残された家や土地をスムーズに受け継ぐ不動産相続の基礎知識

必要な手続きは?

2023年1月5日 更新
必要な手続きは?

家や土地などの不動産を相続すると、その不動産の名義を移転する相続登記の手続きが必要となります。もしも手続きを怠ると、不動産の所有者が誰なのか分からずトラブルに発展するおそれもあるため、なるべく早めに手続きを済ませましょう。

不動産の「相続登記」とは

相続を原因とする所有権移転登記の手続きを指す

不動産の「相続登記」とは

不動産を相続するときに行う「相続登記」とは、不動産の持ち主を故人から相続人へと変更する手続きのことです。 家や土地などの不動産は、その一つ一つの所在地や面積、所有者の住所・氏名などの情報(登記情報)が登記簿に記載されています。そのため、故人が所有していた不動産を相続するには、所有権移転の登記を行い、不動産の名義を相続人へ移転する必要があります。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

2024年から相続登記が義務化。3年以内に登記をしないと過料の対象に

2024年から相続登記が義務化。3年以内に登記をしないと過料の対象に

これまで相続登記は義務ではなく、申請手続きの期限も設けられていませんでした。けれども、相続登記が適切に行われなかった所在者不明の土地の増加が社会問題となったことから法律が改正され、相続登記が義務化されることに。2024年4月1日以降は、正当な理由がないにもかかわらず相続開始から3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料が科されます。 相続登記をしないと、その不動産の所有者が誰か分からなくなったり、不動産の権利関係が複雑になったりして、トラブルにつながるおそれもあります。大切な不動産を守るためにも、相続登記を忘れずに行いましょう。

相続登記の手続きのポイント

焦らず手続きをするために押さえておきたい

焦らず手続きをするために押さえておきたい

故人が所有していた不動産を相続するには、相続登記の申請をして不動産の名義を移転します。その際「誰が」「どこで」「いつから」手続きをすればよいか、ポイントを押さえておきましょう。

誰が

誰が

相続登記の申請を行うのは、原則として、その不動産を受け継ぐ相続人です。 相続人が複数いる場合は、そのうちの1人が全員分を申請することも可能です。

どこで

どこで

その不動産を管轄する法務局の窓口に出向いて申請します。 郵送による申請も可能ですが、書類に不備などがあると手続きが複雑になるなど手間と時間がかかるため、法務局の窓口で直接申請したほうがよいでしょう。

いつから

いつから

遺言や遺産分割協議によって誰が不動産を取得するか決まり、遺産分割協議書を作成したら、手続きを開始することができます。 なお、相続人を確定するときに取り寄せた故人の戸籍謄本は、相続登記の申請時に必要書類として窓口に提出します。ほかにも、故人の住民票(除票)や相続人全員の戸籍謄本なども必要ですので、下記の「申請時に必要な書類」を参考にして、早めに準備しておきましょう。

登記申請書の作成方法は?

使用する用紙は法務局サイトでダウンロード可能

使用する用紙は法務局サイトでダウンロード可能

相続登記の申請時に必要となる「登記申請書」は、A4用紙に必要事項を記入して作成します。手書きやPCで自作してもよいのですが、法務局のWEBサイトで用紙をダウンロードして使うとスムーズです。

参考:法務局「不動産登記の申請書様式について」
所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001189395.pdf

作成例と書き方のポイント

登記申請書作成例

申請時に必要な書類は?

法務局に事前に問い合わせておくと安心

申請時に必要な書類は?

相続登記の申請時に窓口に提出する書類は次のとおりです。相続方法によって必要書類が変わってくるため、できれば申請前に法務局で確認するとよいでしょう。
【必要書類】
登記申請書、故人の戸籍謄本、故人の住民票(除票)、相続人全員の戸籍謄本、不動産取得者の住民票と印鑑証明書、不動産の固定資産証明書、遺言書(遺言書による指定分割の場合)、遺産分割協議書(遺産分割協議による協議分割の場合)、相続関係説明図

手続きにかかる費用は?

登録免許税や書類取得費用などが発生する

手続きにかかる費用は?

相続登記を申請するときに支払う登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)に加え、各種必要書類(戸籍謄本、住民票など)の取得費用などが必要です。
司法書士など専門家に手続き代行を依頼する場合は、上記の費用に加えて専門家への報酬が発生します。報酬額は、相続する不動産の数や評価額などにもよりますが、5~10万円程度が目安です。

まとめると…まとめると…

不安があれば専門家に相談しても。代行依頼をするなら見積りを忘れずに!

不安があれば専門家に相談しても。代行依頼をするなら見積りを忘れずに!

不動産を受け継いだら必要となる相続登記ですが、登記のために法務局へ何度も問い合わせをしたり、提出する書類を揃えたりする作業は大変です。申請の準備や手続きに不安を感じたら、登記の専門家である司法書士に手続き代行を依頼することも検討しましょう。司法書士への報酬額はケースバイケースのため、依頼の前に相続の状況を相談した上で、見積りをとって比較・検討することをおすすめします。

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最終更新日 2024年10月30日