家づくりを考えているなら要チェック!新築・増改築のときに気を付けたい法律のポイントは?

家づくりと「建築基準法」

2024年2月1日 更新
家づくりと「建築基準法」

家を建てたい土地や建物の細かなルールを定めた「建築基準法」。法改正により2025年4月からは、木造戸建て住宅の建築確認の内容が変更されるようになります。改正の概要や、私たちの家づくりへの影響などを見ていきましょう。

建築基準法ってどんな法律?

住人の命や財産を守るために建物のルールを定めたもの

建築基準法ってどんな法律?のイメージ

建築基準法は、そこに住む人の生命や健康、財産を守るために、建物の土地、構造、設備、用途について最低限のルールを定めた法律です。
建物を建てるときに建築基準法が正しく守られているかどうかは、「建築確認」で厳しくチェックされます。

家づくりにかかわるルールを紹介

暮らしやすさや安心につながる規制がある

家づくりにかかわるルールを紹介のイメージ

これから新築や増改築をしようとする場合に、建築基準法はどのようにかかわってくるのでしょうか。ここでは建築基準法で定めたルールの一部を紹介します。

・耐震基準

耐震基準のイメージ

耐震基準とは、一定の震度に耐えられるように、建物が確保すべき最低限の耐震性能の基準のことです。
日本では大きな地震が発生する度に耐震基準が見直されており、1981年に改正された「新耐震基準」では、数百年に一度発生する震度6~7程度の大地震であっても、倒壊・崩壊しない耐震性能が求められています。
また2000年に改正された現行の「2000年基準」では、木造住宅の耐震性能を高めるために、新耐震基準をさらに強化させた基準が設けられています。

・建ぺい率・容積率

建ぺい率は「敷地面積に対する建築面積の割合」で、容積率は「敷地面積に対する延床面積の割合」です。
建ぺい率・容積率は用途地域(※)ごとに数値が設けられており、家を建てたい土地の建ぺい率・容積率によって建てられる家の規模が変わってきます。これは一つの地域に同じような規模の建物を建築することで、良好な住環境や景観を維持するためのルールです。

※用途地域とは…
都市計画法による市街化区域を、住居系・商業系・工業系といった土地の使い道(用途)に応じて13種類に分けた地域のこと。

例)土地面積100㎡、建ぺい率40%の土地なら…

建ぺい率(%)=建築面積÷土地面積×100
建築面積40㎡までの建物を建てられます。

建ぺい率計算式 イメージ

例)土地面積100㎡、容積率80%の土地なら…

容積率(%)=延床面積÷土地面積×100
延べ床面積80㎡までの家を建てられます。

容積率計算式 イメージ

・高さ制限

高さ制限のイメージ

建築基準法では、建物の高さによって周辺の日照や採光、通風に影響が出ないよう、用途地域ごとに建物の高さを規制しています。
たとえば第1種・第2種低層住居専用地域では、建物の高さを10mまたは12m以下にしなければならないという「絶対高さ制限」があります。絶対高さ制限のほかにも「道路斜線制限」「北側斜線制限」などの規制があり、条件が重複した場合は最も厳しいものに従います。

・接道義務

接道義務のイメージ

都市計画区域内の土地に建物を建てる場合、幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。これを接道義務といって、火災などの災害発生時に緊急車両の出入りや避難経路を妨げないようにするためのものです。
とはいえ、建築基準法が施行された1950年以前に建てられた住宅地などでは、接する道路幅が4m未満の土地も見られます。そのような土地に家を建てる場合、道路中心線から2m後退したところを道路境界線として家を建てるセットバックを行います。

2025年の法改正のポイントは?

小規模な木造住宅の審査省略制度が廃止される

木造戸建て住宅の建築確認審査イメージ

2025年4月から建築確認の審査の対象となる住宅の条件が変わり、これまで一部の審査が省略されていた木造戸建て住宅でも審査が行われるようになります。

建築確認とは?

建築確認のイメージ

建物を建築するときに、建築基準法や各自治体の条例などに適合していることを調べる確認審査のことです。
工事着工前の「事前審査」と工事完了後の「完了検査」があり、自治体または民間の検査機関の建築主事(確認検査員)が設計図や工事内容をチェックします。また、各自治体が定める一定規模以上の建物については、工事中に建築主事が現地で構造部分などを確認する「中間検査」も行われます。

改正でどのように変わる?

木造2階建てイメージ

現行の建築基準法では、「4号建築物」と呼ばれる小規模な木造建築物について、建築士が設計した場合は、建築確認の際に構造規定など一部の審査を行わなくてもよいとする「4号特例(審査省略制度)」が設けられていました。

そのため、戸建て住宅として最もポピュラーな木造2階建て住宅などは、構造規定などの審査をせずに建築可能でしたが、法改正によって2025年4月から4号特例が廃止され、木造2階建て住宅や、延べ面積200㎡を超える木造平屋建て住宅は「新2号建築物」として、審査の省略制度の対象外に。 2025年4月以降は、木造2階建て住宅を含むほぼすべての建物で、建築確認の際に構造規定までしっかりと審査することが必須となります。

なお、延べ面積200㎡以下の木造平屋建て住宅は「新3号建築物」として、引き続き審査省略制度の対象です。

【建築確認審査の対象となる住宅の規模について】

建築確認審査の対象となる住宅の規模について

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

建築基準法改正の背景は?木造戸建て住宅も強度と耐震性能を重視

木造住宅の構造・耐震性能を調べるイメージ

4号特例は、もともと審査を簡略化することで複雑な建築確認をスピーディに進めるための特例でしたが、建物の強度にかかわる構造規定の審査まで省略できることから、構造強度の不備などが発生する問題がたびたび指摘されていました。

建物の構造強度は、地震による損傷・倒壊を防ぐ耐震性能に大きくかかわってきます。 長く安心して住み続けられるよう、改正後は木造2階建て住宅なども旧4号建築物以外の建物と同様の確認審査を行い、建物の構造強度や耐震性能を保証することになったのです。

改正による新築・増改築への影響は?

地震への安心が高まる一方、コストも増加

改正による新築・増改築への影響は?のイメージ

2025年4月の改正で、木造2階建て住宅でも建築確認の際に構造規定などの審査が必須となりますが、これから新築・増改築を行う場合はどのような影響が考えられるでしょうか。

・メリット

建物の構造・強度イメージ

これまで省略されていた構造規定などの審査が行われるため、構造強度や耐震性能の担保された家に住めるようになります。
地震大国といわれる日本では、建物にも地震対策が必要です。自分や家族の命を守る「耐震性能の高い住まい」であることが暮らしの安心につながります。

・デメリット

コストが高くなるイメージ

構造規定の審査に対応するための構造計算や、申請書類・図面の作成など、設計業務の増加がコストに上乗せされるおそれがあります。
また、建築確認の申請手続きや審査にも時間を要するため、余裕を持たせたスケジュールを組む必要が生じるでしょう。

まとめると…まとめると…

地震に負けない家づくりを実現。厳しい審査が安心につながる

地震に強い家(木造住宅)イメージ

新築や増改築をしようとするときに、地震対策が気になる方も多いのではないでしょうか。2025年4月の改正は、一般的な木造戸建て住宅の構造強度や耐震性能を担保するためのもの。地震に負けない家を叶えるために、新しい制度を活用してくださいね。

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最終更新日 2024年10月30日