【専門家監修】中古住宅の探し方って?後悔しないためのコツは?

2019年12月12日

住宅を購入するときは、新築住宅ではなく中古住宅から探すのも一案です。しかし、どのような方法で探したらよいのか悩む人もいるでしょう。その課題に向き合うためには、中古住宅と新築住宅とは勝手が異なることを知る必要があります。また、納得したうえで住宅を購入するためには、中古住宅ならではのコツを押さえることが大切です。ここでは、後悔しない中古住宅探しのコツについて説明していきます。

中古住宅のメリットを知っておこう

中古住宅は一般的に建物の価値が経過年数とともに低下するため、新築住宅を購入するよりも価格が安くなります。新築住宅よりも価格が安いことが中古住宅のメリットといえるでしょう。そのため、予算内での購入も夢ではありません。しかも、しっかりとメンテナンスされた中古住宅のなかには新築とほとんど変わらない良質な物件もあり、お得感を味わうことにもつながります。また、売主(不動産会社を除く)が個人の場合は建物の消費税が課されません。

実際に建築後の建物の状態を見られることも、中古住宅を選ぶ利点になります。新築住宅のなかには既に完成しているタイプもありますが、多くはモデルルームや完成図などから想像することになります。一方、中古住宅の場合は購入を検討する際に実物を見られるため、実際の建物の状態を確認できますし、入居後の生活を思い描くこともできます。このように、入居後の生活をイメージしやすいことが中古住宅のメリットといえるでしょう。

中古住宅の探し方の流れ

商品として販売されている新築住宅と、一度誰かが使用して売り物となっている中古住宅では販売方法や流通方法が異なります。ここでは、中古住宅の物件探しから物件の引き渡しまでの主な流れについて説明します。

・物件探し
多額の広告費がかけられて販売される新築住宅と異なり、中古住宅は広告費をかけられず、個人情報を公開するわけにもいかないため大々的に広告されることはありません。住宅情報サイトを確認したり不動産会社へ相談したりして、積極的に物件情報を集める必要があります。気になる物件があれば、すぐに問い合わせや資料請求などを行います。希望の条件を不動産会社に伝えて、不動産会社から情報提供をしてもらうのもよいでしょう。

・見学
希望の物件を見つけたら、見学して様子を確認します。対象物件を扱う不動産会社や仲介会社(以下、「不動産会社」)へ連絡を行い、日程調整してもらったうえで見学が実現します。中古住宅では特に見学が重要です。建物内部の見学はいつでもできるわけではありませんので、気になるところはしっかりチェックしておきましょう。気が引けるかもしれませんが、近所の人やマンションの管理人さんなどに偶然会えたら積極的に声をかけ、住み心地や利便性について直接聞いてみましょう。

・購入申し込み
購入したい住宅が決まったら、不動産会社に購入申し込みを行います。また、売主と金額や引き渡し時期に関する交渉も行います。売主との交渉は不動産会社を通す形になり、双方が合意することで契約手続きに進めます。

・契約
売主との交渉が成立したら重要事項説明(必ず契約の前に宅地建物取引士によって行われることになっています)を受けたうえで、契約手続きに入ります。住宅ローンを借りるときは、この直後に申し込むことが一般的ですが、事前にいくつかの金融機関などに相談し、審査期間や融資条件、実行までの期間を確認しておくと安心です。

・引き渡し
すべての手続きが済んだら、物件の引き渡しを行います。建物が未竣工の新築住宅と比べ、ここまでの一連の流れが早いことが中古住宅の大きな特徴です。住宅の引き渡しを受けるときは、契約時に確認した内容と違っていないか、きちんと確認する必要があります。

中古住宅を探すうえで気になることって?

実際の建物の状態を確認できる、物件探しから引き渡しまでが早いなど、中古住宅にはいろいろなメリットがあります。一方、中古住宅ならではの注意点があることも見逃せません。せっかく現物を見たうえで契約できるのですから、しっかりチェックしておきましょう。

まず、中古住宅で考えられることは設備の古さです。そのため、交換が必要な場合もでてきます。あまり築年数が経過していない物件はともかく、多くの物件では設備の経年劣化が避けられません。特に、水回りは傷みやすいため、修繕のために費用がかかる可能性があります。設備ごとに性能が保証されている期間があるため、使用の有無や状態の良否に関わらず、交換やメンテナンスの費用を見込んでおかなければなりません。もちろん、築年数が古い場合には、設備を一新してリフォームできるという点では、メリットともいえるでしょう。

