選挙の種類
選挙を大きく分けると、国の政治を行う国会議員を選ぶ「国政選挙」と、都道府県の知事や議員、市区町村の長や議員を選ぶ「地方選挙」があります。2021年は国政選挙の中でも大きな注目を集める衆議院議員選挙や、各地の知事選、市長選といったさまざまな地方選挙が行われますが、選ばれる公職、選び方、それに選挙を行う理由も、選挙の種類によって異なります。選挙の種類と、その特徴を見ていきましょう。
国会議員を選ぶ「国政選挙」
国の方向性を決めるために、衆議院と参議院の議員を選出
私たち国民の代表として国の政治を行う代表者を「国会議員」といい、この国会議員を選ぶ選挙が「国政選挙」です。国会議員の数は710人。そのうち465人が「衆議院」、245人が「参議院」に属しており(※)、それぞれ衆議院議員選挙、参議院議員選挙によって選ばれます。
衆議院議員選挙(総選挙)とは
任期満了にともなう場合と解散にともなう場合がある
衆議院議員選挙は、4年の任期満了にともなって行われる場合と、衆議院の解散により行われる場合があります。衆議院の解散は、重大な政策について衆議院と内閣の意見が対立したときなどに内閣総理大臣(首相)によって行われ、解散になると衆議院議員は任期の途中でも一斉に議員の資格を失います。そして新たな衆議院議員を選びなおすために選挙を行い、衆議院の意見と内閣の意見のどちらを支持するか、国民の意志を確かめるのです。衆議院議員選挙では、一度に全議員を選ぶことから「総選挙」ともいいます。解散の論点となった重大な政策について国民の意志を問いかけるため、毎回大きな注目が集まる選挙です。
衆議院議員選挙の制度について
投票方法は「小選挙区」と「比例代表」の2つ
衆議院議員選挙は「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」という2つからなり、小選挙区で1票、比例代表で1票をそれぞれ投票します。また、この衆議院議員選挙と同時に「最高裁判所裁判官国民審査」も行われるため、有権者は合計3票を投票することになります。
- ・小選挙区選挙
- 全国を289の選挙区に分けて、各選挙区から1人ずつ議員を選びます。有権者は投票用紙に「候補者名」を記入して投票し、得票数の最も多い候補者が当選します。
- ・比例代表選挙
- 全国を11の比例区(ブロック)に分けて、176人の議員を選びます。有権者は投票用紙に「政党名」を記入して投票します。得票数はブロックごとに集計され、各政党の得票数に応じて議席が配分されます。衆議院議員選挙の比例代表選挙では、「拘束名簿式」という方式を採用しています。これは各政党が候補者の当選順位を記した名簿をあらかじめ作成しておき、名簿の順位の上位から当選が決まるというものです。
- ・最高裁判所裁判官国民審査
- 最高裁判所裁判官国民審査は、衆議院議員選挙と同時に行われる審査(選挙ではありません)です。審査を受ける裁判官の氏名が投票用紙に印刷されているので、それぞれの裁判官について、辞めさせたい意志があれば「×」を、なければ何も記載せずに投票します。審査の結果、何も記載されていない票よりも「×」の記載された票が多い裁判官は罷免されます。
ちょこっとメモ!
