ごみ問題
不要な物、使わなくなったり壊れたりした物は「ごみ」として捨てられますが、このごみが増えすぎたり、適切に処理されなかったりすることで、今「埋め立て処分場問題」や「海洋プラスチックごみ問題」といった環境問題が浮上しています。暮らしが豊かになるにつれて増え続けるごみを、どのように減らしていけばよいのでしょうか。
日本や世界のごみの状況
日本では微減傾向も、世界全体ではごみが増え続けている
環境省の「一般廃棄物処理事業実態調査」の結果によると、2018年度の日本のごみの総排出量は、東京ドーム約115杯分にあたる4,272万t。1人1日あたりのごみ排出量は918gとなっています。日本では2011年度(4,543t)以降、ごみの排出量がじょじょに減りつつありますが、世界を見ると年々ごみは増えており、2000年には約127億tであった量が、2050年には約270億tにまで増加すると予想されています。
ごみが増えると起こる問題とは?
埋め立て処分場問題
家庭から出たごみ(一般廃棄物)は中間処理施設で焼却・破砕され、埋め立て処分場に埋め立てられます。けれども、ごみを埋め立てられる量には限界があり、環境省の予測ではあと20年ほどで全国の埋め立て処分場が満杯になってしまうとされています。
CO2の排出
ごみを焼却すれば、灰となってごみの量が減り、埋め立て処分場が満杯になるスピードを遅らせることができます。その反面、焼却時に排出される二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の大きな原因であるため、ごみが増えるとCO2の排出量も増加します。
海洋プラスチックごみ問題
不法に投棄されたプラスチックのごみが海に集まり、海岸に漂着して景観を悪くしたり、海中を流れて生き物の体を傷つけたりすることが近年問題となっています。プラスチックは木や紙のように自然分解されないため、腐らずにそのまま溜まり続けてしまいます。
ちょこっとメモ!
見逃せないマイクロプラスチック――海の生態系への悪影響も。
海洋プラスチックごみ問題の一つとしてよく耳にする「マイクロプラスチック」とは、海中を漂うプラスチックごみが波や紫外線の影響を受けて破砕され、5mm以下の粒子になったもの。非常に細かいため、海中などで回収することは困難です。このマイクロプラスチックを、魚などがエサと間違えて食べることで生態系への悪影響が出たり、その魚を食べる人間の健康にもかかわったりすることが心配されています。
「3R」と、それに続くキーワードは?
ごみを減らす「3R」に加えて、押さえておきたいキーワードを紹介
ごみが環境に与える悪影響を広げないためには、ごみを減らすことが大切です。ごみを発生させない「Reduce(リデュース)」、物を繰り返し使う「Reuse(リユース)」、使用後に再資源化する「Recycle(リサイクル)」という3つの言葉の頭文字をとった「3R」はごみを減らすキーワードとして知られていますが、さらに最近では、不要な物は断る「Refuse(リフューズ)」、壊れたら修理する「Repair(リペア)」、所有せずに必要なときに借りる「Rental(レンタル)」もごみを減らす重要なキーワードとなっています。
ごみを減らすキーワード
3R
- ・「Reduce(リデュース)」=減らす
…使い捨てではない物や詰め替え製品を使い、ごみの発生量を減らす - ・「Reuse(リユース)」=繰り返し使う
…長く使える物を選んで何度も使う - ・「Recycle(リサイクル)」=再資源化する
…使い終わったら、分別して資源ごみにする
上記の3Rに追加して、
- ・「Refuse(リフューズ)」=断る
…買い物のレジ袋など、不要なら「要りません」と断る - ・「Repair(リペア)」=修理する
…修理して使える物があれば修理する - ・「Rental(レンタル)」
…日常的に使わない物は所有せず、必要なときだけ借りる
暮らしの中で「ごみを減らす」工夫
外出時
割り箸やペットボトルではなく、繰り返し洗って使えるマイ箸やマイボトル、買い物でレジ袋の代わりになるマイバッグなどを持ち歩けば、使い捨てになる物を使わず、ごみを減らすことにつながります。
食材の買い物
スーパーに食材を買いに行く前には、冷蔵庫の在庫をチェックして、同じものの重複買いを防止。さらに量り売りやバラ売りなどを選び、消費期限内に食べ切れる分だけ買えば、食べ切れずに捨ててしまう「食品ロス対策」にもなります。
日用品の買い物
洗剤やシャンプーなどは、容器の使い捨てを防ぐために詰め替え製品を購入しましょう。買い物をするときは値段の安さも重要ですが、長く使える物、繰り返し使える物を選べばごみの削減になる上、結果的に節約につながるケースも少なくありません。
物を捨てるとき
使い終わったビン、缶、紙類、ペットボトルなどは、資源ごみとして分別すればリサイクル製品に生まれ変わります。サイズが合わなくなった衣類、書籍など、まだ使えるようであればフリーマーケットやリサイクルショップなどを活用してみましょう。
段ボールコンポストを導入して生ごみを削減
コンポストとは、微生物の力を使って生ごみ(台所から出る調理くず、食べ残しなど)を堆肥化するシステムで、「段ボール」と「基材(スーパーなどで購入できます)」があれば手軽に始められます。できた堆肥はガーデニングに使えるほか、自治体が引き取ってくれる場合もあります。
まとめると…
環境のためにできることを考える。1人ひとりの取り組みが大きな力に!
環境問題に取り組む上で重要なことは、私たち1人ひとりが環境に意識を傾けること。1人ができることは小さくても、みんなが集まれば大きな力になります。将来にわたって住みやすい環境を残すために、あなたもできることから始めてみませんか?
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最終更新日 2024年10月30日
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