どうする?子どもとの同居、近居
子育てを終えた夫婦がこれからの住まいについて検討する時期は、子どものほうも、結婚や出産などで持ち家を検討する時期と重なります。親世帯と子世帯が同居する二世帯住宅は昔からある住宅スタイルですが、最近ではプライバシーに配慮した「近居」も人気です。
同居・近居の暮らしはさまざま
いざというとき支え合える!そんな関係を築く暮らし方
「二世帯住宅」という言葉を聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?
「プライバシーがなさそう」「気を遣う」といったマイナスのイメージもあれば、一緒に住むことで「なにかあったときも安心」「育児や家事を助け合える」というプラスのイメージも。核家族化・高齢化が進む現代は、親が介護を受けるようになったときに遠方の子どもの負担が大きいこともあり、「介護のことを考えると、一緒に住んだ方がよい」という声もあります。
単に二世帯住宅といっても、住宅タイプによっては独立した戸建て住宅のようにプライバシー性の高いものや、同居ではなく「近居」といって、親世帯と子世帯が近くに居住する暮らし方もあります。子育て後の夫婦の家を考える今だからこそ、子どもと将来の暮らし方について話してみてはいかがでしょうか。
ちょこっとメモ!
同居や近居でもらえる補助金も。制度の有無をHPで確認しよう
親世帯と子世帯が家事や育児を協力し合う同居や近居のスタイルは、子育てしやすい環境づくりや、将来、親が高齢になったときの家族の見守りやサポートにつながります。
そのため自治体によっては、同居や近居の世帯に補助金を交付して、二世帯が一緒に住む、もしくは近くに住む可能性を広げています。
補助制度の有無や名称、対象、補助額などは自治体によって異なるため、お住まいの自治体や、住み替えで気になる自治体があればHPなどでチェックしてください。
同居のメリット・デメリットは?
暮らしの安心・利便性があるものの、距離感に注意!
親世帯と子世帯が一つ屋根の下で生活する、いわゆる“二世帯住宅の暮らし”。後述する住宅タイプによって多少の差はありますが、主にこんなメリットとデメリットがあります。
・同居のメリットは?
【親世帯のメリット】
親世帯が同居を選ぶメリットは、なんといっても「日常生活の不安を軽減できる」ことでしょう。もしも自分が病気になったときや、介護が必要になったときでも子どもが一緒に住んでいると心強いですし、夫婦2人きりで暮らすより防犯面、防災面でも安心です。
親と子、孫の3世代で暮らす場合は、孫の成長を間近で見守ることが楽しみや生きがいになるかも知れません。
【子世帯のメリット】
子世帯にとって、親世帯との同居は家事や育児をサポートしてもらえるなど「暮らしの利便性が高まる」メリットがあります。特に夫婦共働きの場合、育児をしながら仕事と家事をこなすのは大変ですが、同居の親に子どものお世話を協力してもらえれば負担の軽減になります。子ども(親世帯にとっては孫にあたります)側も、両親と祖父母に囲まれて、さまざまな経験が育まれるはずです。
【親世帯・子世帯の両方のメリット】
同居の場合、親世帯と子世帯が一緒に住むことで「経済的な負担を軽減できる」特徴があります。
二世帯住宅の建築費用は普通の戸建て住宅よりも割高ですが、住宅2戸を建てるよりは安価で、空間や設備の一部または全部を共有にすればさらに安くなります。また電気・ガス・水道も共有すれば基本料金は1戸分となり、それだけ水光熱費を節約できます。
生活空間も設備もすべて分離する完全分離タイプだと普通の戸建て住宅2棟分に匹敵する費用がかかりますが、空間や設備の一部または全部を共有にすることでコストを抑えられます。さらに電気・ガス・水道もメーターを1つにすれば基本料金の節約になり、それだけ水光熱費を抑えられます。
さらに住宅を取得するとさまざまな税金がかかりますが、二世帯住宅の建物のタイプや登記方法によっては、不動産取得税や固定資産税の軽減措置、住宅ローン控除といった減税制度(※)を利用できます。
※減税制度は様々な要件があるため、詳しくは住宅会社や税理士に相談してください。
・同居のデメリットは?