比例区の「復活当選」とは?――衆議院議員選挙だけの敗者復活システム
衆議院議員選挙では、候補者が小選挙区と比例区に重複して立候補する「重複立候補」が認められています。重複立候補をしていると、小選挙区で落選しても、比例区で当選ということがあり、これを「復活当選」といいます。なお、参議院議員選挙では重複立候補ができないので、復活当選はありません。
参議院議員選挙(通常選挙)とは
3年ごとに参議院議員の半数を選びなおす選挙
参議院議員の任期は6年ですが、参議院議員選挙は6年に1回ではなく、「半数改選」といって3年ごとに議員の半数を選びなおす方式をとっています。これは衆議院議員選挙と同じタイミングで行われて国会議員が不在になり、国会の機能が空白化しないようにするためです。参議院議員選挙は「通常選挙」とも呼ばれ、直近では2019年に行われました。次は2022年、そのまた次は2025年です。参議院の場合、衆議院のように解散がないため、規則的に選挙が行われます。
参議院議員選挙の制度について
投票方法は「選挙区」と「比例代表」の2つ
参議院議員選挙は「選挙区選挙」と「比例代表選挙」という2つからなり、有権者は1票ずつ、計2票を投票します。
- ・選挙区選挙
- 原則、都道府県を選挙区とする45区(※鳥取県と島根県、徳島県と高知県は2県で1選挙区)で行われ、1選挙区につき1~5人を選びます。有権者は、投票用紙に「候補者名」を記入して投票し、得票数の最も多い候補者から当選が決まります。
- ・比例代表選挙
- 全国を1つのブロックとして、98人の議員を選びます。 有権者は、投票用紙に「候補者名」または「政党名」のどちらかを記入して投票します。得票数はブロックごとに集計され、候補者名と各政党の得票数の合計に応じて議席が配分されます。参議院議員選挙の比例代表選挙では「非拘束名簿式」という方式を採用しており、政党の名簿(非拘束名簿)にある候補者の中でも個人名の得票が多かった人から当選が決まります。さらに2019年の参議院議員選挙からは、「特定枠」という枠が設けられるようになりました。特定枠とは、非拘束名簿式とは別に当選者を出すもので、政党が優先的に当選させたい候補者の順位を記した名簿をあらかじめ作成しておきます。特定枠に指定された候補者は、個人名の得票に関係なく、名簿の順位の上位から当選が決定します。
自治体の長や議員を選ぶ「地方選挙」
地域社会をよくするために、投票で住民の意志を届ける
国会議員を選ぶ「国政選挙」に対して、都道府県の知事や議員、市区町村の長や議員を選ぶ選挙を「地方選挙」といいます。都道府県や市区町村の議会では、地域の医療・介護・福祉や教育、ごみ収集など、暮らしに密着した政治を行うため、より住民の意志を反映させやすいよう、住民が直接投票で選ぶ「直接選挙」で行うことが憲法により定められています。
- ・都道府県の知事や市区町村の長の選挙
- 4年の任期満了のほか、不信任議決による失職、住民の直接請求(リコール)による解職の場合などに行われます。投票方式は、投票用紙に「候補者名」を記入する自書式投票が一般的ですが、あらかじめ投票用紙に印刷された候補者名に「○」をつけて投票する記号式投票を採用している自治体もあります。投票の結果、得票数の最も多い候補者が当選します。
- ・都道府県や市区町村の議員選挙(一般選挙)
- 4年の任期満了のほか、議会の解散にともなって行われる場合などがあります。投票方式は、投票用紙に「候補者名」を記入する自書式投票が一般的ですが、あらかじめ投票用紙に印刷された候補者名に「○」をつけて投票する記号式投票を採用している自治体もあります。投票の結果、得票数の最も多い候補者から当選が決まります。
4年ごとに行われる「統一地方選挙」とは
北海道から沖縄まで、一斉に行われる地方選挙
地方選挙の中でも、4年に1度、4月に全国の多くの自治体で一斉に行うものを「統一地方選挙」といいます。都道府県の知事や議員、市区町村の長や議員の任期は4年のため、任期の途中で知事が退職したり議会が解散したりしなければ、一定の期間に任期満了になります。これらの自治体がバラバラの日程で選挙を行うのではなく、日程を統一して行うことで選挙活動や費用のムダを省いたり、地方選挙に対する有権者の関心も高まるといったメリットがあります。統一地方選挙は、直近では2019年に行われました。次回は2023年に行われる予定です。
まとめると…
選挙制度はちょっと複雑。でも安心を!初めてでもちゃんと投票できます
国政選挙・地方選挙には、上記で挙げた種類のほかに、選挙のやり直しや当選者が不足したときに行う「再選挙」や、議員が不足したときに行う「補欠選挙」などがあります。細かな選挙制度の違いなど、有権者にとって少々分かりづらい面もありますが、実際の投票所では、初めてでもちゃんと投票できる仕組みが整っているのでご安心ください。
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最終更新日 2024年10月30日
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