知っておきたい融資の知識

不動産投資において、融資に不慣れな初心者は「金融機関の融資窓口は敷居が高い」と感じるケースも多いのではないでしょうか。
手ごわいイメージのある融資ですが、基本的な知識やコツさえ押さえておけば大丈夫。融資窓口で戸惑うことのないよう、不動産投資の融資について学んでいきましょう。
不動産投資に欠かせない融資
自己資金+融資で物件を購入。レバレッジ効果もある

不動産投資用の物件価格は、区分投資で数百万~数千万、一棟投資になると億を超える物件も珍しくありません。
これだけの費用を全額キャッシュで用意するのは大変ですので、ほとんどの人は自己資金をある程度用意した上で、金融機関から融資を受けて物件を購入します。
融資を利用すれば、より大きな収益を上げる「レバレッジ」の効果も期待できます。
ちょこっとメモ!
自己資金は「少額OK」と言うけれど…少額って、具体的にどれくらい?

不動産投資は「自己資金が少額でも始められる」といわれます。物件は高額でも、金融機関から借り入れをするので、自己資金が少なくてもOKという意味です。
では「少額」とは一体どれくらいかというと、具体的な金額は購入する物件によって変わってきますが、購入時の頭金が物件価格の10~20%程度、諸費用(仲介手数料・各種税金など)が新築なら物件価格の4~7%程度、中古なら7~10%程度。残りの購入資金は融資で賄います。
「不動産投資ローン」はどんなローン?
マイホームのための「住宅ローン」との違いは…

自宅を購入するときに利用するのは住宅ローンですが、不動産投資では、不動産投資ローン(アパートローン、マンションローンともいいます)を利用して投資用物件を購入します。どちらも住宅を購入するという点では同じですが、次のような違いがあります。
・借入れ目的
住宅ローンは自宅の購入のために資金を借り入れますが、不動産投資ローンは自宅ではなく、賃貸に回して賃料収入を得るための物件(投資用物件)を購入する目的で資金を借り入れます。
・返済原資
返済原資とは、ローンの返済に充てる資金のこと。住宅ローンであれば、購入者が労働によって得た収入が返済原資です。
不動産投資ローンの場合、その物件の入居者が支払う賃料が返済原資にあたります。不動産オーナーは入居者から賃料を受け取り、そこから月々のローン返済を行います。
・融資金額
住宅ローンの場合、融資金額の上限は年収の5~6倍といわれていますが、不動産投資ローンでは融資金額の上限が年収の10倍以上になるケースも見られます。不動産投資用の物件金額はさまざまで、一棟物件では1億を超えることもあるためです。
・金利
ローンの金利を見ると、住宅ローンは約0.5~1.5%というケースが多く、不動産投資ローンは約1.5~3.0%のケースが多くなっています(2021年6月現在、変動金利)。
不動産投資ローンは事業目的なので、居住用の住宅ローンよりも貸し倒れリスクが高いと判断され、より高金利に設定されているのです。
・ローン審査
融資を受けるには、その金融機関のローン審査をクリアしなければなりません。住宅ローンの審査基準は、個人の属性(職業・年収・勤続年数など)を重視するのに対して、不動産投資ローンの審査基準は個人の属性に加えて、物件の収益性などもチェックします(※)。
※一般的なローン審査の基準は、後ほど詳しく説明します。
ローン審査で有利になるケースは?
会社員なら、年収や勤続年数が多いほど融資を受けやすい

不動産投資ローンの審査では、個人の属性(職業・年収・勤続年数など)や物件の収益性を見て、融資の有無や限度額を判断します。
会社員なら、融資を受けるには「年収500万以上」「勤続年数3年以上」「自己資金400万円以上」が目安となるでしょう。安定した業種や大手企業、勤続年数が長い人ほどローンの返済能力が高いとみなされ、融資を受けやすくなる傾向があります。
また、その物件が安定して収益を上げられるかどうかも重要なポイントになります。都市部の人気エリアにある物件や、新築物件などは入居者が集まりやすいため、ローン審査で有利に働くと考えられます。
・一般的なローン審査の基準
【個人の属性について】
…職業・年収・勤続年数・年齢・今回の投資に投入できる自己資金・家族構成・預貯金やマイカーなどの資産・クレジットカードなどの借り入れ状況など
【物件について】
…収益性(毎月の家賃や築年数、エリアなどから判断)・物件価格・資産価値など
逆に、こんなケースは審査に不利になる?
金融機関が「返済が滞りやすい」と考える属性は…?

上記に挙げた融資可能な条件(年収500万・勤続年数3年・自己資金400万)に満たない場合や、「非正規雇用」「転職回数が多い」などに該当する場合は、返済が滞るリスクがあると判断されやすく、審査が通りにくい傾向にあります。
また「高年収にもかかわらず預貯金額が少ない」場合も不利になるおそれがあります。年収の割に預貯金が少ないと、「この人には浪費癖があるのでは?」と金融機関側が考えるためです。
もしも上記の属性や条件に当てはまるようなら、転職を控えたり、自己資金や預貯金額を増やしたりして、審査が有利になるように行動しましょう。不動産投資を始めるのは、それからでも遅くありません。
まとめると…
取り扱い金融機関を探すなら、まず不動産会社の担当者へ

不動産投資に欠かせない融資ですが、不動産投資ローンは住宅ローンに比べて取り扱い金融機関の数が少なく、取り扱いがあっても積極的ではないケースも見られます。やみくもに金融機関を探すより、まずは物件を購入する不動産会社の担当者に、提携やおすすめの金融機関がないか尋ねてみましょう。不動産会社によっては、適切な借り入れプランを提案してくれるファイナンスアレンジに対応している場合もあります。
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最終更新日 2025年4月1日
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