2017年11月2日 更新
マイホームの保険といえば火災保険や地震保険が知られていますが、もしも住宅に欠陥が見つかった時に、保証をしてもらえる「中古住宅の瑕疵(かし)保険」や「リフォーム瑕疵保険」という保険制度をご存知ですか?
これらの保険は買主(マイホーム購入者)が加入する保険ではないのですが、マイホームの安心のために知っておいて損はありません。
「瑕疵(かし)」とは「欠陥・欠点」を意味する法律上の用語で、本来あるはずの性能や品質が得られない状態のこと。
住宅における瑕疵とは、柱や壁の強度が不十分で法律で定められた耐震性能が満たされない場合や、雨漏りや水漏れなど、居住者の暮らしや安全に支障が出るトラブルと考えると分かりやすいでしょう。
住宅の欠陥は、パッと見ただけですぐに分かるものもありますが、中には雨漏りや水漏れのように、入居後しばらくしてから気付くケースもみられます。
新築住宅ですと、引き渡し後10年以内に住宅に欠陥が見つかった場合に、売主が補修や損害賠償などの責任を負う「瑕疵(かし)担保責任」という制度があります。中古住宅も売主が不動産会社の場合に限り、2年間の瑕疵担保責任が義務づけられていますが、売主が個人の場合は特に義務はなく、2~3ヶ月程度の期間を定めて責任を負うケースや、そもそも売主が責任を負わないという契約が多くなっています。
そこで、中古住宅を購入者や、中古住宅を買ってリフォームをする人の負担を軽減するために、住宅の欠陥に対する任意の保険が用意されています。
中古住宅の瑕疵保険を簡単に説明すると、買主の安心のために、住宅の「検査」と「保証」を行う保険です。
中古住宅の瑕疵保険には2つのタイプがあり、売主が不動産会社(宅建業者)なら「宅建業者販売タイプ」、宅建業者以外の個人なら「個人間売買タイプ」となります。
- 中古住宅の瑕疵保険には2つのタイプがある
・売主が不動産会社(宅建業者)→「宅建業者販売タイプ」 …不動産会社(宅建業者)が保険に加入します。
・売主が個人→「個人売買タイプ」 …売主から検査と保証の依頼を受けた検査機関が保険に加入します。買主が直接、検査機関に検査と保証の依頼をすることもできます。
保険の申し込みをすると、検査会社または保険法人による住宅検査が行われ、合格した場合に保険に加入します。もしも欠陥があれば補修を行い、再び検査をします。
検査では住宅の構造耐力や雨水の侵入にかかわる劣化・不具合をチェックしますから、買主からすると住宅の安全性が分かる上、保証もあるので万が一トラブルが起こっても安心です。
- 保険の仕組みについて
・売主が不動産会社(宅建業者)の場合
・売主が個人の場合
- 保険の対象は?
・構造耐力上主要な部分 …小屋根、屋根版、斜材、壁、横架材、柱、床版、土台、基礎
・雨水の侵入を防止する部分 …屋根、開口部、外壁
※保険法人によっては給排水管や設備も対象となる商品もあります。
- 保険の期間は?
・売主が不動産会社(宅建業者)の場合…5年間または2年間
・売主が個人の場合…5年間または1年間
- 保険金の支払い対象となる費用は?
(1)修補費用
(2)調査費用
(3)転居・仮住まい費用など
- もしも住宅の欠陥に気付いたら?
売主が不動産会社の場合は会社の担当者に、売主が個人の場合は、住宅検査を行った検査機関の担当者に連絡をして、必要な補修を受けましょう。補修にかかる費用は保険でまかなわれます。
また、もしも保証先の不動産会社や検査機関が倒産した場合は、保険法人から直接保険金が支払われます。
リフォーム瑕疵保険とは、マイホームのリフォームを予定する人の安心のために、リフォーム工事の「検査」と「保証」を行う保険です。
リフォーム瑕疵保険は、リフォーム工事を行う事業者(リフォーム会社)が保険の加入者となります。保険の申し込みをすると、保険法人による検査が行われ、合格した場合に保険に加入します。もしも欠陥があれば補修を行い、再び検査をします。
検査では住宅の構造耐力や雨水の侵入にかかわる劣化・不具合をチェックしますから、リフォーム部分の安全性が分かる上、保証もあるので万が一トラブルが起こっても安心です。
- 保険の仕組みについて
- 保険の対象は?
リフォーム工事を実施したすべての部分です。
- 保険の期間は?
・構造耐力上主要な部分(小屋根、屋根版、斜材、壁、横架材、柱、床版、土台、基礎)
・雨水の侵入を防止する部分(屋根、開口部、外壁)…5年間
・上記以外のリフォーム工事実施部分…1年間
- 保険金の支払い対象となる費用は?
(1)修補費用
(2)調査費用
(3)転居・仮住まい費用など
- もしも住宅の欠陥に気付いたら?
工事を行ったリフォーム会社の担当者に連絡をして、必要な補修を受けましょう。補修にかかる費用は保険でまかなわれます。
また、もしも保証先のリフォーム会社が倒産した場合は、保険法人から直接保険金が支払われます。
2016年に政府がまとめた「住生活基本計画」によると、政府は2025年までに中古住宅の市場を倍増させる目標を掲げています。これからは新築住宅を建てて壊すより、既存の住宅を長く活用する時代といえるでしょう。
住宅ローン減税など、中古住宅を購入予定の人にとってお得な制度も用意されています。あなたもこの機会に、憧れのマイホームに向けて一歩踏み出してはいかがでしょうか?
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