2017年11月2日 更新
家探しにおいて、エリア、価格、周辺環境…など、気になる条件はいくつかありますが、これまで他人が住んでいた住宅は、建物の劣化やメンテナンス状況など、特に注意してみておきたいポイントがあります。
厳密な住宅診断は専門家にお願いすべきですが、ここでは手軽に中古住宅の安全性をチェックする方法を紹介します。
日本は「地震大国」といわれるほど災害が多い国。地震や風水害による被害を最小限にくい止めるには、その土地が災害に強いかどうか、事前に知っておく必要があります。
各自治体が発行している「ハザードマップ(防災マップ)」には、災害時の危険や避難経路が記されています。これを見れば、津波や土砂崩れ、液状化などの災害リスクをある程度予測できるので、エリアや立地選びの参考にしてください。
- ハザードマップを確認するには
(1)自治体の窓口(防災課など)に問い合わせる
(2)自治体のWEBサイトを見る
(3)国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で検索する
入居後の思わぬトラブルを防ぐために、建物の劣化や不具合などを契約前にきちんと調べておくことが大切です。
まず確認したいのが「付帯設備表」と「物件状況報告書」。これを見れば、建物や設備の不具合や、過去に起こった事故などトラブルの履歴が分かります。
下見では、建物の傷み具合をしっかりチェックしましょう(主なチェック項目は下記を参照)。傷みが激しい建物ほど耐久性が低く、住宅寿命も短くなりがちです。
- 書類をチェックする
・付帯設備表 水回りや照明といった付帯設備の仕様や不具合の有無が記載されている書類
・物件状況報告書 雨漏りやシロアリ被害などのトラブルの有無、火災や事故の履歴が記載されている書類
- 下見でチェックする
・外壁の表面のひび割れ ひび割れから雨水などが建物内部に浸透して、雨漏りの原因となることがあります。幅0.5mm以上の大きなひび割れは、構造的な欠陥や大きな損傷があるケースも考えられるので要注意。
・室内の壁のシミ 雨漏りや結露があると、水分が壁に漏れだしてシミをつくることがあります。放置するとカビたり、壁内部の腐食の原因に。シミは窓付近や水回りにあらわれることが多いため、しっかりチェックしましょう。
・床の沈み・きしみ・傾斜 室内や廊下を歩いて、床を踏んだ足が沈んだり、ギイギイと床がきしんだりしないかチェックします。また、地盤沈下などで床が傾斜しているかどうか確認するために、床にビー玉を置いてみましょう。
・給排水管や設備のトラブル 給水管や排水口から異音がしたり、水道の蛇口を閉めても水が垂れたりする場合、なんらかのトラブルのおそれがあります。洗面台の下や流し台の下を見て、濡れている箇所がないか確認してください。
ここでは下見などにチェックできる簡単な項目を取り上げていますが、より詳しい診断のために「ホームインスペクション」(※)を依頼する方法もあります。
※ホームインスペクションとは… 住宅の購入前に、第三者である診断士(ホームインスペクター)が、住宅の屋根、外壁、室内、床下などの状態をチェックして、住宅全体の劣化状況や欠陥の有無などアドバイスする住宅診断です。費用の目安は5~6万程度です。
住宅の耐震性をあらわす耐震基準は、大きな地震が起こる度に改正されています。
現行の木造戸建て住宅の耐震基準は1981年6月に改正されたもので「新耐震基準」と呼ばれています。新耐震基準では、従来の基準から耐力壁の量、耐力壁の倍率などが見直され、「震度6程度の大規模地震でも、建物内部にいる人の安全が守られる」程度の耐震性を備えています。
このことから、新耐震基準である1981年6月以降の住宅なら、地震に強い構造と考えてOK。また、2000年6月の改正では耐力壁の配置バランスの計算が求められるようになり、耐震性がさらにアップしているので、「1981年」と「2000年」を耐震性の目安にするとよいでしょう。
- とはいえ、不安があれば診断を
住宅の耐震性は地盤やメンテナンスに左右されるため、1981年6月以降の住宅であっても耐久性が低下して耐震性に不安がある場合もありますし、1891年5月以前の住宅でもしっかりとメンテナンスを行い、十分な耐震性を備えていることもあります。
不安があれば、専門家による「耐震診断」(※)で住宅の耐震性を確認しましょう。
※耐震診断とは… 建築士が住宅の地盤や基礎、上部構造などを確認して、大地震が起こった時の倒壊の可能性を判定するものです。無料の簡易診断もあれば、細かい現地調査などを重ねる診断では20万程度かかるケースもあります。
中古住宅を購入してリフォームを行う予定なら、契約前に「設計図」を確認しておきましょう。設計図には給排水管や電気系統の経路などが記載されており、設計図があればリフォームを効率よく進めることができます。リフォームのしやすさは専門家がいないと分からない場合も多いため、できれば下見時に、リフォーム会社の担当者の同行が可能かどうか確認して、OKなら一緒に見てもらうと安心です。
※リフォームについては後ほど「中古住宅を買ってリフォームする」で説明します。
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