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シニアライフをナビゲートする「将来設計」を立てる(3)シニアライフの資金プラン

2014年5月23日 更新

老後の蓄えに不安があるなら資金プランの見直しを

 先述のように、2013年における日本人の平均寿命は男性79.59歳、女性86.35歳です。さらに長生きする可能性を考えて90歳、100歳まで視野に入れると、60歳の定年後に30年かそれ以上を乗りきる資産があると安心です。
 ご自身の年金や退職金、預貯金などの試算をシミュレーションして、老後の資金に必要な9000万円の蓄えがあればひとまず安心と言えますが、もしも蓄えが乏しくて不安を感じる場合や、高齢者施設の入居をあきらめざるを得ない場合などはどうすれば良いのでしょうか。

長生きしても安心のシニアライフのために

 公的年金による収入だけで、シニアライフを十分満足して暮らしていける人は少数です。さらに今後は年金の受給額が徐々に減っていく可能性もありますから、長生きをしても安心できる将来設計のために、老後の資金は少しでも多い方が良いことは言うまでもありません。
 そこでここでは、シニア世代におすすめの資金づくりについてご紹介します。

資産を増やす方法とは

  シニア世代におすすめの主な資金づくりとしては、次のような方法があります。

  なお、(※)がついている方法は、自宅を所有している場合に限られます。
  それぞれの方法を順番に見ていきましょう。

 

働く

 現役時代とは雇用形態も仕事内容も異なりますが、定年後であっても、仕事を生きがいにしてハツラツと働いている人は多いものです。特に、長寿社会である今、心身ともに元気な60歳台~70歳台前半は、まだまだ「働き盛り」です。
 「働くと年金が減らされる」とよく言われますが、自営業、パート、嘱託で働いている人は厚生年金に加入しないので、年金が減額になることはありません。勤務形態が正社員の場合や、正社員ではなくても勤務日数と勤務時間が正社員の4分の3以上である場合は、厚生年金に加入するため、「在職老齢年金」といって、働いた分だけ年金の受給額が減額になります。とはいえ、働くことで年金加入期間が増えるため、将来受け取れるトータルで年金額が増える場合がほとんど。ちなみに老齢厚生年金は減額されても、国民年金の老齢基礎年金は減額の対象ではありません。
 いずれにせよ、年金の減額を避けるために勤務形態や日数に気を配って働くか、例え働いている期間は減額になってもトータルの年金額が増えることを楽しみに働くか、どちらかを選ぶことになります。資金の確保はもちろん、仕事のやりがいや楽しみなども考慮しながら、自分にあった働き方を選択してください。

60歳台前半(60歳以上65歳未満)の在職老齢年金の計算方法

65歳以降の在職老齢年金の計算方法

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今ある資産の見直し

 まずは現在の資産がどのようなものかを把握するために、預貯金、株式、国債や投資信託などの証券といった金融資産の商品名、金利、分配タイプ、預入れ額や購入額、評価額などを表にまとめてみましょう。ここに不動産や貴金属などの現物資産も書き加えてください。これらのプラスの資産に加えて、住宅ローンなどマイナスの資産も忘れずに記入します。
 資産全体を見渡して、これらの純資産がプラスになっているか、必要以上にリスクの高い商品が多くないかなど、バランスをチェックしてください。また、金融資産は金利に注目を。今はお得な金利であっても、今後の金利情勢によっては、メリットがない商品があるかも知れません。
 住宅ローンなどのマイナスの資産は、収入の柱が年金収入であるシニア世代にとって負担が大きい可能性があります。預貯金の具合によっては繰り上げ返済をしたり、ローンの借り換えを行ったりすると良いでしょう。
 金利のムダや資産全体のバランスを確認するために、定期的に資産を見直す習慣をつけることをおすすめします。

