直避難ができない
平屋は地震や風には強いものの、大雨による洪水や高潮などの水害が発生した場合、建物が浸水しても垂直避難(建物内の2階以上に避難すること)することができません。なるべく浸水リスクの少ない土地を選ぶことはもちろん、もしもの水害時は早めに非難することが大切です。
平屋のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
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まとめると…
平屋の良し悪しを知って家づくりに活かす。
大事なのは「家族のライフスタイル」!
平屋に限らず、どんなスタイルの住宅であってもメリットとデメリットが存在します。住み始めてから「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、平屋のメリットとデメリットをきちんと理解した上で、平屋での暮らしが家族のライフスタイルに合っているかどうかを考えることが大切です。
なお、平屋のデメリットをなるべく抑えて暮らしやすくする工夫について、次のページで詳しく紹介していますので参考になさってください。
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最終更新日 2024年10月30日
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