【専門家執筆】首都圏の新築戸建の価格推移
先日、2019年1月1日時点の公示地価が国土交通省より発表されました。
全国全用途平均は4年連続の上昇となり、中でも首都圏の住宅地では6年連続の上昇が報じられ、加えて地方圏での上昇や横ばいが目立った内容になっています。
こうした状況を踏まえながら、首都圏の新築戸建の価格はどういった傾向にあるのでしょうか。
その価格の推移や傾向について見て行きましょう。
首都圏新築戸建の価格推移
不動産経済研究所の発表によると、2018年の首都圏の新築戸建の平均価格は5168.3万円で、2017年の平均価格の4833.4万円と比較すると、6.9%もアップしていることがわかりました。
販売の戸数は価格とは逆に減少し、2017年の5,058戸に比べ312戸減、全体比6.2%の減少で、2018年の販売戸数は4,746戸と2年ぶりの減少数値となりました。
地域別ではやはり、東京都が6,948万円とダントツに高く、次いで神奈川県、茨城県南部、埼玉県、千葉県の順になっています。
やはり、地価が高いエリアが平均価格を押し上げていることがわかります。
また、昨年の価格と比較すると、各エリアとも上昇傾向が強く東京都で13%、次いで埼玉県の5.5%、神奈川県の5.4%上昇が目立っています。
特に、東京都は全体の平均価格アップの約2倍の上昇率となっています。
価格が上昇しているエリアと傾向
首都圏で価格が上昇しているエリアは、やはり東京都で2018年の平均価格が6,948万円で2017年の6127.4万円と比較すればかなりの上昇と見ていいしょう。
特に、土地・建物の平均面積が上昇したわけでもないので、地価の上昇と建築コストの上昇のダブルでの価格アップの要因があったものと推察されます。
また、埼玉県や神奈川県も前年比で5%以上も上昇しており、東京都の地価上昇の影響で価格アップが見られると思われます。
中でも、首都圏の戸建価格は上位19位までが東京都の行政区で、東京都以外では千葉県の浦安市や横浜市の青葉区、港北区、都筑区が挙げられています。
住宅購入者にとっては、新築戸建と新築マンションの比較検討を行っていると思われますが、マンションは駅近という利便性を取ると価格的には手が出ない状況です。
それに比べて、戸建の場合には駅近よりも住環境を優先する傾向や、車の利用頻度(通勤など)が高い購入希望者が選択している傾向があります。
例えば、駅から徒歩15分程度かかっても、住環境の良さや駐車場を確保できるという戸建ならではのメリットを優先した購入傾向があると思われます。
また、特にマンション価格の高い都区内では、マンション価格に比べると戸建の価格の方が安価ために戸建を求める傾向にあるようです。
マンションは管理費や修繕積立金もかかるので、住宅の維持コストを考えると戸建の方が安く済む場合があります。
傾向から見える、購入希望者の意向について
戸建価格が上昇しているエリアはやはり都区内エリアです。
先ほども触れましたが、マンション価格が高い都区内では戸建価格の方が安価なためこうした傾向になっています。
戸建の場合には、車を所有している世帯にとっては駐車場代がかからないので、家計的には大きなメリットがあります。
例えば、文京区や豊島区あたりでも駐車場代は4万円前後しますので、この費用がかからない戸建住宅はマンションと比べるとその費用分を住宅ローン返済などにも回せますのでメリットがあると言えるでしょう。
まとめ
住宅の購入希望を聞いても戸建志向が強いので、いずれは戸建と考えている人は多いものです。
こうした潜在的なニーズも反映してか、都区内で戸建が購入できれば理想的です。
マンションと比べると、住宅の維持コストや生活音を気にせず暮らすことのできる戸建は魅力的です。
したがって、価格的に手の届く範囲であれば、「マンションよりは割安感のある戸建を」という趣向がうかがえると言えるでしょう。
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