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資産運用

 まとまった退職金を手に入れたら資産運用を始めたい……という人もいらっしゃるのではないでしょうか。確かにアベノミクス効果によって金利が上昇する試算も弾きだされていますから、投資にチャレンジしたくなる気持ちも分かりますが、金融商品でリスクを負っても収入でカバーできる現役時代とは異なり、シニア世代は虎の子の資産をいかに守り抜くかが重要ですから、投資経験がない、または少ない人ほど、高リスク商品には手を出さない方が賢明。投信経験者であっても、大きな損失を抱えてもそれをリカバリーできる時間と体力は年齢と共に乏しくなっていくことは事実です。高リスク商品から低リスク商品へ少しずつ移行しましょう。
 右は、主な金融商品のリスクとリターンをまとめた分布図です。商品によってリスクとリターンには幅がありますが、できれば低リスクのゾーンに入っているものを選びましょう。
 2014年1月からは専用の口座で購入した上場株式や株式投資信託などの配当金・売買益などが非課税になる「NISA(少額投資非課税制度)」もスタートします。こちらは年間100万円までの購入で5年間非課税投資が可能なので、年間の投資が100万円以下で投資を行いたいという人は、検討してみてはいかがでしょうか。

主な金融商品のリターン・リスク分布

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家計の見直し

 資金を増やすことより、今ある資金のムダを省くことが大切なのがシニアライフ。何でもケチケチと節約するのではなく、資金の「使いどころ」と「節約しどころ」を見極めてバランス良く家計を切り盛りしましょう。
 毎月の家計簿には、見直しのヒントがいろいろと隠されています。はじめにチェックすべきポイントが、住宅ローンや保険料など毎月必ず発生する「固定費」です。
 住宅ローンの支払いは固定費の中でも特に高額になりがちですが、返済プランや金利の動向によっては数百万円もの差が出ることもあります。今の返済プランが適切か、近隣の情勢に合っているかどうかを見極め、場合によっては借り換えや、貯金を崩してでも繰り上げ返済を検討しましょう。金融機関では、さまざまな返済プランや金利にもとづいたシミュレーションを行っています。WEBサイトで簡易シミュレーションができる場合もあるので、一度試してみてはいかがでしょうか。
 保険料は、保障内容などをきちんと把握しないまま加入してしまうこともありますから、現在加入中の保険がどのような保障なのか、洗い出しましょう。現役時代なら死亡時の保障に重点を置くケースが多いのですが、シニア世代になると手厚い遺族年金である程度カバーできますから、それよりもがんや病気、入院などの保障が必要になります。こちらも保険会社のWEBサイトで、保険料や保障内容の比較や簡易シミュレーションを行うことができます。

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不動産の売却・賃貸

 自宅を売却したり賃貸に出したりして、その代金の一部で小さなアパートを借りたりマンションを買ったりして、残りの資金を生活費に充てる方法です。子どもが独立した後の住まいは夫婦2人では広すぎる場合が多く、管理や維持も大変なので、より生活しやすい住まいと資金を手に入れる訳です。

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「移住・住みかえ支援機構」による「マイホーム借上げ制度」の利用

 「移住・住みかえ支援機構」には、50歳以上の世帯の住まいを最長で終身にわたって借り上げ・転貸しを行い、安定した賃料収入を保障する「マイホーム借上げ制度」があります。自宅を売却せずに老後の資金が手に入るだけでなく、3年ごとに解約することができるので、再び自宅に戻ることも可能! http://www.jt-i.jp/

移住・住み替え支援機構WEBサイト

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リバースモーゲージの利用

 マイホームを担保にお金を借りることを「リバースモーゲージ」と言います。リバースモーゲージでは、借りたお金の返済をせずに、借入者の死亡時にマイホームを処分して返済資金に充てます。マイホームを相続させる予定がないのであれば、このリバースモーゲージでマイホームを最後まで有効に活用するのも一つの手段と言えるでしょう。リバースモーゲージは公的機関のほかに銀行など民間金融機関の商品があります。商品ごとに制度内容が異なるので、複数の商品を比較・検討しましょう。

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現役時代に頑張って働きたい人にとって、定年後のシニアライフは楽しさや喜びに満ちた期間。

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最終更新日 2024年12月02日