中古住宅でも住宅借入金等特別控除、いわゆる「住宅ローン控除(減税)」がありますが、建物の構造や築年数によっては「住宅ローン控除」の対象にならないケースがあります。例えば、床面積が50平方メートル未満の場合は対象外です。また、木造住宅など耐火建築物以外の住宅の場合、築年数20年以上になると住宅ローン控除対象から外れます。住宅ローン控除を受けるには決められた要件すべてを満たす必要があるため、その内容を国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm)を見たり税理士に聞いたりして、しっかりと確認しましょう。住宅ローン控除により所得税の還付が期待できるだけに、それが受けられないと家計に影響することも考えられるからです。

後悔しない中古住宅の探し方のコツ

住宅の購入は、その後の人生にも大きな影響を及ぼす高い買い物です。しかも、まったく同じ条件の物件に出会うことはできません。自分が望む物件を入手するためにも、後悔しない中古住宅を探すコツを把握しておきましょう。

まず、大切なのは複数の不動産会社に連絡を取ったうえで、複数の情報源を持っておくことです。そのためには、インターネットやチラシなどをこまめに確認して、新しい情報をすぐに獲得できるようにしておきましょう。中古住宅の情報にはさまざまなルートがありますので、情報源が1つだけだと十分な情報が得られなくなってしまいます。

理想の物件を探すためには、物件の見学が大きな鍵を握ります。中古住宅では築年数による経年劣化は避けられませんが、基本的な建物の構造に関わる部分や、防災やセキュリティ上どうしても譲れない部分もあります。ですから、自分の目で納得がいくまで確認することが大切です。また、シロアリや雨漏りなど、見学のときにわからない部分もあるため、必要に応じて専門家へ調査(インスペクション)の依頼を検討しましょう。こちらは、売主が済ませているケースもありますが、買主が求める判断材料を満たさないことも考えられます。さらに、中古住宅の瑕疵保険を検討している場合には、検査の可否を確認しておきましょう。

なお、中古住宅の購入に際して、賃貸住宅からの住み替えだけでなく、いま住んでいる住宅を売却する人もいるでしょう。後者のケースでは、ローン残高と住宅の売却価格を把握しておくことも大切です。特に、住宅を購入する前に売却する場合は、売却で得たお金を住宅購入資金に充てることが可能になるからです。

中古住宅の探し方に関する注意点

住宅を購入する場合、住宅そのものの価格以外にもさまざまな税金や仲介手数料、登記費用などがかかってきます。その一つ、不動産会社に支払う「仲介手数料」は見逃せません。仲介手数料の上限は「宅地建物取引業法」で決まっており、例えば、400万円を超える物件の場合、仲介手数料の上限は「売買金額×3%+6万円+消費税」の速算式で求めることも知っておきましょう。なお、複数の不動産会社が介在していても、上記の上限額は変わりません。

中古住宅を購入するときは、修繕、交換、リフォームにかかる費用も準備しておきましょう。中古住宅のなかには現在の耐震基準を満たさない住宅もあるため、現在の耐震基準が設定される前(1981年以前)に建てられた建物には注意が必要です。また、住宅をチェックするときは、建物の構造や内装はもちろん、住宅周辺の治安も確認する必要があります。さらに「瑕疵担保責任」(見えない欠陥や不具合)を免除する旨の契約内容になっているケースもあるため、リスク要因となるような情報は、契約前にしっかりチェックしておくことが大切です。

希望に合った中古住宅を見つけよう

中古住宅を購入するまでには、確認すべきことがたくさんあります。複数の情報源を持つ、見学の機会を有効活用するなど、いずれも大切なことばかりです。そのため、戸惑うこともでてくるかもしれません。しかし、コツを押さえれば後悔しない中古住宅を見つけることが可能です。希望に合った中古住宅を入手するためにも、しかるべきポイントを押さえておきましょう。

執筆者プロフィール

岡田 忠純
岡田 忠純

岡田 忠純(不動産鑑定士・不動産証券化協会認定マスター)
不動産の鑑定評価はもちろん、不動産のキャッシュフロー分析や、取引、投資、開発などのアドバイザリーとして多くの実績がある、不動産のプロフェッショナル。官公庁からの依頼にも数多く対応している。


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