家づくりの土地にまつわる規制をチェック! 土地を購入する前に知っておきたい法令上の制限について

家づくりの土地の規制

2023年11月20日 更新
家づくりの土地の規制

家を建てようとしても、誰でも好きな場所に建築してよい訳ではありません。「都市計画の区域」や「用途地域」によっては、建築そのものが不可となるケースや、建てられる建物の種類などが制限されるケースもあります。

家を建てられる土地とは

建築可/不可の区域をあらかじめ知っておこう

建築可/不可の区域をあらかじめ知っておこう イメージ

もしも土地を購入した後に、その土地に家を建てられないと分かったら……。考えるだけでもショックな話ですが、実際に都市計画法などにもとづいて建築が制限されている土地もあるため、注意が必要です。

・市街化調整区域は家を建てられない

市街化調整区域は家を建てられない イメージ

都市計画法では、計画的に街づくりを進めるために、日本の国土を「都市計画区域」と「都市計画区域外」に分類しています。
都市計画区域は、さらに「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けられており、このうち家を建てられるのは、都市部やその近郊にあたる「市街化区域」です。「市街化調整区域」は乱開発から農地や森林を守るエリアですので、原則として建築できません。

・都市計画区域 都市計画による計画的な街づくりが進められているエリア。
「市街化区域」「市街化調整区域」に分かれています。
・市街化区域 すでに街が整備されているか、おおむね10年以内に街づくりを図るエリア。
用途地域が工業専用地域である場合を除いて、家を建てられます。
・市街化調整区域 農地や森林をなど守ることを優先するエリア。
原則として家を建てられません。
都市計画区域 イメージ

・「都市計画区域外」なら建築は可能でも…

都市計画法による都市計画区域ではないエリアのことを、「都市計画区域外」といいます。その多くは農村部や山間部などで、原則として家を建てることはできますが、インフラ整備が十分でなかったり、地盤が弱く土砂災害などのリスクが高い場合などもあります。

市街化区域の用途地域について

住みやすい街づくりを叶える用途の制限

住みやすい街づくりを叶える用途の制限 イメージ

都市計画法では、市街化区域に21種類の「地域地区」を設けています。 地域地区の1つである「用途地域」は、市街化地域に建築できる建物の種類や用途(使い道)を制限するルール。家を建てるときは、その土地が属している用途地域によって、建築できる建物の種類などが変わってきます。

・用途地域はなぜ必要?

用途地域を設けず、みんなが好き勝手に建物を建築してよいことになると、住宅地の真ん中に大きな商業施設や工場が建ったりして、景観の悪化や、日照や騒音などの問題を招くおそれがあります。
こうした無秩序な開発を防ぐために、このエリアは商業系、このエリアは商業系…というように各エリアの建物の種類などを用途地域によって制限し、良好な環境や街並みを整備しているのです。

用途地域は全部で13種類

住居系・商業系・工業系の用途をそれぞれ把握する

住居系・商業系・工業系の用途をそれぞれ把握する イメージ

用途地域の区分は13種類あり、地域ごとの住み心地は大きく変わってきます。
ここでは、住居系・商業系・工業系の用途地域の主な特徴を見ていきましょう。

・住居系用途地域

住居系用途地域 イメージ

住居系の用途地域では住環境が優先されるため、店舗・飲食店などの建築は規模や業種が制限される場合がほとんど。工場の建築も基本的に認められていません。
特に、低層住宅の環境を守るための「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住宅専用地域」は規制が厳しく、建物の高さが10mまたは12mに制限されています。

第1種低層住居専用地域 低層住宅の環境を守るための地域。戸建て住宅や3階建てくらいまでの低層マンションなどが建築できます。
第2種低層住居専用地域 主に低層住宅の環境を守るための地域。戸建て住宅や3階建てくらいまでの低層マンション、150㎡までの小規模なコンビニ・飲食店などが建築できます。
第1種中高層住居専用地域 中高層住宅の環境を守るための地域。3階以上の中高層マンション、大学などの教育施設、病院、2階建て以下で500㎡以下の店舗・飲食店などが建築できます。
第2種中高層住居専用地域 主に中高層住宅の良好な環境を守るための地域。3階以上の中高層マンション、1,500㎡以下の店舗・飲食店、事務所などが建築できます。
第1種住居地域 住環境を守るための地域。住宅以外では、3,000㎡以下の大規模な店舗・飲食店、事務所、ホテル、ボーリング場などが建築できます。
第2種住居地域 主に住環境を守るための地域。パチンコ店やカラオケボックスなどが建築できます。
準住居地域 幹線道路沿いの業務の利便性を図りつつ、住環境を守るための地域。車庫や倉庫、200㎡未満 の劇場や映画館などが建築できます。
田園住居地域 農業の利便性を図りつつ、低層住宅の環境を守るための地域。建物の制限は第1種低層住居専用地域に近いです。500㎡以下の農産物直売所などが建築できます。

・商業系用途地域

商業系用途地域 イメージ

商業施設が多く、買い物などの利便性の高い地域。大規模なマンションなども見られます。

近隣商業地域 近隣の住人が日用品を買うための大規模な商業施設や、事務所などの利便性を図る地域。住環境悪化の恐れがある工場や、キャバレーなどの風俗施設は建築不可。
商業地域 主に商業などの利便性を図る地域です。小規模な工場や、キャバレーなどの風俗施設も建築可。

・工業系用途地域

工業系用途地域 イメージ

工場が多く、働きやすい地域。準工業地域と工業地域には家を建てられますが、工業専用地域は住宅建築が不可となっています。

準工業地域 火災の危険や環境を悪化させる騒音、振動などの恐れがない工業の利便性を図る地域。工場のほか、マンションなどが建築されるなど、工場と住宅が共存しています。
工業地域 主に工業の利便性を図る地域。火災の危険や環境を悪化させる騒音、振動などの恐れがある工場も建てられます。住宅も建築可能。
工業専用地域 工業の利便性を図る地域。住宅や教育施設、病院、ホテルなどは建てられません。

用途地域以外の「地域地区」について

防火のために指定された「防火地域・準防火地域」などがある

防火のために指定された「防火地域・準防火地域」などがある イメージ

都市計画法の「地域地区」は、上記の用途地域以外に、「防火地域・準防火地域」や「景観地区」などがあります。 「防火地域・準防火地域」は、防火のために指定された地域となり、この地域に家を建てるときは主要部分を鉄筋コンクリートなどの耐火構造とするなど、一定の耐火建築物・準耐火建築物にしなければなりません。 また「景観地区」では、良好な景観維持のために建物のデザインなどが制限されます。

まとめると…まとめると…

土地探しをするなら忘れず確認。地域区分と用途地域が家づくりを左右する

土地探しをするなら忘れず確認。地域区分と用途地域が家づくりを左右する イメージ

都市計画による地域区分や用途地域などは、それぞれの市町村のWEBサイトや、全国の用途地域の情報をまとめたWEBサイトで調べることができます。
ここでは用途地域による建物の種類の制限を紹介しましたが、このほかにも用途地域は、建物の高さや建ぺい率・容積率の規制にもかかわっています。住みたい土地を探すときは、併せて確認しましょう。

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最終更新日 2024年10月30日