親子とはいえ年代の異なる二世帯が一緒に暮らすため、生活リズムや価値観の違いがストレスや不満につながる可能性があります。食事や入浴のタイミングが合わない、子育て(孫育て)の方針が違う、1人になれる時間がない…といった悩みや、義両親と暮らすことになった妻または夫の立場、プライバシーの問題などもあるでしょう。
二世帯住宅では、親世帯と子世帯で共有する空間や設備が多いほど、お互いの距離が近づきすぎて、このようなストレスや不満が出やすくなります。同居前にそれぞれの生活リズムや暮らしのルールなどについて話し合っておくか、ライフスタイルに応じて生活空間を分離するといった工夫が必要です。
二世帯住宅のタイプは全部で3種類
生活空間の共有・分離で暮らし方が変わる
二世帯住宅には「完全共有タイプ」「一部共有タイプ」「完全分離タイプ」の3つの住宅タイプがあり、それぞれ次のような特徴があります。
・完全共有タイプ
「サザエさん」の磯野家のように、玄関・リビング・キッチン・浴室など生活空間のすべてを二世帯が共有する、昔ながらの二世帯住宅です。
同じ空間・同じ設備を使用するため、お互いに家事や育児を協力しやすく、建築費用や水光熱費の節約になるメリットがありますが、一方で、プライバシーの確保は難しくなります。
・一部共有タイプ
玄関・リビング・キッチン・浴室などの一部のみを共有する二世帯住宅。例えば、玄関は共有で1階は親世帯、2階は子世帯というように上下階で分離するものや、玄関・リビングは共有でキッチン・浴室は分離するものなど、共有・分離する空間をカスタマイズできます。
一部共有タイプの場合、一緒に暮らす安心感がありながら、共有スペースを限定することで適度な距離感が生まれ、プライバシーも確保しやすくなります。建築費用は完全共有タイプより高く、完全分離タイプより安くなります。
・完全分離タイプ
玄関・リビング・キッチン・浴室など、生活空間のすべてを分離した二世帯住宅です。建物は1つですが、各世帯の生活空間が異なるため、プライバシーも確保しやすく、帰宅や起床の時間がバラバラでも気になりません。
完全分離タイプの二世帯住宅を区分登記して必要な要件を満たすと、不動産取得税や固定資産税の負担を軽減できます。建築費用については、設備などを別々にする分、完全共有タイプや一部共有タイプよりも割高になります。
近居のメリット・デメリットは?
ほどよい距離感で、安心と利便性を実感できる暮らし
「近居」とは、親世帯と子世帯が近くに住むこと。同居のように同じ家で生活する訳ではありませんが、徒歩や車、公共交通機関を利用して、お互いがすぐに行き来できるような場所で暮らしています。
・近居のメリットは?
同居と同じように、親世帯は「日常生活の不安を軽減できる」、子世帯は「暮らしの利便性が高まる」メリットがあります。ただし同居ではないので、「つかず離れずの距離感」であることもポイント。自信の生活リズムやプライバシーを大切にしながら、なにか困ったことがあれば親もしくは子のもとへすぐに駆けつけることができます。孫の保育園の送迎や、親の介護が必要になったときも、家が近いので焦ることもないでしょう。
・近居のデメリットは?
別々の家に住むため、同居のように建築費用や水光熱費の節約や、減税制度の恩恵を受けることはありません。
まとめると…
将来のこと・老後のことを考えて、長く暮らせる家を選ぼう
20歳代や30歳代の家選びは、子どもの人数や性別、転勤や転職など、将来のことがハッキリしないまま購入に至りますが、子育てが終わった後なら将来の見通しが立てやすく、老後のことも考えた家選びが可能になります。さまざまな選択肢の中から、夫婦で納得できる家と暮らし方を選びましょう。
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最終更新日 2024年12月02日
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