2015年12月25日 更新
一般的なエンジン車がガソリンなどを燃料にするのに対して、燃料電池車は水素を燃料にして発電する燃料電池を積んでおり、水素と空気中の酸素を反応させて車を動かします。
燃料自動車は、現在販売されている車の中では最も環境への影響が少ないエコカーであり、FCV(Fuel Cell Vehicle)という略称でも呼ばれています。
燃料電池車の仕組みの大きな特徴は、バッテリーの電気ではなく燃料電池が発電した電気で走行することです。
燃料電池(水素燃料電池)
燃料電池とは「燃料を使って発電する装置」という意味で、ここでは燃料に水素を使う「水素燃料電池」のことを言います。燃料電池は水素と空気中の酸素が反応することによって発電し、モーターに電気を送り届けます。
モーター
エンジン車で言うエンジンの部分に当たる部品。燃料電池から送られた電気によってモーターが動き、タイヤを回転させる力になります。
水素タンク
燃料となる水素を蓄えておくタンク。タンク内の水素が少なくなったら外部から水素を補給します。
また、電気自動車に必要な電気は石油や石炭などを燃やして発電させるため、クリーンなエネルギーとは言っても、その電気をつくる過程ではどうしてもCO2が発生します。もちろん水素も、電気を使って水からつくることがあるため完全に環境への影響がゼロとは言えませんが、太陽光発電などで発電した電気を使うなどすれば、より環境に優しいエコカーになると考えられます。
車内が静かで快適
車が引き起こす騒音問題のほとんどはエンジンを動かす時に発生するエンジン音ですが、燃料電池車にはエンジンがないので騒音の心配はありません。また、エンジンからの振動がなく、乗り心地も快適です。
エネルギーの無駄が少ない
燃料電池車のエネルギー効率は、同排気量のエンジン車の2倍以上と言われています。もともとエンジン車は走り出しや坂道などが苦手で、エネルギー効率が1~3割程度なのですが、水素からつくられる電気でモーターを回転させる燃料電池車は、走り出しや坂道なども得意で、エネルギーの無駄が少ないのです。
燃料の補給時間が短く、長時間走行できる
電気自動車やプラグインハイブリッド車の充電は、普通充電だと数時間が必要です。けれども燃料電池車の場合、水素の補給にかかる時間は数分程度と、一般的なエンジン車とほとんど変わらず、1回の補給で長時間走行も可能です。
トヨタ「ミライ」の場合 1回の補給(約3分)で約650㎞走行可能
街なかにある水素ステーションで、高圧力の水素をタンクに充填します。
※水素ステーションについては「最新エコステーション事情」を参照してください
水素ステーションの整備
燃料電池車の燃料である水素を補給する水素ステーションは関東・東海地方を中心に整備されていますが、現時点でほんのわずかな数しかありません。全国的に水素ステーションが普及するには、まだまだ時間がかかりそうです。
販売価格
高度な技術を必要とするエコカーは、販売価格が高くなる傾向があります。もちろんガソリン代がかからないなどの理由でランニングコストは低くなりやすいのですが、それでも同排気量のエンジン車と比べると、割高であることは確かです。
現在、販売されている燃料電池車はトヨタの「ミライ」のみですが、今後、技術が進歩して燃料電池車が広く普及すれば、価格も安くなっていくと考えられます。

燃料電池車などのエコカーの普及を後押しするために、政府は燃料電池車の自動車重量税・取得税の全額免除と自動車税の軽減措置を実施しています。ほかにも地方自治体によっては独自に補助制度を設けていることもあります。
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