できるだけ水を汚さないエコアイデア

暮らしの水を守るエコアイデア

水資源を守るために家庭でできること その2

できるだけ水を汚さない

2012年2月23日 更新

私たちが使う水は河川などから取水されますが、今、この水環境の汚染が大きな問題になっています。
かつて水環境の汚染の原因といえば、工場からの排水がほとんどでした。けれども最近は家庭のキッチンなどから出る生活排水の方が、より深刻な汚染源とされています。
排水口に何気なく流したジュースなどの飲み残し、洗剤、シャンプー、リンスといった生活排水の中には、環境に悪影響をもたらす有機物や化学物質が含まれています。これらの生活排水を処理するためには、さらに多くの水が必要になるのです。
地域によっては下水の処理設備が不十分で、生活排水がそのまま河川に流されているケースもあります。この場合、有機物や窒素やリンなどの物質まで河川に直接流れ込むことになり、水環境の汚染を引き起こす原因となっています。
しかも、汚染された水源を水道水にするため塩素を使って浄化・殺菌する時にも、トリハロメタンという発ガン性の物質が生成されてしまいます。水環境の汚染は、私たちの健康にも大きく関わっている問題なのです。

キッチンからの汚水をキレイにするためには?

排水口からの汚水は、下水処理場でどれ位の水を使って処理されるのかを以下にまとめました。

●汚水の処理の目安
魚が住める水質にするために必要な水の量は、浴槽(300L)何杯分?
商品 浴槽何杯(分)
調味料 マヨネーズ 大さじ1杯15ml 13杯 13杯
しょう油(濃い口) 大さじ1杯15ml 1.7杯 1.7杯
天ぷら油(廃油) 500ml 560杯 560杯(※)
嗜好品 コーラ コップ1杯180ml 9.5杯 9.5杯
オレンジ100%ジュース コップ1杯180ml 10杯 10杯
ビール コップ1杯180ml 8.6杯 8.6杯
調理品 みそ汁(具なし) お椀1杯200ml 2.5杯 2.5杯
煮物汁(肉じゃが) 鉢100ml 3.5杯 3.5杯
おでん汁 お椀1杯200ml 2.8杯 2.8杯
洗浄剤 シャンプー 1回分6ml 1.6杯 1.6杯
台所洗剤 1g 0.5杯 0.5杯
洗濯用合成洗剤(粉末)無りん 1回30g/5kg洗濯機 6.7杯 6.7杯

(東京都環境局資料より作成。ただし(※)は国立環境研究所資料より)

水を汚さないためのエコアイデア

●ジュースなどの飲み物は最後まで飲みきる
...ジュースやビールなどの飲み残しに含まれる有機物。これらの有機物を、魚が住める程度の濃度に処理して河川に流すためには大量の水が必要になります。
コップの最後に残った一口分のオレンジジュースであっても、処理に使われる水の量は1.5Lのペットボトル約200本分です。飲み物はきちんと飲みきるか、最初から量をセーブしてコップに注ぐようにしましょう。
●使い終わった油を下水に流さない
...使い終わった油を排水口に直接流し込んでしまうと、配水管の悪臭や詰まりの原因になるばかりか、水環境に悪影響を与えてしまいます。
炒め物、揚げ物などで発生した廃油は、新聞紙でしっかりと吸わせるか、または固めるタイプの油処理剤を使って燃えるゴミとして処理しましょう。油と混ぜて液体のまま排水口に流すタイプの油処理剤もありますが、これは油を直接流し込むのと同様、環境にとって良いものではありません。油でベトベトになった皿も、汚れを拭き取ってから洗うようにすると排水口に油が流れず、洗剤の使用量も抑えることができます。
●野菜クズなどを下水に流さないように、ネットなどを設置する
...調理の時に出る野菜クズも、河川の水を汚す原因となります。
排水口や三角コーナーにネットや古いストッキングを設置したり、目の細かい水切りなどを使ったりするなどして、細かい野菜クズが排水口に侵入するのをシャットアウトしましょう。
●食器洗いの時は、台所洗剤の量を控える
...食器にこびりついた汚れをサッと落としてくれる台所洗剤。人間にとって便利なものであっても、環境の面から見ると水を汚してしまう原因の一つです。
食器を洗う時に、「ため洗い」や洗剤不要のスポンジなどを使うなどの工夫をすれば、台所洗剤の使用量を少なくすることができます。
●家の中の汚れは、こまめに雑巾で拭き取る習慣をつける
...ちょっとした汚れであれば水で絞った雑巾で拭き取るだけでキレイになりますが、汚れがこびりついてしまうと、それだけ強力な合成洗剤などが必要になり、水環境を悪化させる原因に...。家の中で汚れを見つけたら、こまめに雑巾で拭き取るようにして洗剤の使用を控えましょう。
●キャンプやバーベキューの時も注意!
屋外のキャンプやバーベキューの時に使用したあとの食器は、現地で一度軽く汚れを拭き取った後、家に持って帰って汚れを落とすようにします。
油まみれの食器や鉄板を河川で洗うのは絶対にNGです。現地ではなるべくゴミを出さないように、食材は事前に家庭でカットしておき、調理する分量だけ現地に持ち込むと良いでしょう。

次のページでは「水と環境について知る」方法について紹介します。>>

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最終更新日 2024年10月30日