家や、家族の思い出の品まで焼き尽くしてしまう火災。火災に遭わないために、日頃から火元の安全に気をつかうのは当たり前ですが、出火しやすい原因を見直し、火災の危険を少しでも減らす家づくりを心がけましょう。
総務省消防庁によると、2012年に発生した建物火災は26795件で、そのうち半数以上が住宅で出火しています。
住宅火災の出火原因の内訳を見てみましょう。最も多いのは「コンロ」(19.5%)で、「たばこ」(12.9%)、「放火」(8.7%)、「ストーブ」(8.4%)と続きます。さらに、電灯や電話などの配線、配線器具、電気機器などからも出火している点にも注目してください。このように家庭内で毎日当たり前のように使っているものが原因となって起きる火災を防止するために、私たちは身の回りの火災の危険を少しでも減らす努力をしなければなりません。
※総務省消防庁調べ、2012年(1月~12月)における火災の状況(確定値)
住宅火災の出火原因別の
火災発生状況
コンロ | 19.5% |
---|---|
たばこ | 12.9% |
放火 | 8.7% |
ストーブ | 8.4% |
放火の疑い | 4.4% |
配線器具 | 3.9% |
電灯、電話などの配線 | 3.5% |
灯火 | 3.1% |
電気機器 | 2.2% |
火遊び | 2.1% |
マッチ・ライター | 1.9% |
風呂かまど | 1.7% |
たき火 | 1% |
その他、不明・調査中 | 26.7% |
屋根や外壁などに燃えにくい建材(不燃材料や準不燃材料など)を使えば、万一火災が起きても燃え広がることがほとんどなく、有毒な煙やガスも発生しないため被害を最小限にくい止めることができます。また、近隣の火災による貰い火を防止することもできます。
防火材の種類と性能については、下の表を参考にしてください。建材のほかに、カーテンや絨毯なども防火・防炎機能にすぐれた製品を揃えることで、建物全体の火災の被害を抑えられます。
防火材の種類と性能
種類 | 材料 | 防火性能 |
不燃材料 | 鉄、コンクリート、レンガ、瓦、石綿スレート、ガラス、モルタル、漆喰、そのほか国道交通大臣認定を受けたもの | 火災の加熱から20分後に、(1)燃焼、(2)変形や溶解・亀裂、(3)有害な煙やガスの発生がない |
---|---|---|
準不燃材料 | 木毛セメント板(厚さ15mm以上)、石こうボード(厚さ9mm以上)、そのほか国道交通大臣認定を受けたもの | 火災の加熱から10分後に、(1)燃焼、(2)変形や溶解・亀裂、(3)有害な煙やガスの発生がない |
難燃材料 | 難燃合板(厚さ5.5mm以上)、石こうボード(厚さ7mm以上)、そのほか国土交通大臣認定を受けたもの | 火災の加熱から5分後に、(1)燃焼、(2)変形や溶解・亀裂、(3)有害な煙やガスの発生がない |
防炎製品 | 防炎製品として消防庁などの認定を受けたもの(カーテン、絨毯、布製ブラインド、寝具など) | 火災の加熱に対して燃え広がることがなく、初期火災を延焼拡大させない効果がある |
住宅の出火原因のトップである「コンロからの火災」。中でも、天ぷら油が発火して起こる通称「天ぷら油火災」は、その危険性が知られているにもかかわらず、頻繁に発生しています。
天ぷら油が発火する温度は約360℃で、これはコンロに点火してから20分程の時間がかかります。この間に、来客や電話に気を取られて火のそばを離れてしまうことから火災につながります。火を使っている時は、その場を離れないことはもちろんですが、コンロの上やレンジフードに取り付ける天ぷら油消火装置、住宅用スプリンクラーなどの備えも検討してみましょう。
また、火を使わずに調理できるIHクッキングヒーターはガスコンロよりも火災の心配が少ないと言われていますが、油断は禁物。IHクッキングヒーターであっても、メーカー指定の油量未満で調理したり、IHクッキングヒーター専用ではない鍋を使用したりすると、天ぷら油火災につながる恐れがあります。最近では、IHクッキングヒーター用の汚れ防止マットを誤った方法で使用したために温度検知機能が損なわれて火災が起きたという報告もありました。これらの機器を使う場合は、事前に取扱説明書をチェックして正しい方法で使用してください。
火災の死亡要因のほとんどは煙による一酸化炭素中毒だと言われています。もしも初期消火ができずに人の背丈よりも高く火が上がってしまったら、できるだけ急いで逃げることが大事。その時、煙を吸い込まないように低い姿勢で避難するようにします。
けれども火元によっては玄関からの脱出が難しい場合があるかも知れません。また、例え玄関から脱出できる状況であっても、非常時ゆえに冷静さを失って玄関から離れた方向へ逃げてしまうケースも考えられます。
そのような事態に備えて、勝手口やバルコニーなど、玄関以外の複数の脱出ルートを確保しておくと安心です。特に子どもや高齢者は脱出に時間がかかる可能性がありますから、寝室などにバルコニーをつければスムーズに脱出できます。言うまでもないことですが、これらの避難ルートは日頃から荷物などで通り道をふさがないように注意してください。
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最終更新日 2024年12月02日
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