山の近くで暮らすメリット・デメリット
国土の7割を山地と丘陵地が占める日本では、昔から山の近くで生活が営まれてきました。四季折々の自然と親しみながら移住生活を楽しむために、山の近くで暮らすメリット・デメリットを押さえましょう。
【メリット①】空気がきれいでおいしい
胸いっぱいに吸い込んでストレス解消!
山の空気は、思わず深呼吸したくなるほど清々しく気持ちいいもの。木々に覆われた森林の空気にはストレスをやわらげる効果やリフレッシュ効果があり、森林に入って癒しを得る「森林浴」や「森林セラピー」といった言葉もあるほどです。 都会のように空気中に埃や車の排ガスが含まれていない分、空も澄みわたっており、晴れた日の夜は満点の星を眺めることができます。
【メリット②】美しい里山の景色を満喫
山並みと田んぼが広がる「日本の原風景」
昔から、農村集落の近くにある山は「里山」と呼ばれ、人々は山で山菜をとったり、薪や炭にする木材をとったりして、里山の恵みを受けて暮らしてきました。「日本の原風景」ともいわれる里山の美しい自然の中で生活できるのは、山の近くで暮らす魅力の一つ。春の新緑、秋の紅葉など、季節ごとに色合いを変える山の景観も私たちの目を喜ばせてくれます。
【メリット③】レジャー、アクティビティが充実
山歩きやBBQなどで自然に親しめる
山の近くに暮らしていると、ハイキング、登山など、山のレジャーやアクティビティが身近になります。 標高の低い低山では、初心者や親子連れでも楽しめるハイキングコースを整備しているところもあるので、気軽に歩いてみましょう。ハイキングのついでに、近場の温泉に足を延ばす、バードウォッチングをするといった楽しみ方もあります。 夏には川辺でBBQや川遊びをしたり、冬にはスキーなどのウインタースポーツに挑戦したりするのもおすすめです。
【メリット④】豊かな山の恵みを味わえる
とれたての野菜や山菜は格別のおいしさ
地元でとれた野菜や山菜、川魚など、その土地ならではの食材を楽しめるのも魅力。 地元の直売所、道の駅、スーパーの地産地消コーナーなどでは、生産者が直接搬入した新鮮な農作物や加工品などが比較的安く手に入ります。時には、天然モノのきのこのように、地元でしか流通していない希少な食材に出会えるかも知れません。
ちょこっとメモ!
家庭菜園で畑仕事を楽しむ。憧れのスローライフを叶える空き家物件とは?
地方移住をきっかけに、家庭菜園で畑仕事を始めてみたいと考える人もいるのではないでしょうか。全国の空き家バンクに登録されている物件の中には、敷地の一角に小さな畑がある「菜園付き空き家」も多く、マイペースで家庭菜園を楽しみたい移住者に喜ばれています。 なお、菜園付き空き家のほかに本格的な「農地付き空き家」の物件もありますが、こちらは農業従事者向けの物件となり、売買や賃借をするには市町村の農業委員会の許可を受ける必要があります。
【デメリット①】冬の寒さと雪の対策が必要
標高が高い分、平地より寒さが厳しい
標高と気温には関係があり、一般的に標高が100m上がると、気温は約0.6℃下がります。住みたい地域の標高によっては、夏は涼しくて過ごしやすいものの、冬は厳しい寒さを感じるところもあります。 また、雪が降る地域では雪かきが必須です。気候条件は住み心地に大きく関わってくるため、移住前に冬の現地に足を運んで、気候を確かめておきましょう。
【デメリット②】土砂災害リスクがある
ハザードマップで事前にリスクを確認しよう
日本では毎年のように、がけ崩れや土石流、地すべりなどによる土砂災害が発生しています。土砂災害は山地で起こる災害なので、山の近くの住宅には土砂災害のリスクがあります。土砂災害ハザードマップを確認して、危険が高い地域や、万一災害が発生したときの避難場所、避難経路を調べておくことは大切です。
【デメリット③】虫が多く、獣害の不安もある
虫や野生動物が身近な存在に
自然の豊かな山の近くで暮らす以上、家の中でも外でも、虫との接触は避けられません。平地でも見かける蚊、ハエのほかに、カメムシ、クモ、ムカデ、スズメバチなどの虫と出会うこともあります。また、シカやイノシシ、タヌキなどが出没する地域では、これらの野生動物が畑を荒らすなどの「獣害」も多く、対策が必要になることもあります。
移住前に考えておきたいこと
地域特有の注意点を知り、移住後の暮らしに活かす
生活環境が変われば、ライフスタイルも変化します。山の近くならではの注意点を押さえて、移住後の安心を手に入れましょう。
山の集落では人間関係が密
山沿いや山間地の集落では、昔から住民たちが共同体を築き、お互いに協力しながら暮らしてきた歴史があります。そのため都会よりも人間関係が密になりやすく、町内会や自治会、消防団といった地域コミュニティの活動も盛ん。祭りや結婚式には集落の全員が参加するなど、独自の風習が残る地域もあります。これらの人間関係を「心強い」と思う移住者もいれば、「息苦しい」と思う移住者もいて、感じ方は人それぞれです。 地域コミュニティの人間関係は移住後の暮らしに大きく関わってくるため、できれば移住する前から移住体験ツアーなどで地元の人や先輩移住者たちと触れ合い、その地域の風習や活動について教えてもらいましょう。また、実際に移住したら積極的にコミュニティに参加するなど、自分から地域に飛び込んでいくことも大切です。
別荘地なら人間関係がドライ
山の近くに住みたいけれど、密な人間関係を避けて生活したいなら、別荘地へ移住するという選択肢もあります。夏の避暑、冬のスキーリゾートなど、特定の季節のみ利用するイメージが強い別荘地ですが、定住や二拠点居住(※)の場として利用している人も。そのほとんどが都会からの移住・定住者なので、人間関係は比較的ドライです。 もともと定住を想定していない地域であることから、買い物などが不便であったり、シーズンオフは人けがなく、自然環境が厳しいなど別荘地特有の課題はありますが、人間関係に縛られずに自然の中で自由気ままに暮らしたい場合は検討してみましょう。 ※二拠点居住については「移住までのステップとお得な支援制度」でも説明しています。
まとめると…
移住生活を後悔しないために。新しい出会いや発見、ハプニングも楽しみたい
山の近くは平地よりも気候条件が厳しく、地域社会の密な人間関係や独自の風習など、都会の生活環境との違いを感じる場面も多くあります。そのような地域の暮らしに溶け込むには、事前に地域の事情を知り、メリット・デメリットを把握しておくことはもちろん、思わぬハプニングも受け入れる大らかな姿勢が大切。必要以上に細かいことにカリカリせず、新しい出会いや発見を楽しみながら毎日を過ごしましょう。
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最終更新日 2024年12月02日
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