【専門家監修】即入居可能な賃貸物件って? 今すぐ入居できる?

2021年2月28日

賃貸物件のなかには、「即入居可能」という文言で紹介されているものもあります。字面から何となく意味は分かっても、具体的にどのような状態を指すのか分からないケースもあるでしょう。早く新生活を始めたい人などは、その正確な意味を知っておくことが大切です。そこで今回は、即入居可能な物件の特徴を紹介し、スムーズに入居するためのコツなども解説します。

即入居可能とはどういうことか?

即入居可能という表現は、契約が完了するとすぐ住める物件に対して使われます。以前の住人が退去して原状回復の作業もすでに終わっている状態です。つまり、部屋のクリーニングなどもすべて実施済みであり、住みたい人が現れた場合は手を加えることなく提供できるということです。とはいえ、基本的に即日で入居できるわけではないので気を付けましょう。なぜなら、賃貸契約を結ぶうえで初期費用を支払わなければなりませんし、入居審査なども必要だからです。

具体的な期間は不動産会社や物件にもよりますが、通常は即入居可能と案内されても1週間ぐらいかかります。ただし、工夫や対処次第でそれより短くすることも可能です。入居審査の時間はカットできませんが、それ以外の手順を迅速に進めていけば、最短で2~3日で入居できる場合もあります。また、滞りなく生活を始めるにはライフラインを使える状態にしておくことも重要です。したがって、入居前に電力会社などに連絡して申し込みを済ませる必要もあります。

空き室であるのには理由がある

即入居可能な物件を見つけたときに、クリーニングが済んでいるにもかかわらず、なぜ空き室になっているのか疑問に感じる人もいるでしょう。何らかの理由がある場合が多く、以下の2点を意識するようにしましょう。

契約の交渉に利用

もし理由の見当が付かなければ、前の住人が退去した時期や入居希望者が現れなかった原因を尋ねてみるのも一つの手です。理由が分かれば、契約を検討しやすくなるだけでなく、契約を有利にするための交渉に使える場合もあります。たとえば、築年数のわりに家賃が高いなら引き下げを頼むといった具合です。この場合は、貸主が早く空き室を埋めたいと考えれば、承諾してくれるかもしれません。

原状回復の責任を回避

空室の期間が長いなら、ほこりやカビが目立つ状態になっていることも多いです。これまでに興味を持った人がいても、それが理由で見送られていたことも十分にありえます。カビの繁殖により壁紙が破損している物件や、室内環境の悪化により網戸や窓が動かしにくい物件などは、そのまま住み始めてはいけません。自分が退去する際に修繕費を請求される可能性があるからです。劣化箇所をチェックし、自分には原状回復の義務がないことを明らかにしましょう。劣化の程度によっては、交換や修理、再クリーニングなどの相談も必要です。

必ずしもすぐに生活できるわけではない

即入居と即生活を混同している人が見受けられます。あくまでも前者は暮らす場所の確保に関する事柄であり、それだけで生活に必要な状況が整うわけではありません。いくら早く鍵を受け取ったとしても、電気や水、ガスの手続きを終えていないと、その日に生活をスタートさせるのは困難です。また、家電製品や家具などを用意していない場合も、いろいろな面で苦労することになります。たとえば、照明器具や寝具がないと夜にとても困るので注意しましょう。

さらに、それらを事前に準備したとしても、引っ越しが入居日に間に合わない可能性もあるのです。特に、引っ越し業者の繁忙期である3月や4月はそのリスクが高まります。しっかりと連絡を取り合い、確実に手配を完了させなければなりません。

入居を早めるコツ1.希望条件の整理

少しでも入居を早めたいなら、物件探しを本格的に始める前に希望の条件を固めておきましょう。そうすれば、住みたい物件の候補が絞りやすくなって効率よく検討を進められます。ただし、理想をすべて叶えようとするとハードルが高くなるので要注意です。たとえば、繁華街に近い利便性と閑静な住環境を両立している物件を見つけるのは容易ではありません。最終的に、どちらか一方を優先するような結果になるでしょう。ですから、自分の価値観と照らし合わせて、あらかじめ譲れる部分と譲れない部分を明確にしておくことが重要です。

その際の観点として、初期費用と家賃を考慮した予算や、最寄り駅からのアクセスなどが挙げられます。また、物件の構造や設備などの条件も明らかにしなければなりません。なるべく具体的に希望を整理して、すみやかに不動産会社に伝えられるようにしましょう。

入居を早めるコツ2.書類を早く準備

契約に必要な書類をそろえておくことも早期の入居につながります。自分が記入するだけで仕上げられる書類は準備が簡単です。しかし、住民票や印鑑登録証明書などを求められる場合もあるので気を付けましょう。このような公的な書類は役所で発行してもらえますが、仕事や育児などの都合により、契約したいタイミングで足を運べない可能性があります。ですから、空いている時間があれば先延ばしにせず、できるだけ早めに入手しておいたほうが安心です。

また、不動産会社によっては連帯保証人を立てるように求めてくるケースも見受けられます。その場合には、必要となる書類を用意するとともに、連帯保証人になってくれる人を見つけておくこともポイントです。

即入居で失敗しないために内見は必ずする

どれだけ入居を早めたくても、内見は必ず行うようにしましょう。省略してしまうと、住み始めてから入居前とイメージが異なることに気付いたり、入居後にトラブルが起こったりする確率が高まってしまいます。これまで空き室になっていた理由も、内見を実施すれば一目瞭然であるケースも多いのです。また、手早く済ませるのではなく、納得できるまで注意深くチェックする姿勢も重要になります。即入居可能な物件は内見からの流れがスムーズに進むことが多いため、急いでいると大事な点を見落としたまま契約に至りやすくなります。部屋だけでなく周辺の状況なども含めて、住環境としての良し悪しを十分に見極めなければなりません。

自分の住みたい条件の物件を探しましょう

物件探しの際に、できるだけ早く入居したいという人は少なくありません。しかし、その気持ちが先走りすぎると、入居後のトラブルを招きやすいので注意する必要があります。入居を早めるコツを実践するのと同時に、内見などで物件をしっかり確認することが大事です。そのようなスタンスを心がけ、本当に理想と感じられる住まいと出会えるように物件探しを進めましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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